{"created":"2023-06-20T13:20:00.415459+00:00","id":9,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"abb1096c-6bc8-4d86-8b2b-3335fe0332a0"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"9","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"9"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000009","sets":["2:426:3"]},"author_link":["7359","7361","7360"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"藤井, 麻湖"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"フジイ, 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上に提示した二つの通説に対する本論の結論を述べれば、この叙事詩の口頭パフォーマンスが韻文の埋め込まれた散文となっていることを示すことによって、最初の(1)の通説の再検討を迫ることになった。また(2)の通説にかんしては、この叙事詩の理念的スタイルにおける登場人物関係からその再検討の可能性を提示した。すなわち、主人公である英雄は、実は真に主人公とはいえず、表層的には主人公の次位に位置する「第2の英雄」が主人公を抹殺しており、主人公に取って代わっているという構造をそこで示した。そしてこの構造には、「語り手」が現実において虚構を成立させるための複雑な事情が関係していることを詳細に検討した。\n 以上の論点を軸として、本論では7章にわたって以下のように議論を進めた。\n まず第1章においては、アルタイ・ハイラハの概観を与え、とくにこれが非常に一般的であると同時に特殊な叙事詩であることを強調した。そして、本論の理論的枠組みであるナラトロジーと呼ばれる構造分析の手法を解説しながら、ポッペやハイシツヒに代表される従来のモンゴル叙事詩の記述方法の批判的検討をおこなった。\n 第2章では二つの考察を行った。最初の考察ではアルタイ・ハイラハの「物語」部分、次の考察ではアルタイ・ハイラハの冒頭にある「讃歌」部分をそれぞれありかった。前者の考察では、ペルレーという人物の口頭テキストをナラトロジーの最初のレベルである機能分析にかけたほか、アルタイ・ハイラハの三つのテキストの成立過程や内容的構成をおのおの順次紹介したうえで、それらを相互に比較した。後者の考察では、アルタイ・ハイラハの「讃歌」部分を、アルタイ・ハイラハと密接に関連していると考えられるアルタイ・ウリャンハイ集団に伝承されている「アルタイ讃歌」とを、人称に表れる視点の変化という観点から比較した。この結果、両者は表層的な相違にもかかわらず構成的には対応しており、両者の密接な関連性が判明した。この結論は、ドルベト集団で伝承されたこの叙事詩をアルタイ・ウリャンハイ集団に関連づける指標となり、さらに第6章での歴史的文脈の考察においてウリャンハン集団に関連づけるための重要な布石となった。\n 第3章では、まずモンゴル叙事詩の二大モチーフである「婚姻」と「戦闘」のモチーフを対象に、ナラトロジーの第二のレベルである行為項レベルの分析をおこない、両者のモチーフの相互関連性を明らかにした。次にこの考察の成果をいかし、アルタイ・ハイラハの三つのテキストを累積的に行為項分析した。その結果、そこには主人公が自滅的な方法で「第2の英雄」に殺害されるという、表層的には見えないもう一つの物語が存在していることを示した。\n 第4章では、モンゴル叙事詩にかつてミフレマン・パリやアルバート・ロードが提唱した「フォーミュラ」がはたして存在するのかどうかを検討するための予備的考察をおこなった。ここでは、まず伝統的なフォーミュラの概念を再検討し、この概念の曖昧性を排除する必要性を指摘した。その結果、フォーミュラ理論全体をナラトロジーの枠組みに組み込む変形操作をおこなった。そしてこれを「変形フォーミュラ理論」と名づけ、この「変形フォーミュラ理論」から見た場合、通常フォーミュラとみなされているモンゴル叙事詩の「定型的表現」が「フォーミュラ」ではない可能性が高いことを指摘した。そして、日本の山本左右吉の「口語り論」などを参照にしながら、モンゴル叙事詩においてフォーミュラ候補になりうる単位としては、「行」や「節」があるとした。\n 第5章は前章を受けて、アルタイ・ハイラハにおける「行」がフォーミュラとなっているかどうかを考察した。ここでは、行頭韻や四行詩といったモンゴル叙事詩の特徴として自明視されている形式が実は見せかけであることを、この叙事詩の理想的テキストから証明することに努めた。この考察の結果、「行」がフォーミュラではないことを指摘し、アルタイ・ハイラハの口頭テキストを「脱」韻文化した。そして、この叙事詩が韻文が埋め込まれた散文であることを示した。\n 第6章では、社会的文脈や歴史的文脈を組み込むことによって、第3章での行為項分析でえられた構造理解を深めることに努めた。まず、社会的文脈を考慮することにより、「第2の英雄」が「主人公」を抹殺するという背景には、「語り手」がこの叙事詩を王侯貴族の前で語りながら王侯貴族を批判する現実的条件があることを指摘した。つまり、叙事詩の聞き手は叙事詩に登場する人物との身分的対応を想定するために、主人公に隷属する「馬飼いアクサハル」という人物に自らを対応させている「語り手」は、「馬飼いアクサハル」に「主人公」を抹殺させるわけにはいかず、「第2の英雄」に代理戦争を行わせているという可能性を指摘した。さらに歴史的文脈を導入することによって、「語り手」は自らを主人公に隷属している人物に表層上対応させているものの、実は主人公の「祖先」に設定しており、この物語が現実の王侯貴族への批判とはなっていても、その体制自体への批判ではないことに注意を喚起させた。またこの考察の中で、この叙事詩にウリヤンハン集団の歴史やチンギス・ハ一ンとその弟ジョチ・ハサルとの対立といった、「語り手」による複雑な歴史的含意が存在している可能性を検討した。\n 第7章では、ナラトロジーの「外部」に出て、第4章の最後に指摘しておいた「節」のフォーミュラ性について検討した。そしてこの結果、「節」もまた「行」と同様も二基本的構成単位とはなっておらず、フォーミュラではない可能性が高いことを指摘した。最後に、本論でおこなった考察が、ジャンガルやボム・エフレデネといった大きな叙事詩群の解明にも今後寄与できるという具体的見通しを述べた。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第300号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"01 地域文化学専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"1997"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"FUJII, 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