{"created":"2023-06-20T13:20:44.488289+00:00","id":777,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"4070927c-98e6-484b-9bdb-f347ffe28328"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"777","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"777"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000777","sets":["2:429:17"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"片岡, 淳"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"0","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"カタオカ, 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/>が発行したRMBS だけでも発行残高は4 兆9368 億円に達する.<br /> MBS に固有で,かつ最大のリスク要因は期前償還によるリスクである.期前償還とは,<br />予定よりも早期に投資元本が償還されてしまうことである.MBS のリスク分析には将来<br />の期前償還率(CPR:Conditional Prepayment Rate)の予測が不可欠である.期前償還は債<br />務者の固有の事情によるものであり,債務者の個別性が大きいため,多くのローンを集合<br />させたローンプールでも期前償還率にはランダムな変動が見られる.このため,期前償還<br />率の将来予測は困難であり,MBS の理論価格やリスク評価において,何らかのモデルに<br />よる分析が必要となる.市場参加者からは他のデリバティブ(例えばオプション取引)に<br />おけるBlack and Sholes の公式のような標準的モデルの確立を望む声もある.また,米国<br />において伝統的に用いられてきたPSA モデルという期前償還率の尺度と同様の標準的尺<br />度を,わが国でも構築しようという意見も出されている.<br />しかし,期前償還率予測モデルの「標準的モデル」の構築は困難であるといわざるを得<br />ない.証券会社各社が公表しているリスク指標には各社で差異が存在している.一方で,<br />期前償還率の予測がしばしば外れるという実務家からの指摘もあり,MBS リスク評価モ<br />デルの安定性は疑問視されている.<br /> MBS を含む債券運用のリスク管理においては,リスク指標としてデュレーション及び<br />コンベクシティが非常に重要である.MBS では市場金利の変動により,普通債では考え<br />られないようなデュレーション及びコンベクシティの変動が発生するため,リスク管理が<br />容易ではない.さらにMBS のリスク評価モデルの不安定性は,MBS 投資をさらに困難<br />なものとしてしまう.<br /> リスク管理の高度化という観点からは,リスク評価のモデルが不安定である場合,その<br />モデルが不安定であることを前提にリスク管理を行うことにより,上記のような問題に対<br />処できるものと考えられる.しかしながら,多くの文献を調べても,MBS 評価モデルの<br />不安定性を指摘する論文は存在するものの稀であり,実際にその不安定性を計量化した研<br />究例は見つけることはできなかった.<br /> 本論文の第1 の目的はパラメータの変化率に対するリスク推定値の変化率をパラメータ<br />センシティビティとして計量化し,そのセンシティビティ自体が金利水準の変化によって<br />どのように変動するかを観察することである.また第2 の目的はその因果関係を明らかに<br />することである.<br /> 本論文ではこれらを明らかにするために,まずCPR モデルを推定した.データとして<br />は一般に公開されているデータを用いたが,このデータは元となる個票データを大幅に縮<br />約したデータであり,多くの情報が捨象されている.このためモデル化の際に先験的情報<br />を用いた.<br /> 次にこのモデルを用いてパラメータセンシティビティが金利水準によりどのように変化<br />するかをシミュレーションによって観察した.金利モデルにはCox, Ingersoll and Ross に<br />よる短期金利モデルを用いた.<br />この結果,デュレーションでは,CPR モデルに対するセンシティビティの方が金利モ<br />デルに対するパラメータセンシティビティよりもはるかに大きいことが確認された.ま<br />た,ほとんどすべてのセンシティビティが金利水準の変動により変化することが分かっ<br />た.CPR モデルの中では特に経年効果に対するパラメータ,金利インセンティブに対す<br />る感応度を表すパラメータに対するセンシティビティが大きいことがわかった.また,コ<br />ンベクシティでも同様の結果が得られた.<br /> パラメータセンシティビティの変動性を理解するためには,パラメータセンシティビ<br />ティとCPR モデル等との因果関係を明らかにすることが必要である.この方法として,<br />CPR モデルと金利モデルから導かれる「デュレーション評価関数」及び「コンベクシティ<br />評価関数」を提案し,パラメータによるセンシティビティの違いや,金利水準による変動<br />の因果関係を明らかにすることができた.<br /> 次に,CPR モデルの妥当性を検討するために,実際に市場で売買されている公庫発行の<br />MBS17 銘柄を対象に,WAL(加重平均残存年数)を推定し,証券会社から公表されてい<br />る数値と比較した.証券会社によってその数値にはばらつきがあるが,本論文で推定した<br />WAL はこれらの証券会社公表値のほぼ中位となった.WAL はCPR モデルに大きく依存<br />するが,WAL の推定値が妥当であることから,本論文で提案したCPR モデルは実務に適<br />用可能な水準にあると考えられる.<br /> また,金利派生証券の価格付けにおいては,金利のランダムな変動性(Volatility)を考<br />慮することが必須であるが,CPR のランダムな変動もMBS の理論価格やリスク指標に影<br />響を与える可能性があると考えられる.この仮説を検証するために,CPR モデルの推定<br />値にノイズを加え,その影響をシミュレーションによって調べた.この結果,CPR のノ<br />イズによる理論価格やデュレーション等のリスク指標への影響は大変小さいことがわかっ<br />た.また,パラメータセンシティビティの推定値に対してもほとんど影響を与えないこと<br />も明らかとなった.<br /> 最後に,MBS に特有の指標で,その売買における重要な判断指標であるOAS(Option<br />Adjusted Spread) についてもパラメータセンシティビティを試算した.OAS のパラメー<br />タセンシティビティの傾向は,理論価格と同様の傾向であることがわかった.<br /> これらの結果は,MBS 投資におけるリスク評価モデルの高度化に資すると考えられる.<br />パラメータセンシティビティは,モデルの不安定性も考慮した新たなリスク管理手法開発<br />への第一歩となる.また現状のMBS 評価モデルに対しても,デュレーション評価関数及<br />びコンベクシティ評価関数を用いることにより,不安定性の原因を見出すことが可能とな<br />るため,最も安定性の要求されるパラメータを選択する基準を与える.<br />MBS はその仕組みが複雑であり,リスク管理も普通債よりも難易度が高い.しかし,<br />高度なリスク管理の手法を多くの投資家が利用できるようになれば,投資家はより安心し<br />てMBS 市場に参加することが可能になると考えられる.本論文が提案したCPR モデル<br />の推定法及びリスク指標のパラメータセンシティビティの評価結果は,複雑なリスクを伴<br />うMBS 投資をより安全なものとし, MBS 市場の効率的かつ健全な発展に資することが<br />期待される","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第994号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"複合科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"15 統計科学専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2006"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"KATAOKA, 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