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  1. 020 学位論文
  2. 文化科学研究科
  3. 04 日本歴史研究専攻

香具師系露店商の民俗学的研究

https://ir.soken.ac.jp/records/130
https://ir.soken.ac.jp/records/130
cb153874-f6e0-4331-a2a4-d96b18b9ad6c
名前 / ファイル ライセンス アクション
甲1184_要旨.pdf 要旨・審査要旨 (350.6 kB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2010-02-22
タイトル
タイトル 香具師系露店商の民俗学的研究
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
資源タイプ thesis
著者名 厚, 香苗

× 厚, 香苗

厚, 香苗

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フリガナ アツ, カナエ

× アツ, カナエ

アツ, カナエ

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著者 ATSU, Kanae

× ATSU, Kanae

en ATSU, Kanae

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学位授与機関
学位授与機関名 総合研究大学院大学
学位名
学位名 博士(文学)
学位記番号
内容記述タイプ Other
内容記述 総研大甲第1184号
研究科
値 文化科学研究科
専攻
値 04 日本歴史研究専攻
学位授与年月日
学位授与年月日 2008-09-30
学位授与年度
値 2008
要旨
内容記述タイプ Other
内容記述 日本の祝祭空間で露店を営む専業的な露店商は香具師(ヤシまたはコウグシ)、テキヤ<br />などといわれる。そのような商人を本論では香具師系露店商と呼ぶ。本論の目的は、そ<br />の香具師系露店商たちが「昔から」伝えているという慣行のうち、露店商いという生業<br />活動を支えている慣行と、その意義をあきらかにすることである。<br /> 東京都区部東部において香具師系露店商はテキヤといわれている。本論では仮に東京<br />会と呼ぶひとつのテキヤ集団と、その構成員たちのつたえる慣行を研究対象とする。東<br />京会の構成員の間には「昔から」そうしていると説明される事象が伝わっている。その<br />なかから本論では二十一世紀初頭の東京都区部東部で、露店商いという生業活動を維持<br />するために有効に機能していた慣行を分析する。<br /> 本論は7章から構成される。1章では研究目的を述べて研究史を概観する。ただし本<br />論が研究対象とするような専業的露店商の現代的な研究は管見の限りみあたらない。し<br />たがって社会学など近接諸分野の研究成果や、研究書ではない一般書にも目をむける。<br />2章では研究方法と、その限界について考える。本研究はフィールドワークから得られ<br />たデータに基づいている。しかし香具師系露店商という研究対象ゆえの調査の限界や、<br />あきらかになったことを記述する際の制約がある。その限界や制約を確認する。<br /> 3章から6章は事例研究である。3章では東京会の集団構造と維持原理を考察する。<br />東京会の構成員の間には二種類の親分子分関係がみられる。その二種類の親分子分関係<br />によって東京会の集団構造は入れ子状構造となっている。また東京会の集団維持原理に<br />は血縁否定、序列間移動、新参者の恒常的受け入れという三つの特徴があることを指摘<br />する。3章で論じる集団の構造と集団維持原理は4章以下でおこなう分析の前提になる。<br />4章では東京会がもつ資源としての「なわばり」を事例に、東京都区部東部に複数存在<br />する香具師系露店商集団が伝える「なわばり」をめぐる慣行をあきらかにする。香具師<br />系露店商集団には「なわばり」という勢力範囲がある。通例「なわばり」とは排他的な<br />性格を有しているものである。しかし東京都区部東部にみられる香具師系露店商集団の<br />「なわばり」は排他的ではなく重なり合っている。この重なり合う「なわばり」を香具<br />師系露店商はアイニワという民俗語彙で表現する。このアイニワの慣行について検討す<br />る。<br />5章では露店商いの際に無形の出店許可証のような役割をはたす「名乗り名」の慣行<br />と、その機能をみていく。「名乗り名」は3章でみた集団構造を反映している彼らの間で<br />のみ使用される名である。この「名乗り名」は香具師系露店商たちが仲間を見分けるた<br />めの慣行であるが、それだけでなく混乱がおこりにくい祝祭空間の形成に寄与している。<br />すなわち「名乗り名」の慣行とのかかわり方によって、祝祭空間にいる露店商は、一人<br />前の香具師系露店商、一人前になっていない香具師系露店商、カギョウチガイ、カタギ<br />の四種に分類されている。祝祭空間を采配する立場にある一人前の香具師系露店商は、<br />多種多様な露店商を、この分類によって把握する。そして各人と適切な社会的距離を保<br />つように努めることで、浪乱がすくない祝祭空間の運営を可能にしている。<br /> 6章でほテイタとよばれる祝祭空間の備忘録を読み解く。テイタはセワニンといわれ<br />る祝祭空間の責任者が作成して自宅で保管する記録である。その記述方法は粗雑で、記<br />号のような書き方も多用される。したがって記録の作成者が何を書き留めたかったのか<br />を理解するためには、香具師系露店商の慣行をめぐる知識が欠かせない。そこでフィー<br />ルドワークから得られた知識をもとにして、テイタの内容の理解を試みる。この作業を<br />通じて、彼らが自分たちの作り出す祝祭空間をどのように捉えているのかを検討する。<br /> 7章では3章から6章での議論の要点を確認したあと、東京会につたわる商いをささ<br />える慣行の文化的特徴について論じる。6章までの議論であきらかになった露店商いを<br />ささえる慣行は、祝祭空間を創造するためのものである。そしていわゆる都市下層の貧<br />困層に充実した生活をもたらす。まず祝祭空間の創造にかかる文化的特徴として、&#9312;周<br />到なコンフリクト回避がおこなわれる点、&#9313;慣行を理解しているものが祝祭空間におい<br />て少数派である点を指摘できる。つぎに香具師系露店商を都市下層の生業活動としてと<br />らえ、その文化的特徴をみると、&#9312;自律的に働くことによって生活しているという充実<br />感を商人にもたらす点、&#9313;他者との接触を増やすことで社会から孤立しているという感<br />覚を鈍らせる点が注目される。香具師系露店南条団に加入することで血縁や地縁にもと<br />づく他者とのかかわりが希薄になった人びとは、生活の手段を獲得するとともに再び地<br />域社会に戻される。都市における貧困は普遍的にみられ、その貧困を根絶することは極<br />めて困難である。目を背けることができないその現実のなかで、香具師系露店商の慣行<br />は、ある種の社会保障のような役割を果たしてきたと考えられる。
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値 有
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Ver.1 2023-06-20 16:14:59.129123
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