@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000968, author = {太田, 欽也 and オオタ, キンヤ and OTA, Kinya}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {「ヒメ目魚の性染色体の進化」を主題とする本学位論文は7章から構成されている。第1章は序論で、この目に属する魚類には浅海性と深海性があり、前者は雌雄異体、後者は雌雄同体であること、過去の論文で深海性の魚類から浅海性の魚類が進化したことが確たる根拠もなく論じられていること、浅海性の魚類の性染色体は雄同型・雌異型であり、雌に鳥類のWに相当する染色体が顕微鏡で観察された報告はあるがZに相当する染色体は発見されていないこと、などが紹介されている。第2章は実験材料であるヒメ目魚の採集記録即ち駿河湾船上奮闘記である。特に深海性魚の採集には漁船の上で操作できる独自の装置を開発して、なるべく新鮮な材料を確保する工夫がなされている。結局浅海性6種、深海性3種が採集された。第3章では、採集した材料からチトクロームb遺伝子をクローニングし配列決定をして、系統樹を作成している。この系統樹は、深海性3種が単系統となることと、これらが浅海性魚から進化してきたことを示している。つまり、第1章で紹介した論文を論駁したことになる。第4章は、細胞中のDNA量を計ることに費やされている。この結果、浅海・深海性どちらも細胞当たりほぼ同量のDNAをもつことが明らかになった。つまり、浅海性魚から深海性魚が進化する際には、染色体の再構成はあったものの、染色体倍加などの大きな変化は起きなかったことを示唆する。第5章は、FISH法によるW並びにZ染色体の同定と発見というこの論文の主要部を構成している。性染色体には繰返し配列が多いという知見にもとづき、5SrRNA遺伝子の繰返し配列をFISHのプローブとして実験を進めたところ、まずWの同定に成功し、次いでZを発見することができた。つまり、顕微鏡のレベルではなく、もっと確実性の高い分子法で両性染色体を同定、発見したわけである。ここでは、浅海性の雄はZZ、雌はWZという性染色体構成になることが論じられる一方で、第3章の結果にもとづいて、深海性魚で性染色体が進化的に消失したことが示された。そして第6章は、性染色体に特有な塩基配列の探索へと続いている。探索は論文を書き上げてからも続行しているが、論文中には、Wに特有な6kbpほどの配列が5SrRNA遺伝子間領域に存在することがと記されている。また、この配列の中に、雌性決定との関係は未だ分からないものの、mapkと相同性を示す配列が存在することを発見した。いずれにしても、性染色体と性決定機構を分けて考える必要があることは、論文に明確に述べられている。
 終章では、結論として、 (1)深海性魚は浅海性魚から進化してきたこと、 (2)深海性魚は浅海性魚から分岐後性染色体を失ったこと、 (3)浅海性魚の性染色体は雄がZZ、雌がWZであること、 (4)Wに特有な塩基配列を見つけたが、その機能については探索中であること、などが述べられている。, application/pdf, 総研大甲第598号}, title = {Evolution of sex chromosomes in the order Aulopiformes}, year = {} }