WEKO3
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これらの結果は,植物の液胞内へ輸送されてきたVPEの前駆体力稍己触媒的に活性化され,この活性型酵素が各種の液胞タンパク質の成熟化に関与しているというカスケード機構の存在を強く示唆している.ここで成功した酵母細胞での発現系を用いた解析により,VPEによる植物液胞タンパク質の成熟化現象の生理的役割について明らかになることが期待される.\u003cbr /\u003e\u003cbr /\u003eアスパラギン酸プロテアーゼ(AP)の液胞タンパク質の成熟化への関与\u003cbr /\u003e 酵母ではプロテイナーゼAがカルボキシペプチダーゼYをはじめとする液胞タンパク質の成熟化に関与していると考えられている.プロテイナーゼAや動物のカテプシンDと類似性を示すアスパラギン酸プロテアーゼ(AP)が植物液胞タンパク質の成熟化に関与しているかどうかを検討するため,ヒマ種子から48kDaのAPを精製した.精製酵素に対する抗体を調製し,その抗体を用いて細胞内の局在性及び種子の登熟期から発芽生長期における酵素量の変動を調べた.その結果,APはVPEと同様にヒマ種子細胞の液胞内に局在し,その酵素量が種子の登熟期には増加し,発芽生長期には減少することが判った.しかし精製VPEがデンスベシクル内の複数の前駆体タンパク質をプロセスするのに対して,精製APによっては,どのタンパク質のプロセシングも起こらなかった(報文3).\u003cbr /\u003e 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高等植物の液胞タンパク質の成熟化機構に関する細胞生物学的研究
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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||
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 高等植物の液胞タンパク質の成熟化機構に関する細胞生物学的研究 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
平岩, 呂子
× 平岩, 呂子 |
|||||
フリガナ |
ヒライワ, ナガコ
× ヒライワ, ナガコ |
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著者 |
HIRAIWA, Nagako
× HIRAIWA, Nagako |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第278号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 生命科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | X2 分子生物機構論専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1997-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
1996 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 植物の種子は,次世代の胚が生長するための栄養源としてタンパク質を大量に蓄えている.このタンパク質は種子の形成過程中に合成され,細胞内の液胞に蓄積される.一般に植物の液胞は細胞内不要産物の分解の場と捉えられていることから考えると,この時期の種子細胞の液胞は極めて特殊な機能を持つといえる.当該研究室では,種子細胞の液胞に含まれる様々な種子タンパク質の生合成と細胞内輸送機構の解析を進めてきた.その結果,種子タンパク質がrERで前駆体として合成され,デンスベシクルによって液胞に送られることを示すと共に,液胞プロセシング酵素(VPE)によってプロセシングを受け,液胞内に蓄積することを明らかにした.種子タンパク質をはじめとした液胞タンパク質の成熟化は,一連の液胞タンパク質の生合成過程の最終段階で起こることから,液胞タンパク質の最終的な構造を決寓する重要な現象と見ることができる.この液胞タンパク質の成熟化機構を理解するため以下の研究を遂行した.<br /><br />液胞プロセシング酵素(VPE)の種子細胞内における局在及び様々な植物器官におけるVPE活性の検出<br /> VPEはデンスベシクル中に含まれる種子タンパク質前駆体のプロセシングを行う酵素として見出された.