@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000650, author = {永松, 愛子 and ナガマツ, アイコ and NAGAMATSU, Aiko}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {国際宇宙ステーション(Internal Space Station:ISS)では、種々のライフサイエンス宇宙実験が実施される。これらの目的の一つは、搭乗員が長期にわたって宇宙に滞在するためのリスク評価や生物試料に対する宇宙放射線影響を定量的に解明することである。宇宙放射線の存在は、無重力や高真空などと並んで宇宙環境の特異性を代表する重要な要素である。そのため、有人宇宙開発において、宇宙放射線に対する被ばく線量計測は最も重要な技術のひとつとなっている。
 宇宙飛行士のフライト当たりの滞在日数や生涯搭乗日数は被ばく線量で制限されるため、宇宙放射線計測には精度の高いが必要である。また、長期宇宙滞在のリスク評価や遮蔽設計、飛行計画策定のためにも精度の高い被ばく線量測定データの蓄積が求められている。
 宇宙放射線場では、陽子から鉄核までの種々の線質の異なる重荷電粒子が被ばくの主要な原因となる。そのエネルギー範囲の上限は~10GeVを超える。これらの重荷電粒子の線エネルギー付与(linear energy transfer:LET)分布は0.2keV/μmから数百keV/μmの範囲にわたる。このような広いLET分布を持つ放射線混合場における生物の被ばく効果を調べるためには、吸収線量測定だけでは不十分である。なぜなら、数keV/μm~数百keV/μmの高LET領域では、吸収線量当たりの生物学的効果(例えば発ガンなど)が低LET額域よりも大きく発現するからである。従って、宇宙放射線計測では、LET分布測定が必頚となる。
 CR-39プラスチック飛跡検出器は約4keV/μm以上の重荷電粒子に対して飛跡生成感度を持つ。従って、宇宙生物実験や宇宙飛行士の被ばく管理のために宇宙放射線計測で必要とされる高LET成分のLET分布を測定できる。CR-39と熱蛍光線量計(Thermo luminescent dosimeter:TLD)を組み合わせることにより、宇宙放射線に対する吸収線量、線量当量、平均の線質計数を測定することが可能になるこの原理に基づき、宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency:JAIA)ではPADLES線量計測システム(Passive Dosimeter for Life Science Experiments in Space:PADLES)が開発された。PADLESは2.5cm角厚さ5mm程度と小型なので生物試料のごく近傍に設置が可能であり、人体への装着も容易である。また、CR-39とTLDを組み合わせた線量計は、LET分布の測定が可能な宇宙環境用受動型線量計としては現在最も信頼性が高いと考えられている。
  本研究では、二種類の受動型線量計TLDとCR-39から構成されるPADLES線量計を用いて、広いLET領域に渡って、宇宙放射線に対する線量を測定できる線量計測手法を、特に以下の項目に重点をおいて確立することを目指した。
   ①重イオン加速器を用いた地上照射実験による線量計の校正、
   ②CR-39を用いた宇宙放射線に対する核飛跡(エッチピット)解析手法の検討、
   ③TLDとCR-39を高速・高精度に解析するための線量計測システムの開発。
 本論文では、CR-39とTLDのデータを組み合わせて宇宙放射線の線量を評価するための方法、CR-39の高速・高精度・自動解析システム、PADLESを用いたISSにおける宇宙放射線計測実験の結果と考察について述べる。, 総研大甲第1193号}, title = {受動積算型線量計PADLESによる低地球軌道における宇宙放射線計測}, year = {} }