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連続して発生させることが可能である。このため、高エネルギー物理学の研究施設にお
いて超伝導加速空洞の実用化が始まり、今日では放射光施設や自由電子レーザーの施設
においても利用されている。加えて、エネルギー回収型直線加速器では原理的に超伝導
加速空洞の利用が不可欠であり、国際リニアコライダー計画でも採用が決定されるなど、
今後ますます利用分野は広がりつつある。
 通常、超伝導空洞の内表面は極めて滑らかな鏡面に仕上げられる。これは表面の微細
な構造により電磁場が空洞表面で歪められて集中し、局所的に周辺より場の強度が高く
なることを防ぐためである。電場が集中した場合には空洞表面からの放電を生じ、磁場
が集中した場合には局所的に上伝導の部分が発生する。いずれの場合も空洞性能の劣化
を引き起こす。また、放電に関しては表面に付着した外来粒子も放電源として同様に作
用するものと考えられている。外来粒子の問題は、表面処理技術の発展により解決され
つつある。
 空洞の効率を定義したQ値は、超伝導空洞の性能を評価する最も基本的な値である。
空洞形状を同一とした場合、Q値は表面抵抗に依存する。特に超伝導空洞は電流が表面
近傍に集中しているため、空洞表面の状態が顕著にQ値に反映される特徴がある。具体
的には空洞の表面状態は二オブの表面粗度、異物の付着に加えて、吸蔵水素による水素
化物の生成が指摘されている。二オブ製空洞の表面処理技術は、巨視的な表面磁場が二
オブの上部臨界磁場に達する理論的限界を引き出せるまでに発展している。しかし、そ
の再現性は現在のところ十分ではなく、空洞が所定の性能を示すまで、同じ処理を何度
も繰り返し実施している。
 空洞の表面粗度を向上させるためには、電解研磨(EP)または化学研磨(CP)の実施が有
効である。しかし、これらの処理により二オブ内に水素が吸蔵されると考えられており、
処理後は表面祖度が向上する一方、吸蔵水素量が増加するという問題がある。また、空
洞の分解組み立ては非常に煩雑な作業であり、空洞内表面に異物を持ち込む可能性があ
る。つまり、空洞を再表面処理した場合、空洞の表面粗度、水素吸蔵量、表面の清浄度
のすべてが変化する。このため、水素吸蔵によるQ値の劣化を研究する際にニオブへの
水素の供給手段として空洞内面の電解研磨または科学研磨処理を用いると、吸蔵された
水素による以外の影響が大きく、非常にノイズの大きなデータを扱う結果となる。
 本研究では、二オブ製超伝導空洞のQ値の変化の内、吸蔵された水素の影響のみを選
択的に抽出することを試みた。
(Q値劣化のメカニズム)
 現在広く受け入れられているモデルを示す。
 空洞に吸蔵された水素は、常温では水素は結晶中の二オブの抜けた箇所(vacancy)に治
まった状態が安定である。常温においては水素を導入することでvacancyが形成される
ことも確認されている。100K以下の低温では水素は水素化二オブの化合物として存在
するほうが安定である。超伝導空洞は液体ヘリウム(4.2K)で冷却されて使用されるため、
水素化二オブが安定である。しかし、相転移の必要なエネルギーは熱振動のエネルギー
から供給されるため、4.2Kの極低温下では相転移の速度は無視できる。従って、常温か
ら液体ヘリウム温度まで急速に冷却した場合は水素はニオブのvacancyに捕らわれた状
態が多くなり、水素化二オブが安定な温度領域で比較的温度の高い100K程度の温度を
長く経験した後に液体ヘリウム温度に冷却した場合、二オブ空洞には水素化二オブが多
く含まれた状態になる。水素化二オブが超伝導性を示さないため、水素を多く吸蔵し、
且つ、ゆっくりと冷却した二オブ製超伝導空洞はQ値が劣化すると考えられている。
(クラブ空洞の場合)
クラブ空洞は電解研磨後吸蔵水素を除去するために真空中で700℃の熱処理が施され
ている。このため、クラブ空洞本体は水素吸蔵によるQ値の変化を起こさないが、空洞
に同軸部簡略モデルを組み込んで性能測定を行った際にQ値の劣化が観測された。これ
は、空洞本体を液体ヘリウム温度に保ったまま同軸部簡略モデルのみを昇温後急冷すれ
ばQ値が回復することから直接的に確認された。クラブ空洞のケースでは、130nΩであ
った表面抵抗が吸蔵水素の影響により15μΩまで増大することが確認された。
(水素吸蔵試験)
 二オブに効果的に水素を導入するためにステンレス陽極と二オブ陰極による希硫酸の
電気分解を行った。電気分解実施後に二オブ陰極を取り出し、空洞の脱水素処理と同じ
く真空中で加熱することにより吸蔵水素を放出させ、四重極質量分析装置を用いて放出
水素量の測定を試みた。結果、通電量を増やすことで水素吸蔵量が増加することが確認
され、ニオブへの水素の導入方法として電気分解法が有効であることが確認された。
(同軸空洞による試験)
 水素吸蔵試験用に共振周波数1.5GHzの小型の空洞を開発した。この空洞は同軸線路
のTEMモードで励振され、様々な計算が簡単であるだけでなく共振周波数が径によら
ないためコンパクトに設計することが可能である。この特性を利用し、クラブ空洞でQ
値の劣化を引き起こした二オブ材と同じバルクから空洞製作することが出来た。同軸空
洞は電場の非常に強い箇所に接続部を持ったり、対称性を維持するため内導体内部から
高周波を導入するなど特殊な構造であるが、最終的に7.8×107のQ値を得ることが出来
た。
 この空洞に希硫酸の電気分解による水素の導入を行い Q値の劣化を引き起こしてそ
の影響を観察した。なお、水素の導入は空洞の内導体の内部、即ち空洞の外部より行っ
ており、空洞の分解や内面の際研磨などを行っていないため、観測されたQ値の劣化は
すべて水素吸蔵の影響である。このことは、急冷によりQ値が回復することからも確認
されている。
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