@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000867, author = {ATCHARIYACHANVANICH, Kanokwan and アチャリヤチャンワニッツ, カノックワン and ATCHARIYACHANVANICH, Kanokwan}, month = {2016-02-17}, note = {本博士論文は、電子商取引市場における消費者の行動に関して、新しい技術やサービスに対する消費者の受容性をはかるTAM(Technology Acceptance Model)を基礎に分析を行い、日本と韓国におけるアンケート調査とその分析を通じて、既存モデルに応用を加えた修正モデルを提案したものである。本論文による貢献内容は、(1)日本と韓国における消費者行動調査を通じた既存モデルの適用範囲と限界の明示、(2)日本および韓国に適用可能な分析モデルの提案、(3)電子商取引の継続利用行動に関する分析モデルの発展、(4)電子商取引の解買行動と継続的利用を統合的に分析するモデルの提案である。
 本論文は、5章より構成されている。第1章では、企業と消費者の間における電子商取引市場(BtoC)における日本の市場規模と成長率の両面が、その先進国である米国に比べて低い水準にとどまっている現状を示し、米国の電子商取引の消費者行動を説明する既存の分析モデルでは日本における電子商取引の消費者行動を説明できないことを示した。
 第2章では、主要な先行研究に関する詳細なサーベイを行い、インターネットでの消費者行動を分析したCheungらの論文、電子商取引の消費者が購買を決定する要因について分析したChenらの論文、および継続的な購買行動に関して分析したBhattacherjeeらの論文について、その内容と未解決事項を明確化した。
 第3章では、電子商取引の消費者行動を分析するため日本および韓国においてインターネットを通じたアンケート調査を実施し、日本調査では1,111サンプル、韓国調査では998サンプルの、インターネット利用者の性別と年齢の分布にあわせた代表性の高い有効回答を得て、多変量解析による分析の手法を提示した。
 第4章では、得られたデータを元に、日本と韓国の比較分析を行った。第一に、修正された分析モデルを日本と韓国にあてはめ、日本と韓国における電子商取引上の消費者行動の共通点と相違点を析出した。日本と韓国に共通した要因としては、信頼性(Perceived trust)が消費者行動にもっとも強い影響を及ぼすことが明らかとなった。このことは、従来の対面に基づいた商取引と比較して不確実性の高い電子商取引において、信頼の概念が普遍的な重要性を持つことを指摘したものであり、今後の当該分野における基礎となる重要な先行知見をもたらした。第二に、消費者が電子商取引を利用することの便益(perceived benefit)を明確化するため、既存モデルにロイアルティ(customer loyalty)の要因を新たに追加して分析した。その結果、ロイアルティの要因は、電子商取引の継続的な利用に強く影響を及ぼしていることが明らかとなった。この知見は電子商取引の活性化を刺激するための効果的なポイントを明らかとしたという意味おいて、研究の実際的・実務的な意義を裏付ける。また、日本の消費者にはインセンティブの要因が作用し、韓国の消費者には顧客満足度の要因が強く作用するなどの相違点が明らかとなり、普遍的な消費者行動モデルを構築するためには、文化差の問題に挑まなければならないことが、今後の課題として明確化された。第三に、消費者の便益(perceived benefit)を分析するためには、時間の節約やお金の節約などに示される外形的な要因(extrinsic benefit)だけではなく、買い物の楽しみや流行感覚といった内面的な要因(intrinsic benefit)に関する心理学的な分析が不可欠であるとする費者行動分析の手法を応用し、その結果、内面的な要因が外形的な要因とならぶ重要な要因群であることが示された。第四に、これらの分析をまとめて、消費者が電子商取引を利用する要因ならびに電子商取引の利用を継続する要因、および消費者の外形的な要因ならびに内面的な要因を統合したモデルを構築した。
 第5章では、統合的な分析モデルが実際の経営最適化に活用される可能性について論じ、本研究が構築したモデルが、個別の商品分類や特定の商品サイトに限定しない一般化された妥当性の高いモデルであることを確認し、多国間比較など今後の研究に結びつく可能性を示した。, 総研大甲第1097号}, title = {A Study on Factors Affecting the Success of Electronic Commerce}, year = {} }