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  1. 020 学位論文
  2. 文化科学研究科
  3. 01 地域文化学専攻

韓国の定期市にみられる移動商人の巡回移動とその変化 -忠清南道公州市を中心として活動する薬草商人を例に-

https://ir.soken.ac.jp/records/18
https://ir.soken.ac.jp/records/18
3fee42c9-2235-4802-8a1d-eb1ae971e719
名前 / ファイル ライセンス アクション
甲497_要旨.pdf 要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (347.5 kB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2010-02-22
タイトル
タイトル 韓国の定期市にみられる移動商人の巡回移動とその変化 -忠清南道公州市を中心として活動する薬草商人を例に-
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
資源タイプ thesis
著者名 林, 史樹

× 林, 史樹

林, 史樹

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フリガナ ハヤシ, フミキ

× ハヤシ, フミキ

ハヤシ, フミキ

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著者 HAYASHI, Fumiki

× HAYASHI, Fumiki

en HAYASHI, Fumiki

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学位授与機関
学位授与機関名 総合研究大学院大学
学位名
学位名 博士(文学)
学位記番号
内容記述タイプ Other
内容記述 総研大甲第497号
研究科
値 文化科学研究科
専攻
値 01 地域文化学専攻
学位授与年月日
学位授与年月日 2001-03-23
学位授与年度
値 2000
要旨
内容記述タイプ Other
内容記述 本論文は、韓国の定期市を巡回する移動商人親子の生活を記述した民族誌である。彼らの生きてきた現代を彼らの視点から再構築することを試み、その作業を通して生活手段として選択される「移動」について考察を加えたものである。韓国社会に関する人類学的な研究は韓国と目本が圧倒的な蓄積を持っているが、これまで人々の流動性に着目した研究はほとんどなかった。
 本研究の目的は大きく3つあげられる。(1)朝鮮の市場商人については、さまざまな分野で先行研究がだされたが、商取引を含めた移動商人の生活に深く入り込んで得た記録から分析を試みた研究はなかった。これまで研究対象として扱われることがなかった韓国における移動商人の生活を民族誌として提示し、地域研究としての韓国研究に貢献すること。(2)韓国社会の変化に対応する移動商人親子の選択を彼らの語りと統計データなどから再構築を試みることで、現代韓国の社会史研究に対して貢献すること。(3)韓国における移動商人が選択してきた「移動」を、人類学における移動研究のなかに位置づけることで、移動の概念をみなおすことである。
 本研究の調査地は大韓民国忠清南道(Chung-cheong-nam-do)公州(Gong-ju)市を中心とする地域で、調査対象者は公州市郊外に住み、薬草を扱う移動商人の親子YH(78歳)とIM(37歳)である。彼らは韓国忠清南道地域を範囲として商売を続けており、調査は彼らと行動をともにして進めた。調査期間は1998年6月から約8ヶ月間である。
 彼らの50年間にわたる移動商人の生活形態や商取引の変化を調査するために、彼らが日々繰り返す商業活動の現場に立ち会って観察し、データとして記録した。彼らの語りを中心に、過去における状況と彼らが生活を続けるうえで行ってきた選択を記録した。それに加えて彼らが語ったことや調査で見聞したことを、農作物統計や交通・通信統計、市場統計などのほか、雑誌記事を参照しながら検証した。
 調査から明らかになったことは、彼らは交通・通信手段の発達、取扱商品の国内需要の変化、定期市の衰退、海外輸入による市場の変化といった諸変化に応じて商売を変えてきたことである。しかし、それでも彼らが変えなかったのは移動する商売形態であり、本研究ではそのことに着目した。
 そして、彼らが生活手段としてきた「移動」を考察するうえで、「規則的な移動」と「規則性を破る移動」という概念を使用し、彼らが今後も「移動」を選択するか否かを展望するうえで「距離」という概念を応用した。
 これらの検証を通じて明らかになったことは、(1)これまで朝鮮社会は、農民主体の社会で土地にしがみついて田畑を耕していたため、固定的な社会であるといった安易な認識が支配的であったが、彼らはひとつの職業に縛られず、有利と思われる職業を転々としたことがわかった。このことは、農民なら農民、商人なら商人といった固定的な生業像に対して新たな視点を韓国研究に提示した。(2)政治や経済が中心として構築される現代史の見方に、社会史的な視点は新たな視点を提供する。本研究で扱った移動商人の事例からも、彼らが国家的な規模での変化と必ずしも対応して行動しておらず、彼らは取扱商品や交通・通信手段に直接影響を与える社会変化の方に敏感に対応していたことがわかった。国家単位の社会認識に個人単位の社会認識を加えることで、より重層的に社会を捉えられることを示した。(3)これまで人類学における移動研究で扱われてきた移動の概念に対し、[生活手段としての移動」という概念を提示した。このことにより、これまで人が動くというだけで移動研究と一括りにされがちであった傾向に新しい知見をもたらした。
 最後に、この「移動」の概念をもとにして、韓国社会において移動商人がなぜ今日まで存在したのか、今後も彼らが存在していくのかを考察した。
 韓国社会では物々交換が好まれ対面的な取引が習慣化されていたことと、定期市自体が行楽の場であり現在もその地位をある程度保っていることから定期市が存在した。そのため、定期市が成り立つうえで必要な移動商人が存在すると先行研究ではいわれてきた。しかし、それ以外に、韓国・朝鮮社会が流動性を持っていたことが、土地を購入して店舗を構えない移動商人が多かったことに深く関わっていたことを本研究において指摘した。
 さらに、韓国に移動商人が多く存在したことは、長い距離(いわば「遠隔地」)を交易するのが商人とすれば、韓国社会にそれだけ情報が行きとどかない「遠隔地」が多く存在したか、韓国の人々に情報を特定の専門家(商人)に任せる傾向が強かったかのどちらかといえる。現代の韓国社会では「遠隔地」が失われてきたといわれるが、これはすぐに「移動」がなくなることを意味しない。移動商人が移動を選択することでもたらされる「うまみ」を求めるかぎり新たな方法が模索されるからである。彼らは社会変化に応じて「遠隔地」をみつけ、あるいは創出し、そこまでの「距離」を商売に活かして移動を続ける。
所蔵
値 有
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Ver.1 2023-06-20 15:02:49.068889
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