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魚類のコレステロール側鎖切断酵素(P450scc)cDNAの クローニングと卵形成過程における発現の解析
https://ir.soken.ac.jp/records/1298
https://ir.soken.ac.jp/records/1298f116e750-e7b7-4ace-83cb-897708970f16
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (354.6 kB)
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本文 (2.2 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 魚類のコレステロール側鎖切断酵素(P450scc)cDNAの クローニングと卵形成過程における発現の解析 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Fish ovarian cholesterol side-chain cleavage enzyme (P450scc) : cDNA cloning and mRNA expression during oogenesis | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
高橋, 美佳
× 高橋, 美佳 |
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フリガナ |
タカハシ, ミカ
× タカハシ, ミカ |
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著者 |
TAKAHASHI, Mika
× TAKAHASHI, Mika |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第52号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 生命科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | X2 分子生物機構論専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1993-03-23 | |||||
学位授与年度 | ||||||
値 | 1992 | |||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 脊椎動物において、卵黄形成と卵成熟からなる一連の卵形成過程は、脳下垂体から分泌される生殖腺刺激ホルモン(GTH)により制御されている。しかし、このGTHの作用は卵母細胞に直接的ではなく、それを取り囲む卵濾胞組織と呼ばれる体細胞性の2層の細胞層(莢膜細胞層と顆粒膜細胞層)における性ステロイドホルモンの生成を介している。サケ科魚類では脊椎動物で唯一、卵黄形成ホルモン(17β-Estradiol)と卵成熟誘起ホルモン(17α,20β-dihydroxy-4-pregnen-3-one,17α,20β-DP)が単離され、同定されている。これら2種類のステロイドホルモンは、いずれも莢膜細胞と顆粒膜細胞の相互作用(2細胞型モデル)により生成され、卵黄形成期には17β-Estradiolが、その後血中GTH量が卵成熟期直前に急増するのに伴い、17α、20β-DPの生成が急激に起こる。<br /> これら2つの性ステロイドホルモンの生成に共通に関与する酵素としてコレステロール側鎖切断酵素(cholesterol side-chain cleavage cytochrome: P450scc)がある。P450sccは、ステロイド生合成の律速段階であるコレステロールからプレグネノロンへの転換を触媒する重要な酵素であるが、この酵素が上記2種のステロイドホルモンの生成に果たす役割は調べられていない。そこで、本研究では卵形成過程における性ホルモン生成の分子機構を明らかにする目的で、P450scc cDNAのクローニング、及び卵濾胞細胞層でのmRNAの発現を解析した。<br /> 実験材料として、サケ科魚類のニジマス(Oncorhynchus mykiss)とメダカ(Oryzias latipes)を用いた。ニジマスの卵巣には、発達が同調している卵胞が数千個も存在し、RNAの抽出や卵胞の培養が容易である。また、卵胞が大型であるため莢膜細胞層や顆粒膜細胞層の分離ができるため、各々の細胞の機能を解析できるという利点がある。一方、メダカは水温と光周期を調節することにより卵形成過程を制御することが可能であり、卵形成の制御機構を解析するための優れた実験系となる。<br /> まず、ヒトP450sccのcDNAをプローブとしてニジマス卵莢膜細胞層のcDNAライブラリーよりスクリーニングを行い、ニジマスP450scc様cDNAを得た。