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細胞は外界より与えられた様々な情報(シグナル)に応答し、細胞の増殖や分化、神経細胞のシナプス可塑性などの様々な生命現象を展開している。このシグナル伝達機構の実体は主に蛋白質等の分子からなる巨大な生化学反応ネットワークである。近年このシグナル伝達機構についての研究が急速に活性化し、徐々に明らかになりつつあるが、細胞間あるいは細胞集合体としてのネットワークにおける情報処理機構については不明な点が多い。これまでにシグナル伝達ネットワークには非線形性が存在することがわかつており、様々な知見が蓄積されている個々の分子の構造や機能と連関させて、シグナル伝達機構の動的なシステムとしての特性を明らかにする必要がある。生体内において情報のやり取りを担っている膜タンパク質は生体機能維持に不可欠な重要分子であることが知られている。さらに、近年では各種の疾病との関与を示唆する報告が多数されるなど、その機能が注目されているが、原因分子の特定や生体膜との相互作用など未解明な点が多い。膜タンパク質の関与が示唆される難治性の神経変性疾患の一つであるアルツハイマー病は、神経細胞の顕著な脱落を伴う進行性の疾患である。これまでにこの疾患の症状である認知機能低下と神経細胞シナプスの機能変性との間の因果関係が示唆されているが、発症メカニズムは明らかにされておらず、有効な治療法も見出されていない。しかし、神経変性疾患における神経機能の障害をもたらす直接的要因は、神経ネットワーク網の破綻である。細胞から細胞への化学的、電気的な信号伝達を担うシナプス機能を明らかにし、神経細胞が構成するネットワークにおけるシグナル伝達機構の動的特性を解明することが重要であると考えられる。\u003cbr /\u003e イオンチャネルは脳神経系の活動において膜電位変化を発生させ、電気信号による情報伝達の重要な役割を果たしている。イオンチャネルの研究については、イオンチャネル分子の機能や活動を直接測定することができるパッチタランプ法が確立されている。生細胞のイオンチャネル分子の機能をリアルタイムに計測できる非常に優れた計測法であるが、小型化が困難であることや低いスループット、熟練が要求されるなどの欠点がある。その問題に対して素子を二次元平面に展開し、簡便な操作や多点計測を可能にしたプレーナーパッチクランプ素子が開発され、市販品もいくつか登場しているが、感度や信頼性、応用研究展開の点において課題が残されている。本研究では、上記した従来法及び先行研究の持つ問題点を解決し、細胞間のシグナル伝達機構の動的特性を分子レベルで解明することを目指したバイオセンサー素子及び研究方法論が提案、開発された。\u003cbr /\u003e 開発されたイオンチャネルバイオセンサーはプレーナー型のパッチクランプ素子構造を有している。細胞培養機能を付加して神経ネットワークや組織を測定基板上に形成させ、生理機能を構築することで、単純化されたin vitroの系での細胞間相互作用や信号伝達の観察を可能にする。素子の基板材料としてシリコンを用いる際の問題点であった高ノイズ性を、Si0\u003csmall\u003e2\u003c/small\u003e層が挟み込まれたSOI(silicon on insulator)を基板として用いることで解決した。さらに熱酸化処理により基板表面に非導電性の酸化膜層を形成させることで、バックグランドノイズの最大の要因となる基板固有の浮遊容量性ノイズを減少させ、S/N比(signal‐to‐noise ratio)の大幅な向上を実現させた。また、基板にシリコンを用いることで電子回路との融合により超小型素子の開発も期待できる。電極部にあたる基板の微細貫通孔は半導体プロセス(異方性ウェットエッチング)とFIB (focused ion beam)加工を用いた精密三次元加工法を確立させ、作製された。\u003cbr /\u003e 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神経細胞ネットワーク機能解析への応用を目指したプレーナーイオンチャネルバイオセンサーの開発
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-03-25 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 神経細胞ネットワーク機能解析への応用を目指したプレーナーイオンチャネルバイオセンサーの開発 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
