@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000831, author = {玉置, 美奈子 and タマキ, ミナコ and TAMAKI, Minako}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {本論文では,メソシデライト母天体の起源を明らかにするために,玄武岩質クラスト
の岩石,鉱物学的研究,全岩化学組成,特に微量元素存在度の決定,鉱物ごとの微量元素
存在度の決定を行い,メソシデライト母天体の形成過程の推定,特に金属相とケイ酸塩相
の混合イベントの制約を行った.

  メソシデライト玄武岩質クラストは,その岩石組織から, 表層あるいは表層付近で急
冷(0.1-100℃/hr)されたと考えられる.メソシデライト玄武岩質クラストが,長期間、高
温(800-1000℃)で熱変成作用を経験している.メソシデライト玄武岩質クラストの鉱物
ごとの微量元素存在度から,変成温度がソリダス温度(1050℃)を超えたため,クラスト
内部で部分溶融を起こし,その結果鉱物内部あるいは鉱物相互で希土類元素の再分配が起
こり,特徴的な組織や希土類元素存在度パターンをつくったと考えられる.メソシデライ
ト玄武岩質クラストはニッケルで270ppmから3200ppmまで10倍以上の組成範囲をもつ.
また,これらの親鉄元素存在度はすべてが強親鉄性元素に乏しい,分化したパターンを持
つ.強親鉄性元素の欠乏の程度は,ニッケル含有量が少ないほど強くなる.これは,ケイ
酸塩相が金属相と混合をした際に,金属相が液として混ざったのではなく,混合時に部分
溶融液を生じ,それがケイ酸塩クラスト内に混入することによって形成したと考えられる.

  これらのことをまとめると,本論で提唱するメソシデライト母天体の形成モデルは以
下のようになる.
  太陽系初期に固体物質の集積により,母天体が成長する.その後内部熱源による母天
体の大規模分化を経験し,母天体表層における地殻を形成する.天体サイズが充分大きく
成長し,また,内部熱源の存在により,母天体は大規模溶融により核マントルの分離を起
こす.母天体表層では活発な火山活動が起こり,玄武岩質地殻の形成が起こる.玄武岩質
地奇形成の年代は,メソシデライト玄武岩質クラスト申に含まれるジルコンから求められ
ている年代と同時期,おそらく約45.6億年前であると考えられる.
  地殻の形成後,母天体上における大規模な熱変成過程を経験する.母天体上において
繰り返し起こる火山活動により,地下に埋められた玄武岩は母天体上で熱変成を受けたと
考えられる.
  その後,母天体表層へ金属相(固体)の衝突が起こった.母天体表層へ,固体の金属
相が衝突し,ケイ酸塩相と金属相のレゴリスを形成したと考えられる.金属相(および一
部のケイ酸塩相)は衝突による熱により,部分溶融を起こす.このとき生じる液は硫黄に
富み,強親鉄性元素に乏しい分化した液となる.部分溶融の程度によりこの分化の程度は
異なる.生じた金属の液の一部はケイ酸塩クラスト中に注入される、それによりケイ酸塩
クラストの親鉄元素存在度は高くなった.
  金属相との混合以降も,母天体表層では衝突による角礫化が進行する.それによりVaca
Muerta 4677のような角礫岩組織が形成する.また,度重なる衝突により母天体深部に埋め
られることにより,メソシデライトのもつ低温でのゆっくりとした冷却速度を獲得したと
考えられる., 総研大甲第995号}, title = {メソシデライト母天体の形成・分化過程に関する物質科学的研究}, year = {} }