@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000806, author = {鮎川, 勝 and アユカワ, マサル and AYUKAWA, Masaru}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {太陽風と磁気圏の相互作用により発生するオーロラは、夜側だけに起こる現象ではなく昼側にも発生している。 本論では、太陽エネルギーが電離層レベルに直接的に進入することにより発生する昼側のオーロラ現象を南北両半球の地上観測データにより解析した。太陽風(プラズマ粒子)と地球磁場の相互作用で形成される地球磁気圏の昼側高緯度領域には、カスプ/クレフト領域など太陽風が直接的に電離圏まで降下してくる領域が存在する。この特殊領域で見られるオーロラ活動は、夜側のオーロラ帯で見られる現象と異なっている。 昼側オーロラの研究は、これまで人工衛星粒子観測データや地上ホトメータ観測データなどによるカスプ/クレフト領域の議論がなされているが、昼側に特徴的なオーロラの動形態と入射粒子を対応させての解析と議論は必ずしも十分に行われていない。 本論では、南極点基地(74.0°)・グリーンランド(ゴッドハブン:76.6°,ウペルナビーク:80.2°)・スバルバール(ニーオルソン:75.9°)・中山基地(74.5°)等で得られた昼側のオーロラ画像データを調べ、これまでの地上または人工衛星観測データに基づく研究成果との比較検討から昼側オーロラの全体像の解明を試みる。
昼側オーロラの動形態の解析では、形態的な特徴について信頼性の高いオーロラ写真データでオーロラ形態を同定しての定量的な解析を行った。その結果、昼側のオーロラ現象はコロナ状オーロラとバンド/アーク状オーロラの二つの特徴的なオーロラタイプに大別されることが判った。特に、コロナ状オーロラは午前側で顕著に見られる現象で、午後側でも観測されるが静穏時の真昼過ぎの午後側にこのオーロラが見られることは少ない。
 バンド/アーク状オーロラは、コロナ状オーロラが出現する以前の朝側領域と、それが消滅した後の午後側で観測される。 このオーロラの様相は擾乱度などにも関連しさらに細かな特徴をもつ。 本論では、昼側で特徴的な二つのオーロラ形態を実際のオーロラ画像データで明示して、その出現領域の特性を磁気擾乱度や出現時間などの違いとして明らかにしている。動態的な特性は、惑星間磁場(interplanetary magnetic field: IMF)の北向きから南向きへの変化に対応して低緯度に移動し、IMFが南向きのときには磁気緯度(MLAT: magnetic latitude)74~75°より低緯度側に、北向きのときには74~75°MLATより高緯度側に見られる。このことは南極域のデータでも北極域のデータでも同様な傾向を示した。 夜中側のオーロラもこの北向きから南向きへの変化に対応して低緯度に移動し、昼側オーロラの変動パターンと同様な傾向が見られ、オーロラオーバルは昼側でも夜側でもIMF-Bzが南向きで拡大し、北向きで縮小することが観測事実として確かめられた。 これらの結果は、これまでの多くの報告と定性的な傾向はほぼ一致している。
昼側のオーロラ現象を地上で観測すると、観測点の緯度が数度異なるだけでその様相がかなり異なることを著者は経験している。 このことは昼側では狭い領域の磁力線がプラズマシート(plasma sheet: PS)、カスプ(cusp)、低緯度境界領域(low latitude boundary layer:LLBL)、プラズママントル(plasma mantle:PM)、テイル ロブ(tail lobe)など磁気圏の異なる領域と結びつき狭い領域に集中して多彩な入射粒子現象が起きることを反映しているものと考えられる。 昼側領域への入射粒子の分布や特徴は、人工衛星データを用いた多くの報告があるが、これらを地上で観測される実際のオーロラ現象と対応づけて議論した報告は少ない。 本論では、昼側で特徴的なオーロラタイプの形態を同定しその入射粒子の特性を調べている。 静穏時の弱いアーク状オーロラ(weak arc)の入射電子エネルギーは100eV以下を示し、プラズママントルを粒子源としている可能性が高いことが示唆された。 またコロナ状オーロラは数100eV程度の最大エネルギースペクトルをもちLLBLを粒子源としている可能性が示唆された。 地磁気活動の活発時に、コロナ状オーロラは午後側の地磁気地方時(magnetic local time: MLT)13-14h頃で完全に消滅し、変りに明るいバンド状オーロラが出現して高緯度または低緯度方向に周期的に移動しては消える運動を繰り返す。 擾乱時の午後側に特徴的なこの明るいバンド状オーロラに対応する入射粒子のピークエネルギーは1keV程度、フラックスは107/cm2・sec・sr程度であり、このバンド状オーロラがLLBL粒子よりややエネルギーの高い粒子群で励起されていることが示される。 これらのオーロラの粒子源を確定するためには、今後さらに人工衛星の粒子データとの比較検討が必要である。
本論では、IMF-By(惑星間磁場東西成分)の符号に対する昼側オーロラの出現頻度との関係についても調べている。 午前側で主として見られるコロナ状オーロラの出現率はIMF-Byの符号により顕著な偏りは見られないが、午後側で観測されるバンド/アーク状オーロラの出現率はBy<0のときに高くなり、低緯度方向への運動もBy<0の時に発生する傾向が見られる。 この結果は、グローバルなオーロラ画像データを調べたElphinstone et al.(1993)の報告、「By<0のとき.南半球では昼から夕方でオーロラが卓越する」結果と一致している。 IMF-Byと昼側オーロラの関係は今後定量的な解析を行う必要がある。, application/pdf, 総研大乙第69号}, title = {極域昼間側に見られるオーロラの動形態と粒子源に関する研究}, year = {} }