ヒマ登熟種子細胞内のVPEの局在性について免疫電子顕微鏡観察及び細胞分画を行って調べたところ,VPEが液胞内の可溶性領域に局在していることが判り,種子細胞内の液胞で機能していることが明らかになった.VPEは前駆体タンパク質のアスパラギン残基のC末端側のプロセシングを行うが,これと同様のプロセシングが木葉や根といった栄養器官の液胞タンパク質の成熟化の過程でも起こることが知られている.VPEが種子いわゆる貯蔵器官だけでなく栄養器官で機能しているかどうかを検討するため,合成ペプチドを基質とした活性測定を行ったところ,VPE活性が様々な植物の栄養器官から検出された(報文1).最近,シロイヌナズナから3種類の本酵素のホモログの遺伝子が単離され,それらの発現様式についての解析から,貯蔵器官に局在する酵素群と栄養器官に局在する酵素群に分かれることが明らかになってきている.この結果も,貯蔵器官から見出<br />されたVPEが栄養器官でも機能していることを支持している.<br /><br />酵母を用いたVPEの活性発現機構についての解析<br /> ヒマ種子の免疫電子顕微鏡観察によりVPEが液胞のみならずデンスベシクルにも局在することが判った.デンスベシクルは種子タンパク質前駆体を多量に蓄積しているが,単離したデンスベシクル内ではこれらの前駆体の成熟化は起こらない この結果から,デンスベシクル内に局在するVPEは不活性型前駆体であると考えられた(報文1).不活性型前駆体の存在はVPEのcDNAを用いた解析からも支持され,VPEの不活性型前駆体を活性型へ変換する活性発現が植物液胞内で生じることを示唆している.<br /> VPEの活性発現機構について調べるため酵母細胞で本酵素の発現を行ったところ,酵母の液胞内で不活性なVPE前駆体が限定分解を受け,生じた発現産物がVPE活性を持つことが判った.酵母の液胞内プロテアーゼの1つであるカルボキシペプチダーゼY前駆体はアスパラギン残基のc末端側で切断を受け,成熟化することが知られている.酵母細胞内に発現させたVPEがこのカルボキシペプチダーゼY前駆体をもプロセスしたことから,酵母液胞内でもVPEが活性を持ち,機能していることが示された(報文2).<br /> VPEはそのcDNAを用いた解析からパパインに代表される既知のシステインプロテアーゼ群とは系統が異なる,新規のシスティンプロテアーゼである.パパインの活性中心近傍のアミノ酸配列とVPEホモログ間のアミノ酸配列との比較から,ヒマVPEは開始メチオニンから83番目のシスティン残基及び1釦番目のヒスチジン残基を活性中心に持つことが予想される.そこでこれらのアミノ酸残基をグリシン残基に変えた変異タンパク質を発現させたところ,VPE前駆体が蓄積するのみで限定分解が起こらず,VPE活性も検出されなかった.このことから,酵母で発現させたVPEが液胞内で自己限定分解により活性化されていることが示唆された.<br /> これらの結果は,植物の液胞内へ輸送されてきたVPEの前駆体力稍己触媒的に活性化され,この活性型酵素が各種の液胞タンパク質の成熟化に関与しているというカスケード機構の存在を強く示唆している.ここで成功した酵母細胞での発現系を用いた解析により,VPEによる植物液胞タンパク質の成熟化現象の生理的役割について明らかになることが期待される.<br /><br />アスパラギン酸プロテアーゼ(AP)の液胞タンパク質の成熟化への関与<br /> 酵母ではプロテイナーゼAがカルボキシペプチダーゼYをはじめとする液胞タンパク質の成熟化に関与していると考えられている.プロテイナーゼAや動物のカテプシンDと類似性を示すアスパラギン酸プロテアーゼ(AP)が植物液胞タンパク質の成熟化に関与しているかどうかを検討するため,ヒマ種子から48kDaのAPを精製した.精製酵素に対する抗体を調製し,その抗体を用いて細胞内の局在性及び種子の登熟期から発芽生長期における酵素量の変動を調べた.その結果,APはVPEと同様にヒマ種子細胞の液胞内に局在し,その酵素量が種子の登熟期には増加し,発芽生長期には減少することが判った.しかし精製VPEがデンスベシクル内の複数の前駆体タンパク質をプロセスするのに対して,精製APによっては,どのタンパク質のプロセシングも起こらなかった(報文3).<br /> 種子タンパク質の1つである3アルブミンの前駆体は2つのアスパラギン残基のC末端側でVPEによるプロセシングを受けることにより,2つのサブユニットに分かれる.成熟型2Sアルブミンの一次構造と前駆体のアミノ酸配列とを比較すると,2Sアルブミン前駆体は成熟型タンパク質には存在しないプロペプチドを持つことが判る.2Sアルブミンの成熟化の過程で,VPEによるプロセシング後にこのようなプロペプチドの除去が必要となってくる.ここで精製した廖はシロイヌナズナ2Sアルブミンのプロペプチド断片を複数箇所で切断する活性を持つことから,APがプロペプチドの分解除去を行っていると考えられた.以上のことから,液胞タンパク質前駆体は液胞内でVPEにより第一段階のプロセシングを受を九更に盾により残るプロペプチドの分解が触媒されることによって,成熟型に変換されることが示唆された. | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |