@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000827, author = {山下, 幹也 and ヤマシタ, ミキヤ and YAMASHITA, Mikiya}, month = {2016-02-17}, note = {現在の南極大陸は,そのほとんどが2000mを越える厚い氷床に覆われている.そのため沿岸部を中心としたわずかな露岩を除き,表層の地質情報を直接得ることは難しい.従って地殻の内部構造を推定するには,地震探査をはじめとする物理探査が有効な手段となる.第41次および第43次日本南極地域観測隊(JARE-41,-43)では,みずほ高原において屈折法および広角反射法地震探査を実施した[宮町ほか(2001,2003)].本論文では,これらの探査データに対し反射法的な解析を適用することにより,みずほ高原下での大陸地殻深部の特徴のイメージングとモホ面の形状およびその物理的性質について,新しい知見を得ることを目的とした.
 反射法解析によって得られた反射断面からは,JARE-41,-43両測線とも明瞭な反射面がいくつか見られる.JARE-41測線の結果からは,往復走時約15秒に明瞭なモホ面が検出できた.JARE-43測線では反射面は往復走時で大きく4つに分類できる.一つは5秒付近に見られ,上部地殻と中部地殻の境界であると考えられ,Yoshii et al.(2004)による速度境界(深さ10km)とも対応している.往復走時8~9秒の反射面は,Yoshii et al.(2004)では中部地殻と下部地殻の速度境界に対応している.また,11~12秒に見られる反射面は連続性もよく,JARE-43測線全体にわたって観測できる.SP2の発破では,往復走時13秒と15秒に大きな振幅を持つ反射面が得られた.またSP3の発破では往復走時15秒に強い反射面が得られた.この往復走時15秒の反射面はJARE-41測線で観測されたモホ面に相当すると思われる.またモホ面近傍に見られる反射面は断続的な多数のセグメントに構成され,モホ面が単一な物質境界ではないことを示唆している.隣り合う発破点で得られた,ほぼ同じ位置のモホ面からの反射振幅の強度が異なることから,モホ面直下の物性が均質ではなく水平方向に変化していると推測できる.一方,モホ面からは振幅の非常に大きな反射波が観測されているが,単一の面としてはイメージングされず,幾つかの幅を持った反射面の集合体として検出されている.JARE-41測線ではモホ面は水平に近い単一な面として検出されたが,JARE-43測線では幾つかのセグメントに分かれた反射面で構成され,下部地殻内の反射面はやや南西下がりで傾斜している.このイメージングの違いはかつての圧縮場の影響・圧縮軸の方向を反映していると推定できる.
 JARE-41,-43地震探査データには,いくつかの記録に初動の数秒後に明瞭な後続波が見られる記録が幾つか見られた.JARE-41データのスペクトル解析からは,初動と後続波では異なった卓越周波数を持つことが指摘されている[Tsutsui et al.(2001b).]モホ面近傍での反射波の物理的性質を知るために,モホ面からの反射波(PmP)が観測された点を選び,初動のPgとPmPのそれぞれのスペクトル,およびそれらのスペクトル比(PmP/Pg)を求めた.その結果,得られたスペクトル比の多くはほぼ平坦な特性を示すが,一部にスペクトルのピークが周期的にあらわられていること(例えば12,24,36Hz)が確認された.これらの周波数依存性をモホ面直下の低速度あるいは高速度層での地震波の干渉によるものと考えると,反射断面上で単一な反射面として見られるようなモホ面は,1000m程度の厚さを持つ薄層から構成されていると説明できる.また同じ反射面からの反射波でも,異なる観測点で得られる繰り返し基本周波数(fo)が異なることから,モホ面付近の薄層の厚さが測線に沿って水平方向に変化していることが示唆される.
 本研究で得られた深部反射構造から,みずほ高原下の地殻は速度構造的にはゆらぎは小さいが,速度構造モデルに対応したいくつかの反射面が存在することがわかった.モホ面は単一の境界ではなく,速度コントラストの強い2つの反射面と無数の不連続な反射面の集合体であることが示唆された.このことは,ゴンドワナ大陸分裂時の圧縮場の影響と考えられ,本地域における地殻の進化過程を解明する重要な情報を与えるものである., 総研大甲第806号}, title = {東南極みずほ高原下における大陸地殻の深部反射構造}, year = {} }