WEKO3
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本研究では4頭の若齢ニホンサルA・B・C・D(M.fuscata、推定年齢2.8-3.5歳、体重3.3-4.6kg)を対象とした。サルの身長・体重はそれぞれ1回/月・1回/週の頻度で測定した。サルに歩行運動学習課題(30-60分/回、5回/週)を与えるため、サルを実験者および実験環境に順化させた後に、床上および静止トレッドミルベルト上(60x150cm)での起立姿勢を学習させた。次に動いているトレッドミルベルト(0.7-1.5m/s)上で直立二足歩行を学習させた。サルには報酬として果物の小片を与えた。歩容の縦断的解析期間はサルA・B・C・Dのそれぞれにおいて592・534・567・434日であった。サルの歩容を解析するため、サル左側の耳(頭部)、股(腰部)・膝・足・中足指節(MP)関節部および尾根部にもマーキングした。サルの歩容は高速録画装置(250frame/s)を用いて左側および後方から同時に撮影(学習初期:3回/週、中期:1回/週、後期・完成期:1回/2週間)した。運動力学的解析はサルA・B・C・Dにおいて二足歩行を実行できた時点(19・25・21・22日)から開始した。録画面上のマーキング点から体幹軸および下肢運動のスティックフィギュアを作図した。下肢関節運動の軌跡からは、隣り合う関節(股-膝、膝-足、足-MP関節)の動きについてサイクログラフを作図した。サルA・Bについては56回/592日・38回/534日にわたって歩容の特徴を詳細に解析した。サルC・Dについては主に行動学的観察を行なった。4頭のサルはほぼ同様な過程で直立歩行能力を獲得した。\u003cbr /\u003e3.結果\u003cbr /\u003e サルA、Bの体重はそれぞれの学習期間を通して3.7から5.5kg、3.3から4.8kgに、身長は65から78cm、63から73cmにそれぞれ増加した。二足歩行運動を学習したサルではX線撮影により腰椎の前弯が確認できた。\u003cbr /\u003e 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下肢関節可動域(トレッドミル速度0.7m/s)に注目すると、股関節の最大屈曲・伸展角度は初期では100-140°であった。完成期では両者ともに増加して120-160°となった。膝関節はその値が初期では65-150°であったが、完成期では最大屈曲角度のみが80°に増加した。足関節では初期で85-130°であったが完成期では最大屈曲・伸展角度ともに100-160°に増加した。MP関節では初期で120-265°であった。完成期では最大屈曲角度は100°に減少したが、最大伸展角度は285°に増加し、MP関節の可動域は増大した。サルが安定した歩行運動を実行する時点と関節運動の定常化が確立する時点は個体間でほぼ一致した。\u003cbr /\u003e4.まとめと考察\u003cbr /\u003e 高次脳から下行する歩行発動・制御信号は、脳幹から始まる網様体脊髄路と前庭脊髄路細胞で中継され、歩行リズムを生成する脊髄に伝達される(LawrenceとKuypers,1976;Eiderberg,1981;Mori et al.,1996)。若齢ニホンサルが身体成長と運動学習によって直立二足歩行能力を獲得した背景には二つの中枢神経機序が関与すると考えられる。第一は四足歩行制御に関わる既存の神経機構の改変・強化である。第二は新たな神経機構の動員である。隣り合う下肢関節運動は継続した運動学習によって近位から遠位関節部位へとその協調様式を確立した。この過程は、腰随レベルで吻尾側方向に配列する下肢筋運動細胞の機能的円柱に対する新たな運動下行路、例えば皮質脊髄路などによる軸索投射の吻尾側方向への発達過程を反映し、二足歩行の発動・実行に関わる未発達な神経機構が改変・強化されたことを示唆する。さらに直立二足歩行を実行するためには、両下肢による体幹の支持とバランスの保持が必要である。このような生体力学的な要求に対して、腰椎の前弯に代表されるヒトにみられるような筋骨格系の適応的変化をサルは示した。これらの新しい高次脳機序および筋骨格系の獲得により、サルは体幹と下肢運動分節の動きを時間的・空間的に統合する新たな機能を確立し、直立二足歩行を実行できるようになったと考えられる。", "subitem_description_type": "Other"}]}, 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Acquisition of operant-trained bipedal locomotion in young Japanese monkeys(M. fuscata) : a longitudinal study
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Acquisition of operant-trained bipedal locomotion in young Japanese monkeys(M. fuscata) : a longitudinal study | |||||
タイトル | ||||||
言語 | en | |||||
タイトル | Acquisition of operant-trained bipedal locomotion in young Japanese monkeys(M. fuscata) : a longitudinal study | |||||
言語 | ||||||
言語 | eng | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
橘, 篤導
× 橘, 篤導 |
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フリガナ |
タチバナ, アツミチ
× タチバナ, アツミチ |
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著者 |
TACHIBANA, Atsumichi
× TACHIBANA, Atsumichi |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第617号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 生命科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 20 生理科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2002-03-22 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2001 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 1.目的<br /> 本研究では若齢ニホンサルが身体成長と報酬条件付け運動学習により直立二足歩行能力をどのように獲得するのかの疑問に答えることを目的とした。そのため二足歩行の実行に際して、1)姿勢と下肢運動および2)頭部、体幹、下肢などの運動分節がそれぞれどのように機能協調してくるのかの二点に注目して、サルの歩容を運動力学的観点から縦断的に解析した。<br />2.方法<br /> 本研究では4頭の若齢ニホンサルA・B・C・D(M.fuscata、推定年齢2.8-3.5歳、体重3.3-4.6kg)を対象とした。サルの身長・体重はそれぞれ1回/月・1回/週の頻度で測定した。サルに歩行運動学習課題(30-60分/回、5回/週)を与えるため、サルを実験者および実験環境に順化させた後に、床上および静止トレッドミルベルト上(60x150cm)での起立姿勢を学習させた。次に動いているトレッドミルベルト(0.7-1.5m/s)上で直立二足歩行を学習させた。サルには報酬として果物の小片を与えた。歩容の縦断的解析期間はサルA・B・C・Dのそれぞれにおいて592・534・567・434日であった。サルの歩容を解析するため、サル左側の耳(頭部)、股(腰部)・膝・足・中足指節(MP)関節部および尾根部にもマーキングした。サルの歩容は高速録画装置(250frame/s)を用いて左側および後方から同時に撮影(学習初期:3回/週、中期:1回/週、後期・完成期:1回/2週間)した。運動力学的解析はサルA・B・C・Dにおいて二足歩行を実行できた時点(19・25・21・22日)から開始した。録画面上のマーキング点から体幹軸および下肢運動のスティックフィギュアを作図した。下肢関節運動の軌跡からは、隣り合う関節(股-膝、膝-足、足-MP関節)の動きについてサイクログラフを作図した。サルA・Bについては56回/592日・38回/534日にわたって歩容の特徴を詳細に解析した。サルC・Dについては主に行動学的観察を行なった。4頭のサルはほぼ同様な過程で直立歩行能力を獲得した。<br />3.結果<br /> サルA、Bの体重はそれぞれの学習期間を通して3.7から5.5kg、3.3から4.8kgに、身長は65から78cm、63から73cmにそれぞれ増加した。二足歩行運動を学習したサルではX線撮影により腰椎の前弯が確認できた。<br /> トレッドミル上での歩行運動学習と筋骨格系の成長発達に伴い、若齢ニホンサルは空間内において頭位を安定させて直立二足歩行を実行する新しい運動能力を獲得した。その能力の獲得過程は1)学習初期(19-80日)、2)中期(70-150日)、3)後期(140-290日)、4)完成期(280日以降)の4期に大別できた。歩容の縦断的かつ運動力学的解析から、サルは二つの主要なメカニズムを動員して直立二足歩行能力を獲得することが明らかとなった。<br /> 第一は姿勢の直立に伴う股関節の伸展である。学習初期にサルは体幹軸を前傾させて歩行した。継続した運動学習とともに体幹軸角度(トレッドミル速度0.7m/s)は初期の約70°(SD±5.5°)から完成期の約85°(1.8°)に増大し、サルは歩行時により直立位をとった。空間内での前後・左右・上下方向への体幹軸の動揺の程度も著しく減少した。1歩行周期中の歩幅は初期の約33.0cm(SD±4.0cm)から完成期の約36.0cm(1.3cm)に増加した。継続した学習によりトレッドミル上での左右足の着地・離床位置も一定となり、各歩行周期の歩幅は定常化した。<br /> 第二は下肢関節(股-膝、膝-足、足-MP関節)運動の協調である。学習初期において隣り合う二関節のサイクログラフは歩行周期毎に時間的にも空間的にも変動した。完成期では再現性のある規則的な軌跡となり関節運動は定常化した。この定常化は股-膝関節間では学習の中期に、膝-足関節間では後期に、足-MP関節間では完成期に成立した。関節運動の定常化とともに、サルはトレッドミル速度の変化にも対応して関節角度の可動域を変化させた。<br /> 下肢関節可動域(トレッドミル速度0.7m/s)に注目すると、股関節の最大屈曲・伸展角度は初期では100-140°であった。完成期では両者ともに増加して120-160°となった。膝関節はその値が初期では65-150°であったが、完成期では最大屈曲角度のみが80°に増加した。足関節では初期で85-130°であったが完成期では最大屈曲・伸展角度ともに100-160°に増加した。MP関節では初期で120-265°であった。完成期では最大屈曲角度は100°に減少したが、最大伸展角度は285°に増加し、MP関節の可動域は増大した。サルが安定した歩行運動を実行する時点と関節運動の定常化が確立する時点は個体間でほぼ一致した。<br />4.まとめと考察<br /> 高次脳から下行する歩行発動・制御信号は、脳幹から始まる網様体脊髄路と前庭脊髄路細胞で中継され、歩行リズムを生成する脊髄に伝達される(LawrenceとKuypers,1976;Eiderberg,1981;Mori et al.,1996)。若齢ニホンサルが身体成長と運動学習によって直立二足歩行能力を獲得した背景には二つの中枢神経機序が関与すると考えられる。第一は四足歩行制御に関わる既存の神経機構の改変・強化である。第二は新たな神経機構の動員である。隣り合う下肢関節運動は継続した運動学習によって近位から遠位関節部位へとその協調様式を確立した。この過程は、腰随レベルで吻尾側方向に配列する下肢筋運動細胞の機能的円柱に対する新たな運動下行路、例えば皮質脊髄路などによる軸索投射の吻尾側方向への発達過程を反映し、二足歩行の発動・実行に関わる未発達な神経機構が改変・強化されたことを示唆する。さらに直立二足歩行を実行するためには、両下肢による体幹の支持とバランスの保持が必要である。このような生体力学的な要求に対して、腰椎の前弯に代表されるヒトにみられるような筋骨格系の適応的変化をサルは示した。これらの新しい高次脳機序および筋骨格系の獲得により、サルは体幹と下肢運動分節の動きを時間的・空間的に統合する新たな機能を確立し、直立二足歩行を実行できるようになったと考えられる。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
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内容記述 | application/pdf |