@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000803, author = {高田, 守昌 and タカタ, モリマサ and TAKATA, Morimasa}, month = {2016-02-17}, note = {極域の氷河・氷床内陸部では、降り積もった雪は気象条件を反映した変質を受け、堆積構造をもつことになる。表面の堆積層は、後からの降雪の荷重により圧密氷化するが、氷化後もこの堆積構造は氷中に含まれる気泡の不均一性として保存されている。従って、氷化後の雪氷コアの気泡形状・数・分布を測定することにより、微細堆積構造が明らかになり、過去の気候推定の手がかりが得られることになる。しかし、気泡情報を高精度で迅速に測定する方法は確立されておらず、微細堆積構造の解析は不可能であった。そこで本研究は、簡便に微細堆積構造解析が可能な装置の開発を行い、さらにこの装置を用いてグリーンランドNGRIP地点で採取された雪氷コアの微細堆積構造構造を明らかにし、その雪氷学的特性を考察した。
 堆積構造測定のため、光を氷に照射し氷と空気の屈折率の違いにより生じる光の散乱から気泡を検出するレーザートモグラフ装置を作成した。本装置は、レーザー光を試料側面から入射し散乱光を試料上面からビデオカメラで撮影する方式とした。装置は、レーザー光源とビデオカメラを同時に等速度で移動させながら撮影し、デジタルビデオで気泡からの散乱光を記録するものである。デジタルビデオで記録された情報を動画としてパソコン上に取り込み、この動画を構成している全画像から画像処理により堆積構造を解析した。
 まず、この装置を用い氷中の微細な気泡情報を抽出するため、測定条件および画像処理方法について検討した。長さ90mm(x方向)、幅45mm(y方向)、厚さ25mm(z方向)に切り出した氷試料を用い、レーザートモグラフによる測定を行なうとともに、片薄片観察でこの氷中に存在する気泡の三次元の分布を測定した。この両者の気泡分布を比較し、その一致率からレーザートモグラフによる画像処理方法の検討を進めた。テストに用いた氷試料の密度は870kg・m-3であり10 0mmオーダーの気泡を多数含んでいた。レーザートモグラフにより測定する直前に、氷試料の測定面およびレーザー入射面は平らに整形した。ビデオカメラの撮影範囲は、x方向が約35mm、y方向が約25mmであり、画像の解像度は約0.05mm/dotであった。また、レーザー光源とビデオカメラの移動速度は約5mm/sとした。実際の観察および撮影で得られた画像で、レーザー光軸上に気泡が存在する画素は周囲に比べ高輝度であった。そこで、気泡率の指標としてレーザー光軸上の輝度の積算値を用いた。しかし、レーザー入射の近傍と遠方とでは大きさや形状の同じ気泡が存在した場合でも輝度値が異なること、およびレーザー入射点から遠方の気泡が検出されにくいことがあるため、レーザートモグラフによる気泡率指標と片薄片観察による気泡率の相関は悪かった。そこでこれらの問題を解決するため、二点についての画像処理方法の改良を行った。まず、レーザー入射の近傍と遠方に存在する気泡を同等に評価するために、全ての画像を二値化することにした。そして、レーザー入射点から遠方の気泡が検出されていないことを改良するために、レーザー光軸から離れた地点においても気泡による散乱が起ることを利用し、レーザー光軸を中心としたある幅の画像を用い加え合わせる方法とした。この改良した画像処理方法により氷中の気泡を検出するため、レーザートモグラフの撮影条件、画像処理上の変数の最適値およびレーザー照射により気泡が検出可能な範囲について検討した。検討した項目は、レーザー入射深さ、二値化の閾値分布、レーザー光軸近傍のx方向の加え合わせ幅、レーザー光の到達するy方向の有効幅、z方向の観察範囲、二次二値化閾値である。二次二値化閾値とは、ある位置の画素は数枚の二値化画像の加え合わせから構成されるが、そのうちの何枚の二値化画像で同一個所から散乱が起きているかで、その画素が気泡であるか否かを判断する閾値のことである。検討の結果、下記の結果が得られた。レーザーの入射深さは、多重散乱による影響を少なくするために浅いほうが良く、測定面から深さ方向に1mmの位置とした。閾値分布は、各画素の閾値を全画像の平均値を基本とし、ノイズレベルを除去できる閾値分布が適当あった。また、x方向の加え合わせ幅は100dot(約5mm)が最適であった。y方向は入射直後の40dot(約2mm)を除きそこから200dot(約1cm)までの範囲がz=0~1mmに含まれる気泡を90%以上の精度で検出できるため評価に有効な範囲であった。そしてz=0.25~0.75mmの範囲で一致率が高く、この範囲で散乱が起りやすく気泡の検出精度が高いことが分かった。さらに、x方向の加え合わせ幅を100dot(約5mm)とすると各個所は27枚の画像に写し込まれるが、このうち13枚の画像で散乱が起った場合を気泡と判断した、すなわち二次二値化値閾値を13としたとき、片薄片観察とレーザートモグラフによる気泡率の相関係数が最大となった。これらの結果、レーザートモグラフを用いて氷中に含まれる気泡の分布を相関係数O.8で評価することが可能となった。, 総研大甲第430号}, title = {レーザートモグラフによる極域雪氷コアの微細堆積構造の解析}, year = {} }