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3原子系化学反応の量子動力学 : ミューオニュウムを含む系の反応
https://ir.soken.ac.jp/records/275
https://ir.soken.ac.jp/records/2759ed5bb4c-1ca1-49da-aca1-44b2d062aa0c
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (335.7 kB)
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本文 / Thesis (1.8 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 3原子系化学反応の量子動力学 : ミューオニュウムを含む系の反応 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Quantum Dynamics of Atom-Diatom ChemicalReactions-Reactions Involving Muonium | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
津田, 健一郎
× 津田, 健一郎 |
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フリガナ |
ツダ, ケンイチロウ
× ツダ, ケンイチロウ |
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著者 |
TSUDA, Ken-ichiro
× TSUDA, Ken-ichiro |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第124号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 数物科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 08 機能分子科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1995-03-23 | |||||
学位授与年度 | ||||||
値 | 1994 | |||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 序) 化学反応の動力学をいわゆる古典軌道法で扱うのは簡単で数多くの計算が行われており、それなりの成果をおさめてはいる。しかし、これを量子力学的に正しく取り扱う事によって古典力学の限界を明らかにし、干渉効果やトンネル効果などの量子カ学的効果が化学反応にどのような影響を与えているのかを知る事は、化学反応、特に軽い原子を含む反応をさらに深く理解するために不可欠な事である。本研究では、ミューオニュウムを含む3原子系の化学反応に着目し、超球座標を用いてその量子動力学を解明した。3原子系の化学反応の理論的研究は、この数年の間に、計算手法の進展と大型計算機の能力の著しい向上によって、大いに進歩した。すなわち、化学反応動カ学を量子論に基づいて厳密に議論する事が可能になってきた。この進歩によって、次の3つの大きな効果が期待される: (1)量子効果が化学反応に及ぼす影響の厳密な解明。(2)理論と実験の詳細な比較とともに実験ではつかみにくい状態間遷移の動力学に正確な理解。これによって、反応動力学理論、量子化学計算、分子線実験の緊密な連携が可能となり化学反応動力学の真の理解が一層進展する。(3)古典軌道計算や量子論に基づいた様々な近似理論の検証。 本研究では、量子力学的厳密計算の手法を開発し、それを用いてミューオニュウム(Mu)を含む原子移行反応(Mu+H2,Mu+D2,Mu+HD,Mu+HBr等)のダイナミックスを調べた。ミューオニュウムは、水素原子の約9分の1の質量を持つ水素原子の一種の同位体であり、同位体置換効果が大いに期待される反応系である。Mu入射の反応についてはflemingらの実験により反応速度が求められているが、厳密な量子散乱計算は例がなく、それが待たれていた。本研究においてこれが初めて実行された。本研究の目的は大きく分けて次の2つである。第一は、CS近似やCCPA近似(エネルギーシフトの近似)など、これまでに行われたいくつかの近似計算の妥当性を検証する事。第二は、これらの反応の動力学を詳細に検討する事である。今回行った厳密計算から得られた反応速度定数と反応断面積を、他の近似計算の結果や実験と比較した。また、各反応における、終回転状態分布や反応断面積の初期回転状態依存性等、反応動力学の詳細を解明した。更に、将来の実験を期待して、量子効果の大きいMu移行反応の動力学をも解明した。 計算方法) 本研究では、我々の研究グループで開発した、任意の全角運動量Jに対して量子力学的厳密計算を実行しうる手法及びコードを用いた。座標系には、2種類の超球座標を用いた。一つは反応領域で有効なAPH座標で、もう一つは漸近領域で有効なDelves座標である。最終的な散乱行列は、ヤコビ座標の枠組みで求めた。超球半径ρ毎に解かれる2次元の固有値問題は、DVR法を用いて計算した。また、散乱行列を求めるための緊密結合方程式は、diabatic‐by‐sector法に基づいたR行列伝搬法によって解いた。ポテンシヤルエネルギー関数は、Liu、Siegbahn、Truhlar、Horowitz、による関数を用いた。 結果と考察) (1)反応速度定数と反応断面積の評価-各種近似及び実験との比較 Mu+H2反応では、厳密計算から得た反応速度定数が、576K付近より高温では、実験と約5%の差でよく一致した。この一致は、CS近似と実験結果の一致よりも良い。これは、CS近似が、高エネルギー領域で悪くなる事が原因である。比較的低温領域で、CS近似の方が厳密計算の結果よりも若千実験値に近くなっているが、これは偶然と思われる。古典軌道計算の結果は、厳密計算の結果より2倍程度大きい。また、遷移状態理論計算にトンネル効果の補正を加えた結果(VTST計算)は、高温領域で厳密計算の結果と比較的よく一致するが、低温領域では小さすぎる(1/3以下)。反応断面積について、厳密計算とCS近似の結果を比較した結果、衝突エネルギーが0.6eV付近より大きい所では、CS近似は全く良くない事が分かった。Mu+D2反応では、厳密計算の反応速度定数は実験値とよく一致した。VTST計算と厳密計算の結果を比べると、低温領域でVTST計算の結果は小さすぎる。Mu+HBr→MuH+Brについては速度定数の実験しかないが、これとの比較検討を行った。 (2)CCPA近似の妥当性 CCPA近似とは、J>ji(初期回転量子数)の反応確立をJ=jiの反応確立を用いて近似する方法である。比較的低エネルギー領域では、CCPA近似は悪くないが、J=jiの反応確立のエネルギーが、振動楕造を示すエネルギー領域に入ると、この近似はうまく働かなくなる事を示した。 (3)初期回転励起の効果 全断面積の初期回転量子数(ji)依存性を解析した。全エネルギー毎に、断面積が最大となるjiが存在し、全エネルギーが大きくなるに従って、そのjiも大きいものへ移っていく、という特徴があらわれた。 (4)終回転状態の分布 ji毎に、全断面積の終回転量子数(jf)の分布を調べた。比較的低エネルギー領域では、どのjiに対してもjf=0で全断面積が最大になっているが、全エネルギーが上がるに従って、より大きなjfで最大を示すようになる。この特徴は、jiが小さい方が顕著にあらわれている。 (5)同位体効果及ぴMu移行反応の動力学 H移行とD移行の違いを、Mu+HD→MuH+DとMu+DH→MuD+Hという反応系を例に調べた。D移行の方が、同じエネルギーでの断面積が少し大きく、D移行の方がDH分子の回転励起で反応が促進されている。また、Mu移行反応(MuH+D←→H+MuD)の動力学を解析した。 まとめ) 反応遠度定数は、本研究の厳密計算の結果とFlemingらの実験結果がよい一致をみせた。CCPA近似は、低エネルギー領域では有効である事が確認された。高エネルギー領域で初期回転励起が反応を進める上で重要であることが分かった。同位体効果やMu移行反応の量子力学を解明した。古典軌道法や各種近似の限界を示した。 |
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所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | AM | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |