@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000591, author = {水牧, 祥一 and ミズマキ, ショウイチ and MIZUMAKI, Shoichi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {博士論文は、高エネルギー実験、加速器科学の分野で近年飛躍的に発展しつつある超伝導マグネットの応用において、究極的な姿として期待される「永入電流超伝導マグネット」の本格応用と長期にわたる安定性に関する。この種の永久電流超伝導マグネットは、長期間使用中に擾乱の無いと考えられる静かな環境で突如クエンチする現象が見られる。本論文は、この長期不安定性現象の原因解明を動機とし、安定性に深くかかわると考えられる超伝導接合部に着目し、その電流伝播の振舞いに関する実験的研究である。特に、永久電流閉ループの構成要素として不可欠な永久電流スイッチ用導体とコイル用導体との超伝導不完全性を有する超伝導接続部を取り上げ、その接続部内の電流伝播特性について独自の実験手法に基づき研究を行った。また、永久電流モードにおいて超伝導接続部での時間経過にともなう電流伝播の振舞いを観測し、クエンチの予兆と見られる接続部内での電流分布の変化(電流の侵入)の観測に成功した。
 永久電流スイッチに用いられる超伝導線とコイル用の超伝導線では、フィラメントの径も本数も異なり、また原理的に個々のフィラメントを接続することも不可能である。従って、両者の超伝導接続部は、理想的な超伝導接続状態を再現していない。このようなフィラメントの接続状態から、接続部内での不均一な電流分布及び時間に依存した電流分布変化の発生が予測される。
 通常用いられる接続部内で電流が折り返すヘアピンタイプで二つの導体を接続した場合を想定し、「往復直線電流とこれをつなぐ渡り部の電流からなるコの字形の電流ループ」についてその周辺の磁場分布を計算した。その結果から、“渡り電流の接続部長手方向の移動”にともない、渡り電流が磁場測定点近傍を通過する際、測定される磁場には“極性反転現象”が現れること、また、その幅方向(接続部の厚さ方向)に拡がる電流分布の変化に応じ、通電電流に対して“非線形な磁場の変化が現れることが予測された。
 本研究では、実際に永久電流超伝導マグネットにたびたび採用され、最も良い超伝導特性が期待される超伝導接続方法として、超伝導フィラメント同士を真空中で加熱・加圧することにより直接接続する固相接合(拡散接合)による方法に焦点を絞って実験を行った。また、接続の形状に関しては一般によく用いられているヘアピンタイプを対象とした。実験装置は、水牧祥一君自身の開発によるもので、超伝導線の高電流密度特性を利用し、近年開発された極微サイズのホールセンサーを活用して開発したものである。これを用いて、超伝導接続部の(直近)周辺磁場分布を高い精度で詳細に測定し、その解析結果から超伝導接続部内の電流分布の変化を間接的に観測する手法を実現した。
 実験は、(1)“超伝導接続部単体”でのその通電電流の増加にともなう電流伝播の振舞いの観測と、(2)“永久電流モードにおける接続部”の温度上昇にともなう電流分布の変化の観測について行った。
 (1)接続部通電電流の増加にともなう電流伝播の振舞いを観測する接続部単体実験では、通電電流の増加にともなう接続部周辺磁場の極性反転現象と非線形な変化を観測した。この実験結果は、ヘアピン電流ループが接続部先端に向かう長手方向と接続部の厚さ方向に二次元的に拡がっていくモデルによって理解されることを示した。
 (2)永久電流モードにおける実験では、接続部の環境の変化(ここでは温度上昇)にともないその周辺磁場が変化した後、クエンチに至る現象を観測した。この実験結果と上記の接続部単体実験の考察より、永久電流モードのもとて接続部の温度上昇があった場合、接続部内の電流分布に変化が引き起こされ、クエンチの予兆となっている現象を実験的に確かめた。
 これらの実験的な研究を通して、
(1)ホール素子を用いて接続部周辺磁場を精密に測定し、マッピングすることにより、接続部内の電流分布の変化の観測に成功した。
(2)ヘアピン接続部内の電流分布は、通電電流の増加にともない軸方向と幅方向に拡がる二次元モデルによって理解できることを示した。
(3)電気的に静的な永久電流モードのもとでも、何らかの環境変化により(本研究では接続部の温度上昇)、接続部内の電流分布の変化が引き起こされ、やがてクエンチに至る現象を観測することに成功した。
 以上で得られた知見により、永久電流超伝導マグネットの安定性に深くかかわりがあると考えられる超伝導接続部内の電流伝播の基本的な振舞いについてより明確な理解を得た。また、超伝導接続部の長期安定性の観測手法として(クエンチの予兆現象の観測等)、本研究で開発した手法が有効な一手段であることを見出した。, application/pdf, 総研大甲第247号}, title = {超伝導接合における電流伝播特性に関する研究}, year = {} }