@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000852,
 author = {中島, 慶人 and ナカジマ, チカヒト and NAKAJIMA, Chikahito},
 month = {2016-02-17, 2016-02-17},
 note = {電力設備や石油プラントなどで設備の稼動状態の把握や、保守保全および警<br />備の観点から、監視カメラを用いた画像監視システムが数多く導入されている。<br />さらに近年､ネットワーク技術の進展や監視カメラの低コスト化などが背景となり、<br />監視カメラの設置台数が増える傾向にある。これらの多くの監視カメラ<br />画像を監視員が見続けることが不可能なため、目視監視を補助あるいは代行す<br />る画像処理が求められている。特に、監視員が目視で行っている以下の機能を<br />持つ画像処理の開発が望まれている。<br />・ 監視領域に入る人物を選択的に実時間で検出する機能<br />・ 検出人物の動作に応じて警報を出すための姿勢の認識機能<br />・ 検出人物の個別認識機能<br />電気事業で利用している画像監視システムに対し、最も要望の高いニーズが侵<br />入監視の自動化である。また、監視対象になる頻度が高いがその全身画像によ<br />る認識はほとんど着手されていないという技術的な理由で、人物の検出と認識<br />を本論文の対象とし、上記３機能の実現方式を目指す。特に、人物の検出と認<br />識は､その形状などが不安定でパラメータ設定が困難なため、機械学習が不可欠<br />である。この機械学習として２分類問題用の識別器であるサポートベクターマ<br />シン（SVM）を使い、監視領域に入る人物を検出し認識する画像処理を考案する。<br />ただし、機械学習を適用しただけでは実時間処理や安定した認識ができない。<br />そこで本論文では、人の視覚野の動き処理と認識処理の関係を参考に、<br />動きによる人物領域の絞り込みを先に行い､その後SVMによる人物の検出・認識を<br />行う段階的な処理で、人物の実時間検出と認識を可能にする方式を示す。<br />  第１に、SVMを使い監視画像から人物を検出する方式は既に提案されているが、<br />従来のSVMによる人物検出方式は、画像内から人物を選択的に検出できる<br />ものの、実時間(30画像/秒)で処理ができなという弱点がある。そこで本論文で<br />は、SVMの人物検出方式を使い実時間で人物を検出するための新しい前処理手法<br />として、固定カメラ用にライン型前処理を、旋回カメラ用に側抑制型前処理<br />を提案する。ライン型前処理は、監視領域内に監視ラインを設定し、監視ライン上で<br />動きの速い部分に優先順位をつけ、優先順位の上位を人物検出の探査範囲とする方式である。<br />一方、側抑制型前処理は、移動中の人物が周囲の背景と異なる動きをすることに着目し、<br />周囲と異なる動き部分を人物検出の探査範囲とする方式である。<br />評価実験では､考案した前処理と従来の機械学習による人物検出方式を使い、<br />実時間で人物検出が可能であることを示す。<br />  第2に、検出した人物の動作に応じて警報を出すには、人物の姿勢を認識する<br />機能が必要となる。全身画像に身体モデルを当てはめる研究成果が多く報告さ<br />れているが、人物の様々な姿勢を定義することが困難なため、人物検出と同様<br />な枠組みで姿勢認識を行う画像監視システムは存在していない。そこで本論文<br />では、代表的な姿勢が定義できる発電所運転時の運転員を撮影する監視カメラ<br />を用い、SVMによる姿勢認識を研究する。運転員の動きと運転姿勢の間には相関が<br />あるので、個々の運転姿勢を個別に学習したSVMを運転員の動きに合わせて動的に<br />切替る動的切替方式を前処理として提案する。評価実験では、典型的な4種類の<br />姿勢を学習することで、監視カメラで撮影した１時間30分の実験画像に対し運転員の<br />向きや姿勢のばらつきに影響されることなく95%の安定した姿勢認識率が得られたことを示す。<br />なお、本成果により画像内の作業員の立ち位置と運転姿勢が分かるため、<br />標準的な運転操作を逸脱した時などに警報を出す画像監視システムの作成が可能となる。<br />  第３に、上述方式で検出した全身画像から人物を特定する認識機能が重要で<br />ある。しかし、人物の服装や形状が常に変化するために安定した認識特徴が得<br />られないことから、人物認識に全身画像は利用されていない。そこで、本論文<br />では研究室内に出入する既知人物８人の16日間の全身画像を使い、SVMによる<br />人物認識を研究した。８人を認識する必要からSVMを段階的に切替る多段戦略と、<br />画像から得られる４種類の画像特徴を用いた認識実験結果を示す。<br />実験の結果､監視カメラで一度撮影した同一日であれば約88～98%の割合で個人を特定<br />できたことを示す。また、100物体が写る7,200画像による定量的な認識検証実験<br />を行い、同様の認識率が得られたことを示す。SVMの多クラス化では、１対他<br />方式と２クラス対方式を比較し、識別人数や学習画像が豊富な場合は学習時間<br />がかからず追加学習が容易な２クラス対方式による多段戦略が実務面で有利で<br />あることを示す。また、SVMの多段戦略よりも、利用する画像特徴に認識精度<br />が依存することを示す。<br />本実験結果は限定的なものだが､監視カメラで撮影した全身画像から、<br />一度撮影した人物を個別に検出する機能の開発に貢献する成果である。<br />以上、本論文では監視カメラに写る人物の全身画像を使い、第１に人物の実<br />時間検出、第２に検出した人物の姿勢認識、第３に検出した人物の認識を実現<br />する方式を提案する。提案方式は、視覚野の処理を参考に、はじめに画像内の<br />動きで処理範囲を絞り込み、次に機械学習で検出/認識を行う手順となっている。<br />学習画像を変更することで人物以外の移動体にも拡張が容易な方式である。さ<br />らに、実用の観点から特殊な装置を使うことなく市販の計算機と監視カメラで<br />実現できる方式を提案している。<br />  本論文は、監視員の目視を補助あるいは一部を代行する高機能な画像監視シ<br />ステムの実現に寄与する具体的な研究成果である。, application/pdf, 総研大甲第997号},
 title = {監視システムのための画像処理による移動人物の検出と認識に関する研究},
 year = {}
}