浅野, 豪文
× 浅野, 豪文 |
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フリガナ |
アサノ, トシフミ
× アサノ, トシフミ |
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著者 |
ASANO, Toshifumi
× ASANO, Toshifumi |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第1218号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 物理科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 07 構造分子科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2009-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2008 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 細胞は外界より与えられた様々な情報(シグナル)に応答し、細胞の増殖や分化、神経細胞のシナプス可塑性などの様々な生命現象を展開している。このシグナル伝達機構の実体は主に蛋白質等の分子からなる巨大な生化学反応ネットワークである。近年このシグナル伝達機構についての研究が急速に活性化し、徐々に明らかになりつつあるが、細胞間あるいは細胞集合体としてのネットワークにおける情報処理機構については不明な点が多い。これまでにシグナル伝達ネットワークには非線形性が存在することがわかつており、様々な知見が蓄積されている個々の分子の構造や機能と連関させて、シグナル伝達機構の動的なシステムとしての特性を明らかにする必要がある。生体内において情報のやり取りを担っている膜タンパク質は生体機能維持に不可欠な重要分子であることが知られている。さらに、近年では各種の疾病との関与を示唆する報告が多数されるなど、その機能が注目されているが、原因分子の特定や生体膜との相互作用など未解明な点が多い。膜タンパク質の関与が示唆される難治性の神経変性疾患の一つであるアルツハイマー病は、神経細胞の顕著な脱落を伴う進行性の疾患である。これまでにこの疾患の症状である認知機能低下と神経細胞シナプスの機能変性との間の因果関係が示唆されているが、発症メカニズムは明らかにされておらず、有効な治療法も見出されていない。しかし、神経変性疾患における神経機能の障害をもたらす直接的要因は、神経ネットワーク網の破綻である。細胞から細胞への化学的、電気的な信号伝達を担うシナプス機能を明らかにし、神経細胞が構成するネットワークにおけるシグナル伝達機構の動的特性を解明することが重要であると考えられる。<br /> イオンチャネルは脳神経系の活動において膜電位変化を発生させ、電気信号による情報伝達の重要な役割を果たしている。イオンチャネルの研究については、イオンチャネル分子の機能や活動を直接測定することができるパッチタランプ法が確立されている。生細胞のイオンチャネル分子の機能をリアルタイムに計測できる非常に優れた計測法であるが、小型化が困難であることや低いスループット、熟練が要求されるなどの欠点がある。その問題に対して素子を二次元平面に展開し、簡便な操作や多点計測を可能にしたプレーナーパッチクランプ素子が開発され、市販品もいくつか登場しているが、感度や信頼性、応用研究展開の点において課題が残されている。本研究では、上記した従来法及び先行研究の持つ問題点を解決し、細胞間のシグナル伝達機構の動的特性を分子レベルで解明することを目指したバイオセンサー素子及び研究方法論が提案、開発された。<br /> 開発されたイオンチャネルバイオセンサーはプレーナー型のパッチクランプ素子構造を有している。細胞培養機能を付加して神経ネットワークや組織を測定基板上に形成させ、生理機能を構築することで、単純化されたin vitroの系での細胞間相互作用や信号伝達の観察を可能にする。素子の基板材料としてシリコンを用いる際の問題点であった高ノイズ性を、Si0<small>2</small>層が挟み込まれたSOI(silicon on insulator)を基板として用いることで解決した。