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アイテム
結合クラスター理論に基づく新しい計算方法の開発
https://ir.soken.ac.jp/records/236
https://ir.soken.ac.jp/records/23687f0f53a-3d7f-43a6-86d2-4df4c3705e64
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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要旨・審査要旨 (322.9 kB)
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本文 (1.4 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 結合クラスター理論に基づく新しい計算方法の開発 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Development of new methods based on coupled cluster theory | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
木下, 朋子
× 木下, 朋子 |
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フリガナ |
キノシタ, トモコ
× キノシタ, トモコ |
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著者 |
KINOSHITA, Tomoko
× KINOSHITA, Tomoko |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第830号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 物理科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 07 構造分子科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2005-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
値 | 2004 | |||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | Hartree-Fock近似に代表される1電子近似を越え、電子間の相関を取り入れた電子相関理論は、現在の化学研究において、原子・分子の性質、化学反応を、定量的に議論するために頻繁に用いられている。この電子相関理論は、配置間相互作用理論(Configuration interaction,CI)、多体摂動論(Many-body perturbation theory;MBPT)、および結合クラスター理論(Coupled cluster;CC)に大きく分類される。これらの理論はそれぞれ利点と欠点をもっているが、中でも結合クラスター理論は、計算コスト、計算法の数値的な安定性、計算結果に物理的な系が自然に持たねばならない様々な性質(size-extensivityなど)が保証されている点などから見て優れた手法である。その中でも、1、2電子励起の効果を取り入れたCCSD (CC singles and doubles)法は、計算精度、計算コストのバランスがよく、実用的に利用される電子相関理論のひとつである。さらに、CCSDから摂動的に3電子励起の効果を取り入れる、CCSD(T)(CCSD parenthesis triples)という方法も一般的である。しかし、これらの計算方法はCCSDに対する参照波動関数が、厳密解(完全CI)から大きくずれている場合、しばしば非物理的な計算結果を与えることが知られている。この欠点を改善する方法としては、3電子および4電子励起の効果を反復的(自己無撞着的)に取り入れることが重要である。しかしながら、これらの方法は、計算量が系の電子数の8乗から10乗に比例して大きくなるため、現在の計算機の能力では、比較的小さな分子にしか適用できない。こうした現状を踏まえ、本研究では、以下の特徴を持つような計算手法の開発を目指し、大きく分けてふたつの方法を開発した。<br /><br />・高度に電子相関を取り込むことができる<br />・大きな基底関数を扱うことが可能である(高精度計算、大規模計算)<br />・理論的に簡潔である<br />・精度のよいポテンシャル曲面(Potential energy surface; PES)を生成する<br />・計算精度は系の特徴(擬縮重、非局在化など)に依存しない<br /><br />(1)特異値分解を用いたCC法<br /> 特異値分解は数学的に良く知られた分解法であり、ゲノム解析、画像圧縮、インターネットサーチエンジン、など大量の情報から重要な情報を取り出す目的に利用され、実用化されている。本研究ではこの数学的手法を、膨大な数の行列要素を扱わなければならないCC計算に適用し、その計算精度を失うことなく、計算資源を大幅に削減することを目的とした。この手法の具体的な手順は、(1)CC理論よりも容易に計算できる理論(2次および3次の多体摂動論)を用いて近似波動関数を計算する、(2)近似波動関数のクラスター振幅に特異値分解を適用する、(3)大きな特異値に対応する、特異ベクトルのみを用いて以後のCC計算を行う、というものである。このような手順を経ることにより、一般的なCC計算で扱われるよりもずっと少ない数の行列要素を用いてCC計算を実行することができる。この方法を圧縮CC(Compressed CC)理論と名づけ、実用性を考察するため、CC理論の様々な方法(CCD,CCSD及び,CCSDT-1)のクラスター係数を圧縮するプログラムを作成し、いくつかの分子に対してテスト計算を行った。その結果、圧縮CC理論では、計算すべきクラスター振幅の自由度を大幅に減らしても、計算精度をほぼ維持することができることを実証した。また、計算機の演算回数、必要なメモリおよびディスク領域などを従来の方法に比べて非常に小さくすることが可能であることも示した。<br /><br />(2)Tailored CC(TCC)法:配置間相互作用を用いた結合クラスター理論<br /> 電子相関理論で取り扱う相関エネルギーは、厳密解である完全CI法のエネルギーと1電子近似であるHartree-Fock法のエネルギーの差として定義される。さらに、この相関エネルギーは、静的および動的相関エネルギーに分けて議論されることが多い。一般に、CI理論は前者を安定に取り扱うことに優れており、CC理論は後者を効率よく計算することができる。本研究では、このような二つの方法の特徴を考慮し、それらの利点を組み合わせた方法の開発を目指した。<br /> この方法では、まずはじめに、(小規模の)CI計算を行う。ここで求められた波動関数は、CI理論によるため、静的相関を十分に良く記述していると考えることができる。次に、求められたCI波動関数から、クラスター振幅を抽出する。この手続きは、CI展開係数とCC振幅の対応関係を用いて実行することができる。このように抽出されたクラスター振幅は、静的相関を表現する部分として固定し、それ以外の電子励起に関するクラスター振幅を、動的相関を記述するためにCC方程式を解いて決定する。この方法をTailored CC(TCC)法と呼ぶ。<br /> 通常のCC法では、基底状態が擬縮重している場合、CC方程式を解く際に静的相関に大きく寄与する低エネルギー励起配置と基底配置が強く相互作用するために、しばしば非物理的な計算結果が得られてしまう。しかし、TCC法では強く相互作用する複数の配置はCI波動関数により取り扱われるため、それを回避することが出来る。その結果、擬縮重系を安定して取り扱うことが可能となる。実際にTCC法を用いて、擬縮重の効果が顕著に現れる、いくつかの分子のポテンシャル曲線について計算し、それらが通常のCC法によるポテンシャル曲線に比べて、定性的にも定量的にも大幅に改善されることを示した。また、この方法で必要となるCI計算は、CC計算に比べて非常に安価に行うことができるので、全計算量は、通常のCC計算とほぼ同等である。<br /><br /> また、博士課程での研究活動の中で、ab-initioプログラムパッケージQUEMTAを独自に開発した。このプログラムは、Hartree-Fock、CASSCF、CIおよびCC法などの一般的な量子化学計算法に加え、今回開発した、圧縮CC法、TCC法もその機能のひとつとして実装している。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |