WEKO3
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シミュレーション計算は、局所開放系において空間的に一様な電気抵抗を仮定し、反平行磁場の平衡解を初期配位として磁気流体駆動型リコネクションモデルで行う。すなわち、反平行磁場に垂直なプラズマフローを上下の境界から対称的に流入させることでフローのぶつかる中性面上で磁気リコネクションが誘発される。つまりこのフローを通じて系内に自由磁場エネルギーが継続して注入される。これまでにも磁気リコネクションのシミュレーション研究は国内外を問わず活発に行われてきた。その多くはリコネクションレート、すなわちリコネクションが起こる速さが飽和レートに到達する、いわば初期成長段階での計算で、リコネクション点近傍の構造変化に着目したものである。\u003cbr /\u003e ところで、磁気リコネクションが始まるとそのリコネクションレートは上昇し、その後次第に飽和する。従来の磁気流体駆動型リコネクションでは、その飽和レートは駆動している外部フローに対応して決まり、そのピーク値も飽和レベルであると信じられていた。またリコネクションレートが飽和レートにまで到達すると、その駆動レートが高いほど強いプラズマフローが発生し、数値的な不安定を生じる。そのために計算をさらに長時間続けるのは非常に困難であった。しかし今回この障壁を何とか打ち破るために、数値的に安定なコードを開発し、従来の計算に比べてはるかに長い時間スケールでのシミュレーションを可能にした。\u003cbr /\u003e 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またこの物理的成因を明らかにするために外部パラメータの依存性を調べた結果、1)クラッシュの起こるタイミングは外部フローの流入領域に依存している。2)クラッシュによるリコネクションレートのピーク値は外部フローが強いほど、また流入領域が大きいほど高いレートを実現する。3)逆に外部フローがある臨界値を下回ると、磁気リコネクションの緩和過程に間欠的性質は失われ、ほとんど定常的な状態に落ち着く。4)磁気島はテアリングモード的な不安定性によるものではなく、その両端にできたリコネクション点から磁気フラックスが供給されることによって成長し、発生直後は急速に成長するが、すぐにその成長率はずっと低いレベルにまで減少する。さらにこの衝撃的な速いリコネクションを実現しているリコネクションレートの継続時間を調べたところ、5)外部フローが強いほど継続時間は短くなり、パルス的性質がより強くなる傾向がみられた。\u003cbr /\u003e これまで、太陽フレアで観測される爆発的なエネルギー解放やトカマクプラズマでみられる鋸歯状振動のような磁気プラズマにおける衝撃的な現象において、磁気リコネクションは基本的な役割を演じていると考えられてきた。しかしそのような古典的な拡散時間より数桁も速い時間スケールでの現象を十分に説明できるような速いリコネクションがいがにして実現できるのかは未だに理解されていない。最近ではこの速いリコネクションを実現するために、一般化したオームの法則からの電子の慣性項や圧力項を導入した磁気流体シミュレーションが行われている。しかしながら、本研究ではそのような項をつけ加えずともリコネクションレートのピーク値が駆動レートの10倍を越えるような、速いリコネクションが実現できることを発見した。また、局所開放系における磁気リコネクションの緩和過程に間欠性を見いだし、その衝撃的な現象の物理的成因を調べた。", "subitem_description_type": "Other"}]}, "item_1_description_18": {"attribute_name": "フォーマット", "attribute_value_mlt": [{"subitem_description": "application/pdf", "subitem_description_type": 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局所開放系における磁気リコネクションの緩和過程
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (333.0 kB)
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本文 (7.3 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 局所開放系における磁気リコネクションの緩和過程 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
北端, 秀行
× 北端, 秀行 |
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フリガナ |
キタバタ, ヒデユキ
× キタバタ, ヒデユキ |
|||||
著者 |
KITABATAKE, Hideyuki
× KITABATAKE, Hideyuki |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(学術) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第194号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 数物科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 10 核融合科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1996-03-21 | |||||
学位授与年度 | ||||||