次に、得られたニジマスcDNAをステロイドホルモン生成能を欠くCOS-1細胞にトランスフェクションさせ、この細胞でのステロイドホルモンの生成能をラジオイムノアッセィ法で解析した。その結果、P450scc様cDNAをトランスフェクションさせたCOS-1細胞では、培養液に添加した25-hydroxycholesterolがプレグネノロンに転換されたので、このcDNAはニジマスP450scc cDNAであると同定できた。このニジマスP450scc cDNAのアミノ酸配列を哺乳類のものと比較すると、全体としては46-48%とその相同性は低かった。しかし、ステロイド結合領域やヘム結合領域では約70%の相同性を示し、これらの領域が動物種間でよく保存されていることが判明した。また、メダカのP450sccについても部分塩基配列を明らかにすることができたが、これから推察されるアミノ酸配列はニジマスとの間に約82%の相同性が認められ、P450sccのアミノ酸配列は魚類間でよく保存されていることが明らかになった。<br /> P450sccはミトコンドリア内膜に存在するタンパク質であるが、その生成は細胞質で行われ、生成後にミトコンドリアに移行する。この移行には、延長ペプチドと呼ばれるN末端側のアミノ酸が必要であると考えられている。N末39個のアミノ<br />酸をコードする領域を欠くニジマスP450scc cDNAを作製し、これをトランスフェクションさせた後のCOS-1細胞におけるステロイド生成能を調べた。その結果、このcDNAを導入したCOS-1細胞では、25-hydroxycholesterolからプレグネノロンへの転換は起こらず、ベクターのみを導入したものとの差はみられなかった。したがって、P450scc活性の出現にはN末端側のアミノ酸が必要であると考えられる。<br /> 次に、卵黄形成期から成熟完了期までの種々の発達段階にあるニジマス卵濾胞細胞層におけるP450scc mRNAの発現をノーザンブロット法により解析した。ニジマス卵胞にはP450scc cDNAにハイブリダイズする一種類のmRNA(1.8kb)が存在し、このmRNA量は卵黄形成初期の卵濾胞細胞層で少なく、卵成熟期に近づくと増加した。また、これらの時期における血中のプレグネノロン量の変動を指標としてP450sccの酵素活性を推察すると、その活性は卵形成の進行に伴い増加し、卵成熟期には最も高くなることが明らかになった。卵成熟期には、サケ科魚類の卵成熟誘起ホルモンである17α、20β-DPが卵濾胞組織で多量に生成されることがわかっている。したがって、P450sccは、卵成熟期の卵胞では17α、20β-DPの生成に必要な前駆体ステロイドの供給に重要な役割を果たしている可能性が高い。メダカについて同様な方法により卵成熟期の卵濾胞細胞層のP450scc mRNAの発現を解析した。水温と光周期を調節することにより卵形成過程を正確に同調された個体より種々発達段階にある卵胞(産卵前2-23時間で3時間間隔)を得て、本研究でクローニングされたメダカP450scc cDNAクローンをプローブに用いて、mRNA量の変動を調べた。P450scc mRNA発現は、産卵前11、14、17時間の卵成熟期直前の卵胞にのみ認められた。これらの結果より、メダカ卵胞でもP450sccは卵成熟誘起ホルモンの生成に必要な前駆体ステロイドの供給に重要な役割を果たしているものと考えられる。<br /> さらに、卵黄形成期のニジマス卵濾胞細胞におけるP450scc遺伝子の局在、及びGTHによる発現を調べた。whole mount in situ hybridizationによる解析から、P450scc遺伝子が卵濾胞組織に斑状もしくは粒状を呈して存在することが確認され、この方法が卵濾胞組織における遺伝子発現の研究に有用であることが明らかになった。しかし、この方法では現在、P450scc遺伝子の莢膜細胞層と顆粒膜細胞層における局在を明確に示すことはできなかった。分離濾胞細胞層を用いたノーザンブロット解析により、P450scc mRNAのシグナルは莢膜細胞層に認められたが、GTHの処理で発現を著しく促進されることはなかった。一方、顆粒膜細胞層ではGTH処理前にはP450scc mRNAはまったく認められなかったが、GTH処理後には発現がみられた。このことは、GTHの血中量が急激に上昇する卵成熟時の顆粒膜細胞層でもステロイド前駆体の生成が起こる可能性を示唆するものであった。<br /> 以上、本研究において、ニジマスよりP450scc cDNAをクローニングし、卵形成過程における発現を解析した結果、GTHの急激な増加に伴う顆粒膜細胞層における成熟誘起ホルモンの急増の際にP450scc mRNAが、顆粒膜細胞層においても発現し、ホルモン生成に必要な前駆物質を供給する働きをしているものと考えられた。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |