Item type |
学位論文 / Thesis or Dissertation(1) |
公開日 |
2010-03-24 |
タイトル |
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タイトル |
ROLES OF AXIAL LIGANDS IN CATALYTIC OXIDATIONS BY HEME ENZYMES |
タイトル |
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タイトル |
ROLES OF AXIAL LIGANDS IN CATALYTIC OXIDATIONS BY HEME ENZYMES |
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言語 |
en |
言語 |
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言語 |
eng |
資源タイプ |
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資源タイプ識別子 |
http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec |
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資源タイプ |
thesis |
著者名 |
高橋, 昭博
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フリガナ |
タカハシ, アキヒロ
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著者 |
TAKAHASHI, Akihiro
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学位授与機関 |
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学位授与機関名 |
総合研究大学院大学 |
学位名 |
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学位名 |
博士(理学) |
学位記番号 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
総研大甲第1222号 |
研究科 |
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値 |
物理科学研究科 |
専攻 |
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値 |
08 機能分子科学専攻 |
学位授与年月日 |
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学位授与年月日 |
2009-03-24 |
学位授与年度 |
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値 |
2008 |
要旨 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
金属元素は生体にとって必須微量元素の一つであり、鉄、銅、亜鉛、コバルト等は生命<br />活動を維持していく上で重要な役割を担っている。中でも鉄イオンは蛋白質と結合するこ<br />とで、酸素運搬や電子伝達といった多様な生理機能を発現する。鉄含有蛋白質としては、<br />古くから補欠分子族として鉄ポルフィリン錯体をもつヘム蛋白質が代表的である。中でも、<br />ペルオキシダーゼ(基質の一電子酸化酵素)やカタラーゼ(過酸化水素分解酵素)、シトク<br />ロムP450(一原子酸素添加酵素)は酸索を活性化するヘム酵素の代表例としてよく知ら<br />れている。これらヘム酵素は酸素原子を活性化するために鉄イオンとポルフィリン環がそ<br />れぞれ一電子酸化された『鉄四価オキソポルフィリン π-カチオンラジカル』(通称、<br />Compound I) 中間体を生成する。このような酸素原子の還元的活性化は鉄イオン単独で<br />は難しく、蛋白質との共同作業が織りなす生体酸化反応といえる。しかし、これらヘム酵<br />素の酸化活性メカニズムに関しては共通のCompound I中間体を介していることを除いて<br />不明な点が多く残されている。本学位論文では、鉄イオンを取り囲んでいる配位構造の違<br />いに注目し、これらヘム酵素のもつ優れた酸化活性機構について研究した。<br /> 上記3つのヘム酵素の鉄イオン周りの配位構造に関しては、プロトポルフィリンIXと<br />呼ばれる共通の配位子が結合している一方で、ある特徴的な違いが知られている。それは<br />鉄ポルフィリン錯体と蛋白質をつなげているヘムからみて軸位に位置するアミノ酸配位子<br />(以下、軸配位子)の存在である。ペルオキシダーゼではヒスチジン由来イミダゾール、<br />カタラーゼではチロシン由来フェノレート、さらにシトクロムP450ではシステイン由来<br />チオレート配位子がX線構造解析より確認されている。鉄イオンに直接結合しているこれ<br />ら軸配位子の存在は、Compound I中間体の酸化活性とも関連してこれまでその役割が注<br />目されてきた。しかし、鉄ポルフィリンを取り囲む蛋白質環境の違いや、酵素内での<br />Compound I中間体が極めて不安定であることから、これまでアミノ酸軸配位子の役割に<br />ついて評価することは困難とされてきた。著者は蛋白質周りを取り除いた低温下で安定な<br />Compound I中間体のモデル錯体を合成することで、軸配位子の機能的役割を評価できる<br />と考えた。<br /> アミノ酸由来の軸配位子をもつCompound Iモデル錯体の合成にあたって、著者は主に<br />2つの工夫を行った。まず酸化方法において従来のような化学酸化剤でなくオゾンガスを<br />用いることで、目的の軸配位子だけを選択的にCompound Iモデル錯体に導入することを<br />可能とした。さらにCompound Iモデル錯体に対するイミダゾールやフェノレート配位子<br />の高い還元性に対しては、配位子自身を電子吸引性基で置換することで安定なペルオキシ<br />ダーゼおよびカタラーゼのCompound Iモデル錯体の合成にはじめて成功した。合成した<br />これらCompound Iモデル錯体に関しては各種分光測定(UV-vis,多核種NMR, 電子ス<br />ピン共鳴, ESI‐MS, 共鳴ラマン分光)より確認した。<br /> イミダゾールおよびフェノレート配位子の酸化反応性への影響ついて、シクロオクテン<br />(エポキシ化反応)、<i>N,N</i>-ジメチルアニリン(脱メチル化反応)、1,4-シクロヘキサジエン<br />(水素引き抜き反応)を基質に用いて評価した。イミダゾールやフェノレート配位子は従<br />来から知られている塩素イオンや硝酸イオンと比較して、反応速度が100倍から400倍に<br />増加していることを明らかにした。ヘム酵素におけるこれらアミノ酸由来の軸配位子が<br />Compound I中間体の酸化活性を高める上で重要な役割を担っていることが示唆される。<br />一連の結果は、酵素内でのCompound I中間体の触媒サイクルにおける律速段階が<br />Compound I中間体の生成ステップであることとも良く一致している。<br /> さらに著者は、これら軸配位子によるCompound Iの反応速度の違いについて熱力学的<br />視点から研究した。四級アンモニウム塩を用いた鉄ポルフィリン錯体との配位子交換反応<br />から、軸配位子による錯体の熱力学的安定性への影響について評価した。その結果、フェ<br />ノレート配位子をはじめとするアニオン性軸配位子は反応始状態であるCompound I状態<br />よりも反応終状態である鉄三価ポルフィリン状態の安定性を大きく変化させていることを<br />明らかとした。このことは、反応速度<i>k<small>2</small></i>を決定している反応自由エネルギーΔ Gが主に鉄<br />三価状態の安定性に大きく依存していることを示している。カタラーゼモデルであるフェ<br />ノレート配位子の高い酸化活性は、反応終状態である鉄三価状態の大きな安定性に由来し<br />ていることを明らかにした。これに対し、イミダゾールのような中性配位子に関しては種々<br />のアニオン性配位子が示した直線自由エネルギー相関(log<i>k<small>2</small></i> ∝ Δ G)からの予測よりも高<br />い反応速度が観測された。鉄四価オキソポルフィリン錯体とイミダゾール配位子の分光滴<br />定から、中性配位子の示す高い反応速度は中性電荷である遷移状態への高い親和性に由来<br />していることが示唆された。<br /> 一連の研究結果から、ヘム酵素におけるアミノ酸軸配位子はCompound I中間体の酸化<br />活性を高める上で重要な役割を果たしており、目的の基質と素早く反応させることで余分<br />な副反応を未然に防いでいることが予測される。また軸配位子による酸化反応速度は活性<br />種であるCompound I状態よりも、反応終状態である鉄三価ポルフィリン錯体の安定性に<br />大きく依存していた。酵素は、休止状態である鉄三価状態のエネルギーを大きく安定化す<br />ることで高い反応自由エネルギーを獲得していることが示唆された。金属オキソ種は酵素<br />蛋白質の反応中間体としてだけでなく、実際の有機反応で利用されている触媒の活性種と<br />しても注目されている。本研究のように、配位構造と酸化活性との相関性を研究すること<br />は酵素機能の解明に限らず、将来的に優れた分子触媒の開発にもつながると考えられる。 |
所蔵 |
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値 |
有 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
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