@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000851, author = {尾崎, 亮太 and オザキ, リョウタ and OZAKI, Ryota}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {本論文は,計算機に接続し利用者が直接扱うデバイス(以下デバイス)の携帯
利用を支援する技術およびシステムを提案するものである.
利用者が持ち歩くことが可能なノートPCやPDAなどのモバイル計算機が普及
し,利用範囲が広がっている.モバイル計算機を用いて,重要な情報を扱ったり,
複雑な作業に従事することが増えた.そのようなモバイル計算機の利用環境では
次の要件を満たすことが望まれる.(i)高い安全性:データを持ち歩かず,持ち歩
くデバイスそのもののが故障・紛失しても損害が少ないこと.(ii)広範囲の移動で
の継続利用:部屋や建物の階を跨いだ広範囲の移動を伴っても,継続利用が可能
なこと.(iii)小型軽量でシンプル:デバイスは持ち歩き易く,複雑でないこと.
本研究では,このような利用環境に適合する,新たな計算機とデバイス利用形
態を提案する.提案する利用形態は,デバイスを利用者が持ち歩き,手近にある
計算機を経由して,必要なデータへのアクセスや遠隔地との相手と会話する.持
ち歩くデバイスは安価で,紛失や盗難にあっても被害が小さい.また本研究は,提
案する利用形態で利用者が広範囲の移動をしてもデバイスの継続利用を可能とす
るシステムを実現する.提案するデバイス利用形態では,利用者の移動に伴いデ
バイスの接続先計算機が切替わる.これを本研究ではデバイス移動と呼ぶ.本シ
目標である.
第1 章では本研究の背景と目的,第2 章ではデバイス携帯利用を支援する技術
および関連研究について述べる.既存の可搬計算機(PDA 等)やBluetooth と比
較し,デバイス携帯利用法の必要性について述べる.さらにデバイス携帯利用を
支援するシステムを実現するソフトウェア技術について分類・比較する.またそ
れらを踏まえ,本研究の特色について述べる.
本システムは,目的を達成するために,複数の機能を組み合わせて実現されて
いる.それぞれの機能の設計と実現方法について3, 4 章で述べる.
第3 章では,デバイス移動が起きても利用者がデバイス利用を継続可能とする
ための機能を遠隔デバイスアクセス機構上に設計する.本機構は遠隔デバイスを
デバイスファイルとしてアプリケーションに提供する.そのため利用者は既存ア
プリケーションを書き換えることなく利用できる.本機構はサブネットワーク内
の計算機上にサービスグループを形成し,アプリケーションはグループ内の計算
機に接続されたデバイスにアクセス可能となる.また本機構はサービスグループ
内で起きたデバイス移動を検出し,アプリケーションから透過的に遠隔デバイス
アクセス先を切り替える.これらは自動的に処理され,利用者に手を煩わせるこ
とはない.なお開発の容易化と拡張性を高めるため,機能の大部分はユーザレベ
ルプログラムとして実現した.
第4 章では,前章で実現したシステムを拡張し,利用者の移動範囲を拡大する支
援システムを設計する.一つはファイアウォールによって通信が制限されたサブ
ネットワーク間で,遠隔デバイスアクセスを可能とする支援システムである.こ
れにより利用者は遠い部屋や別階などへの広範囲の移動が可能となる.もう一方
は,利用者の移動先に本機構がなく無線アクセスポイントのみ存在する環境にお
いて,利用者のデバイス利用継続のための機能である.そのような環境でのアク
セス継続は,デバイスの接続したモバイル計算機を利用者が携帯することで可能
となる.アプリケーションからデバイスへのアクセスは,無線アクセスポイント
に接続したモバイル計算機を経由して行なわれる.本機構には,利用者の移動に
ともないモバイル計算機のIP アドレスが切り替わっても,遠隔デバイスアクセス
を継続することができる機能を実現した.
第5章で,本システムの評価実験結果について述べる.デバイス特性を基にし
た評価実験により,本システムが遅延への要求が高いデバイスの性能要件を満た
していることを確認した.遠隔デバイスに対するデータ書込み処理時間は,デー
タサイズが4KB の場合,同一サブネットワーク内では約0.8ms、サブネットワー
クを超えた場合(Meidator による中継が2 回の入る)で1.8ms であった.これは
人間が直接使うデバイスとしては,十分実用的な性能である.またデバイスが移
動して接続先の計算機が切り替わる際のサービス中断時間は3~5 秒であり、実用
に耐えるといえる.また提案するデバイス利用形態の応用やセキュリティなどの
観点で議論する.
 最後に第6 章で本論文の成果をまとめる.
 本研究の成果は,新たなデバイス利用形態を提案し,重要な情報を扱い複雑な
作業に従事する環境において,利用者に計算機利用法の代替手段をもたらしたこ
と,支援システムを実現し評価実験によりその有効性を実証したことにある., application/pdf, 総研大甲第996号}, title = {デバイス携帯利用を支援するアクセス継続技術に関する研究}, year = {} }