@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000943, author = {相田, 紀子 and アイタ, ノリコ and AITA, Noriko}, month = {2016-02-17}, note = {DNAの超らせん構造は、転写や複製に寄与することが報告されている。原核生物の大腸菌には、弛緩型DNAに負の超らせんを導入する酵素DNA gyraseが存在し、逆の活性を触媒する酵素Topoisomerase Iと均衡して超らせん密度を維持している。大腸菌のDNA超らせん密度は -0.05と計算され、全体として負のらせんの歪みが存在していることが示されている。一方、真核生物でDNA gyraseのcounterpartとして挙げられるTopoisomeraseIIは、DNAgyraseの様に方向性をもってDNAを巻き込むことをしないので(Lee et al,1989)、超らせん型から弛緩型DNAに変換する反応を触媒するが、負の超らせんを導入する活性は見い出されていない。
   超らせん化因子(Superccoiling factor:SCF)は、TopoisomeraseIIと相互作用してDNAに負のらせんを導入するCa2+結合性タンパク質である。太田らによってカイコ後部絹糸腺から精製され(Ohta,1990)、cDNAはカイコ(Ohta,1995)及びショウジョウバエ(Kobayashi et al,1998)でクローニングされている。小林らによってドメイン構造が解析され、Ca2+とSCF内部に存在するCa2+結合モチーフEF - handが超らせん化導入活性に重要であること、C末端側に存在する4アミノ酸残基HDEFがTopoisomeraseIIとの相互作用に必須であることが報告されている(Kobayashi and Hirose,1999)。
   SCFが生体内で担う役割を明らかにするために、本研究では、5’領域が異なる2タイプのmRNAの性格付けから始めた。これらの5’側開始部位とGenomic DNAの塩基配列とを比較すると、TATA - less promoterに見られるInitiaterとDownstream promoter elementのコンセンサス配列(Burke et al,1996,1997)が見つけられた。長いmRNAはシグナルペプチドを持ち小胞体に局在する機能がまだ知られていないタンパク質(DCB45)をコードし、短いmRNAは核タンパク質であるSCFをコードすると結論した。
   次に、多糸染色体上でのSCFの局在を明らかにした。DNA密度が比較的低いインターバンドやパフにSCFの存在が観察されたが、反対にクロマチンが極度に凝縮したセントロメア付近のへテロクロマチンの領域には赤色の染色は殆ど検出されなかった。
   熱ショック及びホルモンに対する応答として転写が盛んに行われている遺伝子座のパフにSCFが局在したことから、SCFは遺伝子発現に関与していると考えられる。TopoisomeraseIIのどの場所にSCFが相互作用するのかについてさらに詳しく調べるために、報告されているドメイン構造(Berger et al,1996)に考慮して、ショウジョウバエTopoisomeraseII cDNAから、組換え体及び欠失変異体を構築した。ショウジョウバエTopoisomeraseII組換え体を大腸菌で発現したところ、全長に相当するタンパク質は微量しか存在しなかったが、32P標識したSCFはこれに強く結合した。32P標識SCFはC末側半分には結合せず、N端側半分の欠失変異体に結合した。N末側をさらに3区分した変異体を作製すると、ATPaseドメインの後半からDNA結合ドメインの前半の変異体(1413)に結合した。HDEFを欠いた欠失変異体SCF(SCF - PKA Δ HDEF)で、同様にFar westernすると、殆ど結合が見られなかった。この結果から、SCFとTopoisomeraseIIの相互作用には、TopoisomeraseIIのATPaseドメインの後半からDNA結合ドメインの前半に至るヒンジ領域があれば十分と結論した。
   SCFが相互作用するTopoisomeraseIIのヒンジ領域をショウジョウバエ個体で強制発現させて内在性のSCFをトラップするために、GAL4 - UASシステムでドライブされるヒンジ領域のトランスジェニックフライを作製した。発現させるヒンジ領域のC末端或はN末端側のいずれかには、FLAGTMタグと核移行シグナルを付けた。Actin5Cプロモータ下GAL4を発現するyw;Act5C17b/TM6Bの他、多数のGAL4発現系統のショウジョウバエと各々掛け合わせたが、次世代の個体には著しい形態変化は見られなかった。
   最後に、C - 46(I)/yW;Df(3L)Ar14 - 8/Act5C17bの個体を得て、熱ショックを37℃1時間与え、hsp70mRNAの発現量の変化をNorthern Blotによって観察した。コントロールyw;(3L)Ar14 - 8/Act5C17bと比較して、約10%の発現量の低下が見られた。ヒンジ領域を強制発現させたラインで、SCFとFLAG付きTopoisomeraseIIヒンジ領域の相互作用が確認され、さらにhsp70mRNAの発現量の低下が見られたことから、SCFがhsp70mRNAの発現に関わることが示唆された。, 総研大甲第432号}, title = {ショウジョウバエ超らせん化因子はパフに局在し、遺伝子発現に関与する}, year = {} }