@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000947, author = {山崎, 正明 and ヤマザキ, マサアキ and YAMAZAKI, Masaki}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {ゲノム全構造決定プロジェクトは、大きなゲノムをもつ、ヒトを含めた多細胞生物へと、研究対象が移行しつつある。本学位論文申請者は、長年に亘り大量塩基配列決定方法の改良に取組んできた。申請論文の前半は、その成果の報告である。論文後半では、自らが開発した方法を、出芽酵母第6染色体DNA 270,148塩基対の構造決定に利用して方法の評価を行い、その配列を分析して得られた出芽酵母第6染色体ゲノムに関する新情報について記載し、また更に、ヒトのクラス I HLA領域DNA 385,633塩基対の構造決定を行い、その配列を分析しでHLA遺伝子群の進化にまで論究したものである。
 大規模DNA塩基配列決定に関しては、ゲノムDNAを断片化し、断片を分画選別することなく無作為に多数を選択し塩基配列を決定し、得られた配列情報をコンピューター上で整列して連結して行く、所謂ショットガン法が、重複配列の無駄があっても結局は最も迅速であるとされている。申請者は、ショットガン法の改良に取り組み、幾つかの技術的革新に成功した。即ち、指摘鎖長のDNA断片を調整する音波処理法、DNA断片平滑化の酵素処理法、ゲノムサイズから理論上予測される必要クローン数の算定法とそのクローン数をもつライブラリー作成技術、二本鎖DNAの両鎖の塩基配列決定法の開発、配列情報の集合し整列するアルゴリズムの開発などで、新機軸を導入した。改良ショットガン法は、我が国のゲノムプロジェクトで広く利用され、申請者自身がその技術指導に当たっている。その上で、自ら、出芽酵母第6染色体と、ヒト染色体HLAクラス I 遺伝子領域の、大規模塩基配列決定に参加し、その結果を分析して、新知見を得ている。
 出芽酵母の、約270kbp鎖長の第6染色体には、100以上の連続したコドンを生物学的に意味のあるORFと仮定した時、129個のORFが同定された。その内、約40%は、機能予測困難な新規遺伝子であった。配列分析の結果得られた新規の情報に、複製起点ARS機能を示す配列の同定がある。既知のARSコア配列との比較から、第6染色体には、合計15個所に完全に一致する配列が存在したが、その内、ARSと実験的に同定されているのは、3個所に過ぎず、逆に、5個所のARSでは、標準配列から1個所で塩基置換が認められた。塩基配列を詳細に解析した結果、複製起点としての活性をもつものでは、一般にコア配列が2回連続して配置されている傾向があることを示唆した。
 一方、ヒトの主要組織適合性抗原MHC遺伝子複合体がコードするヒト白血球抗原HLA蛋白群は、キラーT細胞の認識標的となり、同種個体間で極めて高い遺伝的多型性を示す。申請者らは、ヒト第6染色体HLAクラス I 遺伝子領域のDNA塩基配列約385kbpを決定し、その配列を分析した。その結果、この領域に、6個の既知遺伝子(IkBL,BAT1,MICB,MICA,HLA-B,HLA-C)を同定し、また、5個の新規遺伝子を発見した。HLA遺伝子群の多様性は、遺伝子重複や逆位によって生じたと言われて来たが、DNA塩基配列はそのことを支持した。即ち、分析領域内に、A-A'(MICB遺伝子を含む52kB+MICA遺伝子を含む35kB)とB-B'(HLA-B遺伝子を含む43kB+HLA-C遺伝子を含む40kB)の2対の重複ゲノム断片を発見した。これら2対の断片の重複時期の推定を試みた。その目的のために、起源が古いと考えられている反復配列LINEの、各断片内での相同性の程度を比較した。その結果、A-A'内部では93.7%、B-B'内では87.0%であり、分岐後の時間が後者が長いことを示唆することに成功した。, application/pdf, 総研大乙第65号}, title = {Large-scale sequencing and data analysis foreukaryotic genomes}, year = {} }