1995 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 外部から継続的にエネルギーが供給されるような開いた局所系において、プラズマのエネルギー解放と構造形成に、間欠性や回帰性といった興味深い性質があるということがこれまでのシミュレーション研究から見つかっている。我々はプラズマのような複雑系では非線形な系の応答における様々な階層でこのような間欠的な性質が存在し得ると考える。そこで本研究では磁気プラズマのエネルギー解放機構に目を向け、その重要な素過程である磁気リコネクションにおいても、その緩和過程に間欠性を見いだせるのではないだろうか、という推察のもとに研究を行った。研究方法としては、圧縮性、抵抗性を考慮したMHD(磁気流体力学)プラズマの大規模な計算機シミュレーションによっておこなう。<br /> シミュレーション計算は、局所開放系において空間的に一様な電気抵抗を仮定し、反平行磁場の平衡解を初期配位として磁気流体駆動型リコネクションモデルで行う。すなわち、反平行磁場に垂直なプラズマフローを上下の境界から対称的に流入させることでフローのぶつかる中性面上で磁気リコネクションが誘発される。つまりこのフローを通じて系内に自由磁場エネルギーが継続して注入される。これまでにも磁気リコネクションのシミュレーション研究は国内外を問わず活発に行われてきた。その多くはリコネクションレート、すなわちリコネクションが起こる速さが飽和レートに到達する、いわば初期成長段階での計算で、リコネクション点近傍の構造変化に着目したものである。<br /> ところで、磁気リコネクションが始まるとそのリコネクションレートは上昇し、その後次第に飽和する。従来の磁気流体駆動型リコネクションでは、その飽和レートは駆動している外部フローに対応して決まり、そのピーク値も飽和レベルであると信じられていた。またリコネクションレートが飽和レートにまで到達すると、その駆動レートが高いほど強いプラズマフローが発生し、数値的な不安定を生じる。そのために計算をさらに長時間続けるのは非常に困難であった。しかし今回この障壁を何とか打ち破るために、数値的に安定なコードを開発し、従来の計算に比べてはるかに長い時間スケールでのシミュレーションを可能にした。<br /> その結果、局所開放系において継続的にエネルギーが供給されているにもかかわらず、極めて衝撃的かつ間欠的なエネルギー緩和過程を発見した。驚くべきことに、リコネクションレートのピーク値が瞬間的に駆動レートの10倍を越える値にまで到達し、なおかつそれが繰り返し断続的に発生することがわかった。そして、そのときの磁場構造の変化を調べてみると、初期段階においてリコネクションの成長が飽和した後、さらに計算を続けた結果、それまでリコネクション点であった電流層付近に突然、磁気島が発生し、成長することを発見した。つまり、それまで点であったところがO点へと形状が変化したのである。そしてその後十分に成長した磁気島が上下からの流入フローに押されてクラッシュを引き起こし、この瞬間にリコネクションレートが急上昇する。まさにこのとき、非常に速いリコネクションが実現している。またこのとき、初期の典型的なアルペン速度の10倍を越える爆発的なプラズマジェットが発生しており、クラッシュによって分断された磁気島はプラズモイドとなって下流域へ走り去る。そしてクラッシュ直後にはまた新たな磁気島が発生し成長している。以上、このような、磁気島が生まれ、成長し、壊れるという一連の現象が繰り返されるという磁場構造の変化がみられた。<br /> さらに、系内に蓄積された全磁場のエネルギー変換率の時間変化を調べると、外部から供給された磁場のエネルギーがゆっくりと系内に蓄積される相と、急速に熱及び運動エネルギーへ変換されることによって解放される相が交互に繰り返しあらわれることをはっきりと見ることができ、このゆっくりとした蓄積相は磁気島の成長が担っていることがわかった。そしてそのバースト的な磁場エネルギーの解放はジュール熱へ変換されるより、プラズマの加速による運動エネルギーへ変換される方が支配的である。<br /> またこの物理的成因を明らかにするために外部パラメータの依存性を調べた結果、1)クラッシュの起こるタイミングは外部フローの流入領域に依存している。2)クラッシュによるリコネクションレートのピーク値は外部フローが強いほど、また流入領域が大きいほど高いレートを実現する。3)逆に外部フローがある臨界値を下回ると、磁気リコネクションの緩和過程に間欠的性質は失われ、ほとんど定常的な状態に落ち着く。4)磁気島はテアリングモード的な不安定性によるものではなく、その両端にできたリコネクション点から磁気フラックスが供給されることによって成長し、発生直後は急速に成長するが、すぐにその成長率はずっと低いレベルにまで減少する。さらにこの衝撃的な速いリコネクションを実現しているリコネクションレートの継続時間を調べたところ、5)外部フローが強いほど継続時間は短くなり、パルス的性質がより強くなる傾向がみられた。<br /> これまで、太陽フレアで観測される爆発的なエネルギー解放やトカマクプラズマでみられる鋸歯状振動のような磁気プラズマにおける衝撃的な現象において、磁気リコネクションは基本的な役割を演じていると考えられてきた。しかしそのような古典的な拡散時間より数桁も速い時間スケールでの現象を十分に説明できるような速いリコネクションがいがにして実現できるのかは未だに理解されていない。最近ではこの速いリコネクションを実現するために、一般化したオームの法則からの電子の慣性項や圧力項を導入した磁気流体シミュレーションが行われている。しかしながら、本研究ではそのような項をつけ加えずともリコネクションレートのピーク値が駆動レートの10倍を越えるような、速いリコネクションが実現できることを発見した。また、局所開放系における磁気リコネクションの緩和過程に間欠性を見いだし、その衝撃的な現象の物理的成因を調べた。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |