Item type |
学位論文 / Thesis or Dissertation(1) |
公開日 |
2010-02-22 |
タイトル |
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タイトル |
乳腺腫瘍早期診断支援を目指すX線屈折医用画像システムの開発 |
タイトル |
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タイトル |
The development of a system by X-ray refraction-based medical images for early diagnosis of breast tumor |
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言語 |
en |
言語 |
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言語 |
jpn |
資源タイプ |
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資源タイプ識別子 |
http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec |
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資源タイプ |
thesis |
著者名 |
橋本, 英子
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フリガナ |
ハシモト, エイコ
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著者 |
HASHIMOTO, Eiko
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学位授与機関 |
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学位授与機関名 |
総合研究大学院大学 |
学位名 |
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学位名 |
博士(学術) |
学位記番号 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
総研大甲第1107号 |
研究科 |
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値 |
先導科学研究科 |
専攻 |
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値 |
22 光科学専攻 |
学位授与年月日 |
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学位授与年月日 |
2007-09-28 |
学位授与年度 |
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値 |
2007 |
要旨 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
1945年頃まで死亡率の多かった肺炎、結核、胃腸炎などの感染性疾患は戦後急速に減少<br />し代わって、いわゆる生活習慣病(がん、心臓病、脳血管疾患など)による死亡が上位を<br />占めるようになった。がんは1981年頃から死因の第1位を占め、2004年には死亡数320,315<br />人、人口憩万人対死亡率253.9、総死亡数の31.1%となっている。さらに、女性の癌全体の<br />年次罹患率を見てみると、乳癌は1970年頃から増加しはじめ、肝臓、胃を抜き、女性のガ<br />ン罹患率の第1位になっている。このように乳癌は現在深刻な問題となっている。<br />乳房の主な構成成分は乳腺組織と脂肪組織であり、その表面を皮膚が覆っている。乳腺<br />組織は基本単位である小葉・乳管系とそれを取り囲む結合組織から構成されている。乳腺<br />は乳房全体で15~20個の腺葉に分画されており乳頭を中心に放射状に配列している。複合<br />胞状腺パターンを示す最も抹消の小葉から発生する乳管系は2本ずつ次々と合流し、最終<br />的には乳頭表面に開口する。乳頭にはほぼ腺葉の数と同数の乳管開口部が認められる。開<br />口部の直径は1~2mm程度である。それぞれの腺葉は20~40個の小葉から形成されており、<br />小葉内乳管、終末乳管、小乳管、大乳管、乳管洞を経て乳頭表面に達する。このような小<br />葉と乳管の単位が集合して乳腺組織が形成されている。乳管系は小葉から発し、最終的に<br />は乳頭に開口する。乳管は乳腺上皮(乳管上皮細胞)と筋上皮細胞とから形成、2相性を呈<br />している。乳腺腫瘍は非浸潤癌、浸潤癌、Paget病に3大別することができる。その発生初<br />期は、乳管末梢部にあたる小葉で発生する場合が大半を占める。小葉で発生した腫瘍はや<br />がて乳管へと進展する。腫瘍は栄養管を持っていないことから中心部で壊死を起こし石灰<br />化を起こす。<br /> 現在の診断方法としては、このような石灰化した部分を触診やマンモグラフィ等で行っ<br />ている。