さらに熱酸化処理により基板表面に非導電性の酸化膜層を形成させることで、バックグランドノイズの最大の要因となる基板固有の浮遊容量性ノイズを減少させ、S/N比(signal‐to‐noise ratio)の大幅な向上を実現させた。また、基板にシリコンを用いることで電子回路との融合により超小型素子の開発も期待できる。電極部にあたる基板の微細貫通孔は半導体プロセス(異方性ウェットエッチング)とFIB (focused ion beam)加工を用いた精密三次元加工法を確立させ、作製された。<br /> 開発されたセンサー素子の特性評価として、TRPV1発現HEK293細胞を用いたプレーナーパッチクランプモードによる全細胞膜(whole-cell)電流記録を行い、リガンド分子刺激によるリガンド作動型イオンチャネルの活性記録が行われた。また、基板表面の細胞外基質修飾による素子内での細胞培養及び計測の一連の操作を測定基板上で行う培養モードを開発し、nystatinを用いた穿孔法による全細胞膜電流記録を実現した。ピペットパッチクランプ法では比較的困難とされている穿孔法を、素子を流路構造としたことで溶液還流が容易となり、再現性良く行うことができている。また、本研究開発のプレーナー型素子はピペットパッチクランプと比較して、細胞膜一基板(微細孔)間のシール抵抗が小さく、雑音電流が大きくなってしまうことが問題点として挙げられる。素子の電気的特性評価として等価回路モデルを立て、培養モードにおける細胞-基板(微細孔)間接着部を流れる電流の波形を解析し、本素子の主要なノイズ源は過剰電流ノイズであることを明らかにした。以上から作製したセンサー素子が実用レベルのS/N比で全細胞膜電流の記録が可能であることを実証した。<br /> 神経細胞ネットワークの機能を選択的・限定的に解析するために細胞マイクロパターニング法及び光局所刺激法の構築を行った。神経細胞は生体内において感覚器や効果器との間に複雑なネットワークを形成することで、情報伝達の処理機能を発揮している。本素子の測定基板上に神経細胞ネットワークを効率良く且つアレイ状に形成させるためにμCP(microcontact printing)法を用いて細胞接着因子である細胞外基質<br/>(ECM)分子を基板上にパターン配列した。神経系のモデル細胞であるラット副腎髄質褐色細胞腫由来PC12をECMパターン基板上で培養し、神経成長因子(NGF)による分化誘導を行うと、ECMタンパク質の特定の微細パターン形状に従い、細胞体の配置及び軸索伸張が誘導されることを観察した。一方、従来の細胞刺激法である電気刺激は、時間・空間またはその両方において高い分解能が得られず、細胞間のシグナル解析を精密に行うには十分ではない。また、電気刺激法では刺激を与える細胞やその周辺細胞に対しても侵襲的であるという問題点がある。そこで、細胞刺激法として高解像度の光を利用した信号の送受信制御法として光局所刺激法が検討された。光刺激によって細胞から細胞への信号伝達を制御するため、遺伝子工学的手法を用いて光感受性タンパク質であるChR2をPC12に発現させ、光感受性を付加させた。ChR2発現PC12細胞より光照射に同期した活動電位の発生を確認しており、信号の送受信を光刺激によって制御可能であることを示唆した。<br /> 以上から本研究にて提案、開発された培養型プレーナーイオンチャネルバイオセンサーはプレーナー素子の利点を網羅しつつ、システム内での培養から測定の一連の操作を集約した他に例を見ない新しい測定手法が確立された。また、神経ネットワークの機能解析に応用するため、タンパク質分子パターニングによる神経ネットワークの構築及び光感受性イオンチャネルを用いた光局所刺激法の要素技術が開発された。本研究開発の素子及び要素技術を組み合わせることで、単一細胞あるいは複数細胞で構成される集合体の神経ネットワークにおけるシグナル伝達の動的特性の解析が可能になると考えられる。また、神経ネットワークシステムの機能を明らかにすることで、神経変性疾患の神経細胞死の基礎過程との関係や発症機構の解明及び治療法の開発につながるものと期待される。さらに半導体材料であるSOIを基板として用いていることから、半導体微細加工及び集積加工技術を組み合わせて素子の小型化や集積化、及び電極の多点化を行うことによって、ハイスループットなデバイスの構築が可能となりドラッグスクリーニングにも応用できると考えられる。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |