@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000636, author = {穂積, 康文 and ホヅミ, ヤスフミ and HOZUMI, Yasufumi}, month = {2016-02-17}, note = {本論文は、カーボンナノチューブ冷陰極を用いて、電子加速器の数nsパルス電子銃の性能を大幅に向上することを目的とした研究をまとめたものである。本研究で大電流と安定性が実証されれば、熱陰極と同レベルの10A/cm2の電流密度を持ち、熱源が不要で扱いやすい電子銃が誕生することになる。将来的にはカーボンナノチューブの持つ高い電流密度のために陰極面積を小さくできる可能性があり、エミッタンス改善に寄与することも期待されている。本研究では先ず、簡易型の冷陰極評価用3極管電子銃を製作し、これを用いて複数企業との共同研究で高い電流密度が得られるカーボンナノチューブ冷陰極を見出すことから研究を開始し、6mmφの陰極面から3A/cm2の電流密度を得た。この成果を受けて、実用的な100kV電子銃テストスタンドを製作し、100kVのビームをウォールカレントモニターとビームキャッチャーで直接捉えて、その起電圧からビーム電流を算出するシステムを構築した。電子銃の設計に当たっては、安定した動作が確認されているKEKリニアック電子銃を参考にしてEGUNコードを用いて電極構造を決定し、さらに種々の放電対策も行った。グリッド・カソードアセンブリの設計では、グリッド・カソード間の距離が電界強度を算出する際に支配的なパラメータとなることから、その距離の誤差が10μm単位に収まり、またグリッド電極とカソード面との平衡度が保たれるよう、アッセンブリ構造に工夫を施した。このアセンブリはCF-88真空フランジを採用し、電子銃で広く使われているEIMAC Y-796と互換性を持たせたので、これを使用している電子銃の電子源として直ちに使用可能である。また力ソート交換時にはアセンブリ全体を交換する必要が無く、カソード部のみ交換すれば良い。各種のカーボンナノチューブ冷陰極を100kV電子銃テストスタンドに組込んで100~50nsパルス試験を行い、その前後で電子顕微鏡装置を用いて陰極表面形態の観察を行った。それらの結果から、陰極上のカーボンナノチューブの純度と結晶の完全性を上げることにより電界閾値が下がり、より低い電界で大電流領域まで到達できることを示した。さらにパルス幅を8nsに縮め、パルス印加時以外の電子放出を抑える役割を果たす逆方向バイアス電圧を、順方向へと極性を変更し、パルサー出力に直流バイアスを重畳した。これにより放電確率が減り、また3.3kVの高い出力電圧が得られ、改良を加えて新たに作製したカーボンナノチューブ冷陰極から9.1A/cmの電流密度を得た。パルサー出力と直流バイアスを重畳してビームを取出す方式は、電界放出法ならではの方法であろう。560時間におよぶ7.2A/cm2の連続運転の結果、放出電流の減少値は1.3%に留まり、長寿命を持つことも確認された。今後、100A/cm2領域の試験をする為には、グリッド・アノード間における空間電荷制限を除くことが必要であり、それは本電子銃の加速電圧を200kVに上げ、且つグリッド・陽極間の距離を15mmに縮めることで実現できることを示した。また、本研究における電子銃のビーム特性と電子顕微鏡観察の両方の結果から、この目標を達するためには、カーボンナノチューブが金属ベースに強く結合さねており、強い電界を印加しても絶対数が減少しないことが重要な要素であることが明らかとなった。以上、カーボンナノチューブ冷陰極を用いた大電流パルス電子銃特性の安定性が実証され、冷陰極を用いた実用的な電子銃開発に成功したことで、加速器の電子銃としての実用化に大きく寄与する成果が得られたことを報告する。, 総研大甲第941号}, title = {大電流パルス電子銃用カーボンナノチューブ冷陰極に関する研究}, year = {} }