腫瘍が石灰化を起こすまでに発生から約7~8年の年月を要する。石灰化を起こす<br />前の段階、つまり腫瘍発生初期で発見することができれば、その後の治療や再発の心配も<br />大きく軽減することができる。現在使用されている主な診断は、ものの吸収係数の差異に<br />よる吸収コントラストによって画像化しているが発生初期に検知するには、吸収係数差の<br />小さい部分についての画像化が必要である。<br />そこでA.Maksimenkoによって提案された屈折コントラストアルゴリズムに基づくX線CT<br />を用いて、乳腺腫瘍の早期発見について研究を進めてきた。この手法は被写体内部構造に<br />よる密度に由来するX線屈折率の差違によって可視化している。利点としては、前述した<br />ように吸収係数によらず、軟部組織の画像化することができる。私は総合研究大学院大学<br />で安藤正海教授の指導の下、屈折コントラストに基づくアルゴリズムCTの医学応用の試み<br />について研究してきた。2枚の両面研磨されたシリコン単結晶を用いてX線回折動力学理<br />論に基づき、X線の回折を利用して試料内部の電子密度に由来する屈折効果を抽出し試料の<br />3次元画像化する。この手法は、現在主流となっている吸収係数に基づく吸収コントラスト<br />とは異なり、試料内の電子密度に由来する屈折率によるもので、吸収像に比して1000倍の<br />感度があるため軟部組織の画像化に適している。現在は乳ガンの摘出試料を用いて各種乳<br />ガン試料の描画能の検定を行なっている。非浸潤性乳管ガンでは、乳管内のガン細胞は栄養<br />血管を持たないため、中心部は酸素不足となり壊死に陥る。この壊死の中に生ずる石灰化は非浸潤性乳管ガン特有の特徴であることが言われている。今までの研究では、詳細にスライスして染色しなければ分からなかった。しかし今回の研究で、初めて非破壊で3次元的に観察することが可能となった。さらに、観察した範囲では小葉外乳管は二分岐を2回繰り返していることを確認した。また、乳管に進展したガン細胞集塊が壊死に陥ると、乳管の長管の長軸方向に伸びる線状の壊死や乳管の枝分かれに沿った壊死がおきる.これらの壊死に石灰化が生ずると線状、分岐状の鋳型状石灰化も確認できた。最近、仮想化内視鏡システムの研究が盛んに進んでいる。この手法は1993年から94年にかけてViningや、Toriwaki、mori、Katadaによって提案された。屈折コントラストアルゴリズムによるX線CT技術により、仮想化人体のナビゲーション診断、情報強化内視鏡として仮想・実内視鏡ρ融合などにより医用画像仮想化乳管内視鏡技術により乳管内部構造の3次元的な理解に繋がるものと考える。それをもとに早期診断に向けた開発に取り組みつつある。臨床応用のためには不可欠である視野拡大のためのエックス線光学系の開発と被曝線量軽減化のためのアルゴリズム開発を同時平行に進めている。<br /> 従来のX線画像計測では基本的にX線の吸収でコントラストを得る。骨組織のような原子番<br />号の大きい元素からなる組織では吸収が強く鮮明な吸収コントラストが得られるのに対し、軟組織のような原子番号の小さい元素からなる組織では有為な吸収コントラストが得ることができない。X線の発散を小さくするため、試料の前に非対称角9.5<sup>ο</sup>のSi(220)非対称結晶を配置し、試料を透過したX線はアナライザーとして Si(220)対称結晶を用いたX-ray Diffraction Enhanced Imaging(DEI)法により角度分解される。検出器としてはCCDカメラを用いる。試料はゴニオに固定し、各投影方向で撮影する。試料として乳ガン摘出標本を用い、病変の観察に試みた。その結果、屈折コントラストイメージングは、従来の吸収コントラストによる比べて高い感度でのイメージングが可能であることが実証された。この手法の応用としてまず、医学診断への応用が考えられる。現在の広く一般的用いられている吸収コントラストでは、乳癌発生初期に発見することは難しい。乳癌病巣の中心が壊死をおこし、画像で確認できるような大きさになるまで、少なくとも7年は要する。もし、この発見までの月日を短縮できることができれば、患者への負担も費用も軽くて済む。軟部組織の画像化に優れていることから、乳管や病巣の3次元的な広がりを確認することができる。これによって、正確に病巣の広がりや進展を可視化することができより精密な手術ができることになる。<br /> また、病理学的非破壊検査への応用が考えられる。病理標本では2次元での観察は可能であるが、3次元での観察は難しい。スライス及び、染色された試料を重ねることによって3次元情報を得る研究もなされているが、各スライスの位置合わせ等は簡単なことではない。また、乳癌の種類は多岐にわたっており、簡単に分けても17種類もある。これらの特徴や構造を3次元的に解析することにより、診断や治療の質向上に生かせると考えている。<br />また現在、センチネルリンパ節生検によって摘出されたリンパ節は、術後の病理標本での診断によって今後の治療方針を決めている。もし、この手法を応用すれば、術中にリンパ節への転移診断が術中にできることによってその後の方針を迅速に出すことができるだろう。この屈折コントラストアルゴリズムに基づくX線CTの医学への応用は多くの人々へ診断、治療で寄与できると強く感じている。 |
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