@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000987, author = {朴, 俊〓[火+玄] and パク, ジョンハン and PARK, Joon-Hyun}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {ユビキチン(ubiquitin)は分子量8,600のタンパク質で、すべての真核生物に共通して存在し、その構造上の保存性がきわめて高いことが特徴である。タンパク質のユビキチン化の作用のおもなものは、それが分解シグナルとして働き、ユビキチン化されたタンパク質が、巨大なプロテアーゼ(protease)複合体であるプロテアソーム(proteasome)の標的となり、急速に分解されることにある。ユビキチン研究が分子遺伝学、分子生物学、細胞生物学の様々な分野から多大の興味を集めてきた。ユビキチンシステムの主要な役割であるタンパク質の分解は、従来の細胞内の不要物の除去機構としての負のイメージを脱して、逆に積極的な細胞機能の調節機構として再評価されるに至っている。その重要性は、細胞間相互作用、細胞周期、情報伝達、遺伝子発現制御など近年ますます多くの重要な生命現象へと拡大し、その分子レベルでの実体が確認されてきている。更に、最近では、ユビキチンによる翻訳後修飾がタンパク質の分解以外のシグナルとして作用し、ユビキチン化タンパク質の機能修飾や機能変換を通して、多様な細胞機能を調節すると考えられるケースが見つかってきたことは、ユビキチンシステムの機能制御系としての位置っけを更に碓固たるものにしている。
 相同組換えは、原核生物および真核生物を問わず重要な生物学的機能であるが、無秩序な相同組換えはゲノムの不安定化を導くので、正確に制御されなくてはならない。二倍体臭核生物では相同組換えは減数分裂に必須であるのに対して、有系分裂期には抑制されているが、この遺伝的組換えの制御機構の、分子レベルでの実体はほとんど未知に残されてきた。最近の研究により、組換えの関連タンパク質が、ユビキチン様のタンパク質であるSUMO(small ubiquitin-related modifier)によって修飾されることが報告された。このように細胞内で様々な役割を果たすユビキチン化が、相同組換え活性の制御にはたして影響を与えているのかどうか、もしそうならば、その生物的な意味を知ることは、興味深くまた重要な研究課題である。
 本研究では、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)におけるユビキチン転移酵素(ubiquitin-conjugating enzyme)のE2分子種の組織的な検索とその機能を解析する過程で、特定の破壊株で、接合型のへテロタリズム(heterothallism; 性的異質接合性)をホモタリズム(homothallism; 性的同質接合性)に転化させるものを見い出している。分裂酵母のユビキチン転移酵素Ubc7を破壊することによって、相同組換えが高頻度に誘発されることが観察された。分裂酵母のへテロタリック株h+Nはmat1座におけるmat配列の重複配列によりヘテロタリズムの表現型を示すことが知られている。Ubc7が欠損すると通常は接合型を変換しないh+N株が、高頻度にホモタリックのh90に変換している。この変換は一倍体細胞内で、減数分裂には依存せずに、高頻度に接合能を有したh90株を生じ、且つ接合や胞子形成を効率よく行っている。この現像はmat2,mat3のサイレント部位での接合型情報を欠矢したタイプのへテロタリック株のh+s及びh-sでは観察されず、h+N株に特異的であった。
 遺伝子座の構造上の変化を調べたところ、ホモタリック株h90と同じ構造を示しており、mat配列の重複配列がUbc7の破壊によってループアウトしていることが示唆された。この組換えはsmt(switching for mating-type)と関連するDSB(double strand break)と考えられる組換えの開始に依存することも示された。また、ade6座での重複配列に対する相同組換えの頻度は、Rad2(hen-1)欠損によるDNAの組換え能の獲得に依存して、Ubc7欠損株では野生型より10倍以上に増加していた。更に、Ubc7破壊株はDNA損傷を誘導する紫外線とMMS(methylmethane sulfonate)の処理に対して野生型より抵抗性を示し、その抵抗性は真核生物の組換え遺伝子RacAホモログであるrhp510機能に依存していた。Ubc7欠損株の多様な性質を明らかにする目的で、セントロメア領域に位置するotr1R遺伝子座へ挿入したade6+指標に、遺伝子silencingへの効果を解析したところ、Ubc7欠損株では部分的にsilencing能を失う現象を見い出した。Ubc7欠損株が相同組換え頻度を上昇させる分子機構のモデルの一つとして、クロマチン構造への影響が考えられる。
 以上の結果を総合して、Ubc7のユビキチン経路は、有系分裂期の相同組換えの起こす開始とその後の組換え自体のステップにわけると、後者を抑制的に制御していると推定している。, application/pdf, 総研大甲第687号}, title = {A ubiquitin pathway associated with genome integrity in fission yeast}, year = {} }