@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000771, author = {藤崎, 陽 and フジサキ, ヨウ and FUJISAKI, You}, month = {2016-02-17}, note = {乗用車の販売及び廃車の年次データの解析に基づく需要予測の新しい方法を提案した。自動車会社にとつて、乗用車の需要予測の精度を上げることは、業務の最適化に大きな役割を果たすだけでなく、関連する多くの会社に影響する重要な経営課題である。従来の需要予測においてはGDPを説明要因とした重回帰式によるものが主流であった。高度成長期のように新規需要が多い時代には、このような手法は有効であったが、自動車市場が成熟し、買替需要が殆どとなりつつある現在では、廃車台数と販売台数はほぼ同じとなり、廃車台数の予測に基づく需要予測を本論文において提案した。データとしては自動車検査協会経由の国土交通省の販売データを用い、経年別保有台数を加工して廃車台数を算出した。
 まず、事前分析においては9社16車種とそれぞれの合計のセグメントを1972年から2001年の30年間にわたる経年廃車台数データより廃車率やハザード率を算出しグラフ化し、その特徴について徹底的に解析した。その結果、販売年に関わらず、また、メーカーやクラス別にも関わらず、「同一年に販売された車が廃車されて行く過程はそのハザード率が概ねロジステイィック函数で近似できる」という共通の構造が存在していることを見出した。そこでハザード率がロジステイィッグ函数となるような確率分布をロジステイィックハザード分布として定義してその性質を調べた。特に分布の平均、分散、歪度などを求め、ロジスティック分布など他の典型的な寿命分布との違いも明らかにした。ロジスティックハザード分布を用いて1972年から2001年の廃車データから最尤法により乗用車全体の販売年毎の廃車分布(同一販売年の車両の廃車時の車齢の分布)を推定した。
 更に、上記のモデルのハザード函数をスプライン函数で修飾してモデルを精密化し、精密化されたモデルを用いて(乗用車全体の)販売年毎の廃車車齢分布を推定し、車検制度が廃車過程に与える影響などについても検討した。推定された販売年毎の廃車分布をもとにして、これから得られる各年次の乗用車廃車台数を推定し、これを重層廃車台数と名付けた。そして重層廃車台数と需要の関係を検討した結果、各年次の乗用車需要が1年先の重層廃車台数に漸減して1に近づく比例函数を乗じたものでよく近似できることを発見した。この事実に、基づき、重層廃車台数と需要実績の間の比例函数をモデル化し、推定された廃車分布を用いて乗用車需要予測モデルを導いた。
 上記乗用車需要予測モデルを用いて実際に需要予測に当たり、幾つかの工夫をした。予測を行う直近の数年間についてはデータが少なく、最尤法により推定した廃車分布は不安定となる。そこで、それ以前の安定した数年の廃葺分布を基に基準となる廃車分布(基準想定廃車分布)を作り、その平均値をより安定した推定および予測が可能である平均廃車年数の推定値と合わせることにより、安定した廃車車齢分布の推定が行なえるようにした。先行きの予測で使う廃車車齢分布についても同様にして平均廃車年数を予測し、基準想定廃車分布をその平均値が予測値に合うように修正したものを用いた。
 こうした工夫を行なった上で乗用車需要予測モデルを1994年、1995年、1996年、2001年の時点で適用し、その有効性について検討した。1996年にあった車検制度変更の影響なども適切にモデル化して取り入れることにより、従来の常識を上回る精度の高い予測を得ることに本論文において成功した。また、車検制度変更の影響を考慮しない場合の予測と比較することにより、制度変更の影響について定量的に検討することが可能となった。
, 総研大甲第900号}, title = {販売年別廃車ハザードモデルに基づく乗用車の年次予測}, year = {} }