WEKO3
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韓国における老人の食-老人福祉施設を中心に-
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
![]() |
Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
公開日 | 2010-05-07 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 韓国における老人の食-老人福祉施設を中心に- | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
守屋, 亜記子
× 守屋, 亜記子 |
|||||
フリガナ |
モリヤ, アキコ
× モリヤ, アキコ |
|||||
著者 |
MORIYA, Akiko
× MORIYA, Akiko |
|||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(文学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第1209号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 文化科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 01 地域文化学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2009-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2008 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 本研究は、韓国における「老人の食」がどのような社会的、文化的意味を媒介しているかを明らかにし、老人にとって食とは何か、韓国の老人の食にはどのような価値観や意味が反映されているかについて考察するものである。<br /> 本研究が対象としたのは、韓国の老人福祉施設である。老人福祉施設においては、食の「作り手」と「食べ手」が異なる。作り手である栄養士や調理師は、老人の食にどのような意味を込め、また食べ手である老人は供される食にどのような意味を読み取るのか、この両者の各々の視点からの検討は、老人の食がどのような社会的、文化的意味を媒介しているかを明らかにするために有効と考えられたからである。また、そこに入居している老人たちは、どのような「食の履歴」をもっており、それが食に対する態度にどのように表れているかについて記述し分析することによって、個人の持つ食に対する価値観をとらえたうえで、老人にとって食とは何か、韓国の老人の食にはどのような価値観や意味が反映されているかについて考察した。<br /> 韓国は、儒教が生活規範となっており、食文化にも大きな影響を与えているとされる。これまでの研究では、事親孝養の思想は老親の不老長寿をかなえる「老人栄養学」を発達させたことを指摘しているが、一方で老人の食には、食を通じて老人の地位の自認、確認を行う機能を有する可能性も考えられる。本研究は、この仮説に対し、ひとつの根拠を与えることを狙いともしている。<br /> 本研究が調査の対象としたのは、設置形態や立地、規模の異なる二つの老人福祉施設である。一つは安東市にある小規模施設の「アンナの家」、もう一つは富川市にある大規模施設の「ソンガ療養院」であり、結果として次に述べるような老人の食に関わる具体的な知見を得られた。<br /> どちらの施設でも、韓国の食文化の基本的な膳立ての枠組みを維持しつつ、季節や節日、行事にあわせた食が作られていた。施設規模や入居者の属性によって供される食事の内容には相違が見られたが、毎日または毎食異なる献立が供される食事の時間は、単調な施設生活において、老人たちに楽しみな時間として認識されていた。<br /> 食事の作り手は、施設規模の違いによってその専門性に相違があった。大規模施設では国家資格を有する作り手が栄養や衛生を考慮して食事を作り、小規模施設では料理の腕前のよい者が調理を担当した。いずれの施設も作り手と食べ手の役割分担が明確であり、とくに専門性の高い作り手は、栄養や衛生面において食べ手を管理下におこうとする傾向が強かった。しかし、実際の食事作りは食べ手本意で進められており、作り手たちは食べ手が食事を通して自らの地位を確認し、自身への恭敬の念の表明を求めていることを読み取っていた。<br /> 一方で、食べ手は栄養的かつ衛生的、経済合理的な施設の食を、それぞれの食習慣を反映させた方法で取り込み、味覚を満足させるとともに、社会、文化的な意味を付与することで精神的な満足をも得るよう調整し、「私の食卓」ともいえる食卓を作り上げていた。「私の食卓」とは、大勢の入居者のために作られた施設の食事を、自分自身のために仕立て直すことを意味する。そして、食べ方や姿勢、自分専用の副食を持ち込むことなど、「私の食卓」に仕立てるために各自が選ぶ手段は、個々人の食の経験、つまり「食の履歴」に裏打ちされていたことにも留意する必要がある。<br /> また、施設が供する食事以外に、各自またはグループで好みの食物を購入し自由に食べることによって、施設での食生活において常に受身の立場である食べ手が、食の自律性を確保することのできる貴重な時間を確保していたことも重要であろう。それは共同飲食によって親しい人間関係を確認する機会であるとともに、施設で供される食事では得られない心理的な充足感を得、さらに同じ食経験、食嗜好を共有する世代として人間関係や連帯感を深める場を自ら作り出していたことに他ならない。<br /> 入居者のライフヒストリーからは、アンケート調査で示された老人の食嗜好や施設の食を「私の食卓」に仕立てる方法の背景には、出身地、社会階層、生活環境によって異なる食の履歴が横たわっていることが明らかになった。社会階層や生活環境、経済的な貧富の差は、主食の種類や肉食の有無のほか、海苔やキムチといった食品を指標として示される。また、家庭内における役割の違いは、食べ方にも反映される。<br /> さらに、現代の老人世代に共通する食の履歴のひとつに、「近代の味」との出合いがあげられる。老人たちは、植民地時代に日本料理や洋食、フランス料理など近代の味を経験し、その記憶は単なる舌の記憶にとどまらず、人生の一場面として記憶していた。また、近代の味の中でも、とくにうまみ調味料の味の素は、その嗜好性が共通して認められた。しかし、こうした近代の食を享受できたのは、都市生活者や農村でも富裕層に限られ、貧しい農民にはこうした機会は極端に少なかったことも、食が社会的行為であることを裏付ける。<br /> また、嫁という立場で舅姑に仕えた経験者のライフヒストリーからは、食を介した老親への孝や敬老の実践を読み取ることができた。それは、食事の供し方や食事の内容に具現化されていた。韓国において食の場は、世代、地位など家庭内における秩序が反映されており、同時に食生活の様式を通して、老親の地位が確認され、敬老の意味や価値観が現実化していたのである。<br /> 以上、韓国の老人福祉施設では、健康な老後生活を送るために栄養や衛生に配慮した食事が供される一方で、食べ手は自らの食の経験を背景にした方法でそれを取り込み、「私の食卓」を整えていた。食事は老人にとって生活における楽しみであるとともに、作り手、食べ手ともに、食に恭敬の念を反映させており、老人の食は、食を通じて老人の地位を自認、確認する機能をも有するとみることができるのである。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 |