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  1. 020 学位論文
  2. 物理科学研究科
  3. 08 機能分子科学専攻

時間依存非断熱遷移とその制御の理論的研究

https://ir.soken.ac.jp/records/300
https://ir.soken.ac.jp/records/300
2cfd009f-d1ed-47e1-ae59-28df7bffaf2d
名前 / ファイル ライセンス アクション
甲382_要旨.pdf 要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (369.4 kB)
甲382_本文.pdf 本文 / Thesis (11.4 MB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2010-02-22
タイトル
タイトル 時間依存非断熱遷移とその制御の理論的研究
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
資源タイプ thesis
著者名 寺西, 慶哲

× 寺西, 慶哲

寺西, 慶哲

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フリガナ テラニシ, ヨシアキ

× テラニシ, ヨシアキ

テラニシ, ヨシアキ

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著者 TERANISHI, Yoshiaki

× TERANISHI, Yoshiaki

en TERANISHI, Yoshiaki

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学位授与機関
学位授与機関名 総合研究大学院大学
学位名
学位名 博士(理学)
学位記番号
内容記述タイプ Other
内容記述 総研大甲第382号
研究科
値 数物科学研究科
専攻
値 08 機能分子科学専攻
学位授与年月日
学位授与年月日 1999-03-24
学位授与年度
値 1998
要旨
内容記述タイプ Other
内容記述 本研究は、時間依存の非断熱遷移とその制御に関する新しい理論の構築を目指したものである。非断熱遷移は自然界における様々な相変化や状態変化の根本原因をなす基本メカニズムのひとつであり、科学のあらゆる分野で現われる学際的な概念である。従って、非断熱遷移の理論を構築しその知見を深めることは非常に重要であり、しかもそれを制御することは自然界における様々な過程を制御する事を意味し、その意義は大きい。以下、本研究の3つの主要な成果を簡潔に説明する。

(時間依存非断熱遷移の新理論)
 系を記述するある変数(断熱変数)がゆっくりと時間変化する場合、その系はその断熱変数を固定して定義される断熱状態に沿って変化していくと考えられる(断熱近似)。しかしながら、断熱変数の変化速度が大きくなるにしたがいこの近似は破綻し始め、断熱状態間の遷移、つまり非断熱遷移が起こるようになる。このような時間依存の非断熱遷移についての研究は60年以上の長い歴史を持ち、2準位直線交差型(2つの透熱エネルギー準位が時間の一次関数で交差)のLandau-Zenerモデルを始めとするいくつかのモデルがその厳密解と共に提唱されてきた。しかしながら、それらのいずれのモデルも2つの準位が互いに接近した交差点を持つ場合や透熱準位曲線が擬交差する場合には成り立たない。本研究では、接近した二つの交差や透熱擬交差を記述しうる2次式ポテンシャルの交差問題を、最近ZhuとNakamuraによって完成された時間非依存の非断熱遷移の理論に基づいて考察し、その厳密解を求めるとともに簡便な半古典公式を導出する事に成功した。更に、この理論を拡張し、より一般的な様々な問題への適用を可能ならしめた。この理論は複素解析などの複雑な数学を必要としない簡便なものであり、実用上便利で今後の広範囲な応用が期待される。

(非断熱過程の制御)
 非断熱遷移確率を0または1に望み通りに操作することができれば、様々な動的過程を自在に制御できることになる。最も単純な方法は、断熱パラメータ(例えば外場の強度)の変化速度を無限小または無限大にするものである。実際、断熱パラメータの変化速度を非常に小さくする断熱追従によって状態遷移を制御しようとする研究は、理論、実験の両面から数多く報告されている。
 しかし、このような方法では制御に要する時間が長くなるなど、非常に効率が悪い。我々は、有限の変化速度で非断熱遷移確率を自由に制御することの出来る非常に一般的な理論を構築した。非断熱遷移が断熱パラメータFのある値Fx(透熱準位の交差点)の近傍で起こるとして、Fxを中心にFを振動させると遷移が2度起き、丁度2重スリットの問題のように、1度目と2度目の遷移の間で生じる波の干渉が最終確率に影響を及ぼす。一般にFをn回振動させると2nケのいろいろな履歴をもった波が干渉し合い最終遷移確率が様々な値を取り得る。本研究では、Fを周期的に振動させた場合の非断熱遷移を理論的に考察し、Fxでの遷移確率が何であっても、Fの振幅と振動の回数を調節することによって最終遷移確率を望みの値(0あるいは1)に制御しうることを示し、その条件を簡便な式に書き下すことに成功した。さらに振幅と回数だけでなくFの変化速度をも調節することでさらに自由度の高い制御法を確立することが出来る。例として単分子磁性体の磁化反転の問題を取り上げ、この理論の有効性を確認し、多準位問題の制御も可能であることを示した。
 非断熱遷移が様々な物理・化学過程の重要な基本メカニズムであることを考えると、本理論は広範囲な分野に適用できる一般的なものであることが期待される。しかも、制御に用いる外場は、磁場、電場、あるいはレーザー場などのどれであってもよい。

(分子過程制御への応用)
 最近のレーザー技術の進歩に刺激され、レーザー場による分子過程の制御理論が様々な形で提唱されている(コヒーレント制御、パンフ・ダンプ法、最適制御法、チャープトパルス法、π - パルス法、断熱追従法など)。上述の我々の新理論を用いると、これらの中のいくつかを極限の場合として包含する分子過程の新しい制御理論を構築することが出来る。本理論の基本的な考え方は、非断熱遷移を複数回引き起こし、それによって生じる干渉の効果を利用するというものであり、個々の非断熱遷移がどのようなものであっても構わない。つまり、理論体系自身は断熱変数をどう定義するか、またそれをどのように時間変化させるかに対して全く独立であり、それだけ多様な制御法を考えることを可能にしてくれる。レーザー場による分子の振動遷移と異性化反応を例に挙げ、レーザー場の時間変化の様々な様式に応じた多様な制御法を提唱し考察した。
 レーザー場の場合は強度と周波数の2つを断熱パラメータとして利用することが出来、それらを時間の関数としてどのように変化させるかでいろいろな型の非断熱遷移を引き起こすことができる。解析解の知られている、Landau-Zener-Stuckelberg(及び2次式)型、Rosen-Zener-Demkov型、指数関数型のそれぞれのモデルに対応する制御法を提案した。また、これらの方法をレーザー強度や周波数の誤差に対する安定性と効率の観点から比較を行ない、レーザーの条件に応じた最適制御法を考察した。その結果を簡単にまとめると次のようになる。
 レーザー強度を遷移が起きる時間間隔に亙って一定に保つことが出来る場合には、周波数を共鳴の付近で1往復させるのがよく、その場合πパルスに比べ10分の1弱の強度での制御が可能となる。強度を一定に保つのが困難でパルス型にしか出来ない場合には、振動数もパルス型で変化させるのが良い。この方法でもπパルスに比べて10分の1強の強度での制御が可能となる。周波数を自由に変化させることが出来ない場合には、周波数を共鳴からずれたある一定の値に固定し、強度をパルス型にして2つ用いるのがよい。πパルスに比べ、約半分の強度での制御が可能となる。また、この方法は、πパルス法が周波数の小さな時間変動に対して不安定であるのに対して、安定である。
 彼らの制御理論は一般的でしかも解析的なものであり、誤差に対する安定性や効率についての定性的な議論も比較的容易にできる。また、多大な計算機の力を要する最適化などの方法とは異なり、数値計算の労力はさほど必要でなく、効率良く物理的意味が明確な制御条件を見つけることが出来る。しかも、一般的に用いられているπパルスに比べ、1桁程度小さいレーザー強度での制御が可能であることは、今後の応用に新しい1頁を開き得るものと考える。
所蔵
値 有
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 application/pdf
著者版フラグ
出版タイプ AM
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa
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Ver.1 2023-06-20 14:57:25.512643
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