@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000727, author = {永原, 裕一 and ナガハラ, ユウイチ and NAGAHARA, Yuichi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {金融経済分野の時系列データには様々なものがあるが、非正規性や非線形性の特徴がある。本論文では、それらの特徴を表現した、既存のモデルより優れたモデルを提案し、同時に金融経済の問題(投貴家行動、リターン生成プロセス、リスク管理、季節調整等)を解決することを目的としている。
 本論文では、金融経済分野の時系列データとして、主に株価指数と企業倒産件数を取り上げる。前者の株価指数のデータの持つ特徴には以下のものがある。
 まず、株式が上昇する場合と下降する場合での非対称性があげられる。これは、上昇するときは、長いトレンドが続くが、下降するときには、短期間に大きく下降することに見られる。株式投資収益率の分布で考えると、月次などでは正規分布に近いが、週次や目次では正規分布より裾の重い分布になる。これらの特徴を表現しようとすると、正規分布以外の分布を考えなければならない。そこで、この論文では、コーシー分布やt-分布を含むピアソンタイプVIIとその分布を非心化した、ピアソンタイプIVの分布を用い、上昇下降の非対称性や裾の重い分布をモデル化し解析を行なった。
 次に、企業倒産件数のデータの持つ特徴には以下のものがある。大企業の倒産件数は、その母集団に比べ非常に倒産確率が低く、全国で一カ月に数件しがなく、倒産のない月も珍しくない。しかし、そのデータには、季節成分があり、このようにな小数で離散時系列データの季節調整は難しい。この論文では、観測モデルにポアソン分布を導入し、その平均値過程の季節調整を次元の高い一般状態空間モデルの状態推定にも利用できるモンテカルロフィルタによって推定した。
 第1章では、金融経済分野での時系列データの特徴を述べ、Non-Gaussian Modelingの必要性を検討し、関連の研究をサーベイする。
 第2章では、この論文で主に用いられる、ピアソンタイプIV及びピアソンタイプVIIを導入し、さらに、ピアソンタイプIVの基準化定数及び中心モーメントの解析解を導出した。
 第3章では、株式指数の上昇下降の非対称性を投資家の行動の特徴と非心分布によりモデル化した。具体的に述べると、まず、日経225種平均指数や東証指数などは様々な銘柄から構成され、また、それらの銘柄は電機や建設などある特定の業種に分類される。数銘柄から致十銘柄から構成される業種指数として日経36業種指数や東証28業種指数がある。日本においては、経済の状態(景気循環、金利、為替など)によって、業種ごとに1つのグループとして投資される傾向がある。投資家がどの業種を買ってよいが定まらない時、相場の方向性がないといわれ、そのような時、相場全体は小動きするが、大きなニュースが流れると相場全体が大きく上下する。逆に相場テーマが決まり方向性が見えてくると、しばらく、その傾向が持続し相応のリターンが得られる。この現象を表現すると、ある1時点での各業種のリターンの分布がある歪度を持ち、その歪度の絶対値が大きい場合相場の方向性が定まっているといえる。そして、それは次の期間の投資家の予想を反映している。ここでは、以上の現象についてピアソンタイプIVの分布を使った時系列モデルを提案し検証を行なった。実データの分析結果では、AR,ARCH,GARCHモデルより大幅にAICの改善する時系列モデルが得られた。
 第4章では、日米の代表的な株価指数(日経平均、TOPIX、Standard and Poor's)について、その日次の株式収益率の分布に、ピアソンタイプVIIとその分布を非心化した、ピアソンタイプIVの分布をあてはめ、最尤法によってパラメータ推定をおこなった。結果として、形状パラメータは低く、正規分布より裾の重い分布であることがわかった。また、期間によっては、非心である場合があるが、総じて、5年間の単位では、ほぼ左右対称と考えてもよいことがわかった。今まで、ファイナンスでは、この定常分布とその時系列データの発生メカニズムとしての確率微分方程式との関連については、あまり議論されてこなかったが、この章では、Wong(1963),Ozaki(1992)らによる両者の関係を使い、ピアソンタイプVIIとピアソンタイプIVの定常分布を持つ確率微分方程式を導入した。確率微分方程式のパラメータ推定として、定常分布が左右対称で、偶数の自由度のt-分布の場合、遷移密度関数を解析的に求め、最尤法によってパラメータの推定を行なった。さらに、非心がある場合や、形状パラメータが連続である場合、局所線形化法によるパラメータ推定が有効であることを確認した。結果として、定常分布のAICより確率微分方程式のAICの方が小さく、この確率微分方程式が、株式リターンの生成プロセスとしてより良いことがわかった。
 第5章では、最近、株式収益率の時系列モデルとして、その分散変動の時間的変化のモデル化が盛んに研究され、確率分散変動モデルのパラメータ推定は、重要な課題となっている。この章では、まず、ガウス・ノイズを観測ノイズとシステムノイズに含む一般の確率分散変動モデルを一般状態空間モデルで表現し、確率分布を数値的に近似する方法(Kitagawa 1987,1991)によりパラメータ推定を行なった。第4章の研究から、株式収益率は、正規分布より裾の重い分布であることが示されたので、観測ノイズにピアソンタイプVIIの分布を使い、確率分散変動モデルを拡張、一般状態空間モデルで表現し、上記と同様の方法によりパラメータ推定を行なう。さらに、ピアソンタイプVIIの形状パラメータを時変にすることにより、暴落時など大きな構造変化を説明するよりAICの向上したモデルを提案する。結果として、ピアソンタイプVIIを用いた確率分散変動モデルは正規分布の時に比べ大幅にAICが改善し、また、形状パラメータが暴落時前から変化し始め構造の変化を捉えることができた。
 第6章では、大企業の倒産件数のように、季節変動があり、かつ、離散で小数、10件以下で0が続くこともあるデータの季節調整が研究課題である。この章では、観測モデルにポアソン分布を導入し、高次元の一般状態空間モデルのパラメータ推定をモンテカルロフィルタによって行なった。また、シミュレーションも行なった。結果として、0件が続く場合でも季節変動が抽出できるモデルが得られた。, application/pdf, 総研大甲第167号}, title = {A Study of Non-Gaussian Modeling for Financial Economics}, year = {} }