@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000967, author = {石原, 宏 and イシハラ, コウ and ISHIHARA, Ko}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {真核生物のゲノムは、境界配列またはインスレーターと呼ばれる配列により機能ドメインごとに区切られている。これらの配列は、特定のエンハンサーが働くドメインを規定している。また、CTCFというタンパク質が脊椎動物のインスレーター配列に結合しエンハンサー遮断活性を持つことがわかっている。マウス7番染色体F4/F5領域には14個のインプリンティング遺伝子を含む約1Mbのドメインが存在し、lgf2とH19の二つのインプリンティング遺伝子がそのセントロメア側に隣接する。さらにその3’(セントロメア)側に位置するL23mrpほか複数の遺伝子は、インプリンティングを受けない。また、H19-L23mrp間の内胚葉特異的エンハンサーは、H19とlgf2に作用するが、L23mrpには働かない。FISH解析で、インプリンティングドメインで見られる非同調的複製から通常の同調的複製への遷移点がH19-L23mrp間にあると推定されている。以上の報告から、H19-L23mrp間にはドメイン境界を規定するインスレーターが存在すると想定されていた。
 本学位論文では、この想定されるインスレーターを同定する目的で、既知のCTCF結合性インスレーターと相同性を有する配列をH19/L23mrp遺伝子間およそ33kbの領域内で検索した。まず、既知のCTCF結合配列を比較して導き出したコンセンサス配列をH19/L23mrp遺伝子間で検索して合計15の相同配列を同定した。ゲルシフト法によりこの内PCT4,PCT12,PCT6/14の三つの配列がin vitroでCTCFと結合すること、PCT12とPCT14はヒト相同領域にも存在しており、ヒトの配列にもCTCFが結合することを見いだした。既知のCTCF依存型インスレーターは、クロマチン中でDNasel高感受性部位と一致するが、PCT12の位置にだけDNasel高感受性部位が見られた。さらにクロマチン免疫沈降法により、PCT12にはin vivoでCTCFが結合しているがPCT4,PCT6/14には結合していないことが示された。CTCFは、その標的配列中のCpG配列がメチル化されると結合が阻害されることが知られている。CpG配列が含まれるPCT4,PCT6,PCT14のメチル化状態を調べた結果、これらの配列はすべて高度にメチル化されおり、それがPCT4,PCT6/14にin vivoでCTCFが結合できない理由であろうと推測された。
 インスレーター候補として残ったPCT12について、コロニーアッセイによりインスレーター活性を調べた結果、PCT12を含む断片は方向非依存性に働くインスレーター活性を持つことが示された。また、CTCFコンセンサス配列部に変異を入れるとその活性の大幅な低下が見られ、その活性はCTCFに依存した。したがって、このPCT12を含む領域がドメインの境界を規定し、CTCF結合配列がその機能に必要である可能性が示された

 以上の研究から、新たに同定したPCT12インスレーターと既に報告されているDMRに存在するメチル化感受性のCTCF依存型インスレーターによって挟まれる形でH19遺伝子とその下流のエンハンサー群がドメイン構造を形成していると推定された。同様なドメイン構造は、ニワトリのβ-グロビン領域にも見られ、CTCF依存型インスレーターがドメイン境界を構成する要素として脊椎動物で共通に用いられている可能性がはじめて示された。この論文の内容は、脊椎動物ゲノムのドメイン構造に新たな知見を与えるものである。, application/pdf, 総研大甲第597号}, title = {Indentification of an evolutionarily conserved insulator element at the 3'boundary of the imprinted Igf2/H19 domain}, year = {} }