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現在星間空間には100種以上もの分子種が発見されているが、分子雲中の化学組成は領域によって大きく異なっている。極低温の暗黒星雲では地球上では存在しない炭素鎖分子が多く存在し、これらの分子は気相中のイオン・分子反応で生成されていると考えられている、実際にこれらの反応のモデル計算が行われており、観測量から得られた存在量をほぼ説明できることがわかってきた。一方大質量星形成領域では地球上でも見られる大型の有機分子が多数検出されている。しかしこれらの分子の存在量を同様にイオン・分子反応のモデル計算で説明しようとすると、それらの計算では説明できない観測結果が次々と得られてきた。観測から得られる存在量が計算による予測より数桁高いのである。そこで星間ダストを触媒とする固体上の反応が考えられるようになってきた。2つの粒子が結合するときに発生する余計なエネルギーをこのダストが吸収してくれる為、非常に効率よく反応が進むのである。しかしこの反応で生成された分子はダスト上に凍り付いている為、電波領域で観測されるためには気相中に蒸発してこなくてはならない。大質量星形成領域では、HII領域に埋もれた若いO、B型星からの輻射でダストが暖められ、そこから分子が蒸発してきていると考えられている。だとすると若い星の周りにこれらの分子が分布し、お互いに生成に関連ある分子同士であれば分布も類似したものになることが予想される。今までの観測は分子雲の中心1点のみというものがほとんどであったため、大型有機分子の分布はほとんど知られていない。そこで大型有機分子の生成過程を分布からも明らかにする為、もっとも多くの分子が検出されており、我々の銀河中心方向に存在するSgrB2分子雲においてさまざまな大型有機分子のマッピング観測を行った。\n まず酸素を含む分子(CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eOH,C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e5\u003c/SUB\u003eOH,HCOOCH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003e,(CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003e)\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eO)について分布を調べた。その結果これらの分子は若い星が埋もれているHII領域の周りに集中しており、観測から求められた存在量はイオン・分子反応とダスト上での反応とを組み合わせた反応でほぼ説明できることがわかった。つまり星形成領域では酸素を含む大型有機分子は、暗黒星雲で進んでいるようなイオン・分子反応に加えてダストという固体上での反応が重要な役割を果たしているわけである。またこれらの分子の中で(CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003e)\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eOは直接ダスト上で生成されるのではなく、ダスト上で生成されたCH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eOHから気相中で生成されると考えられている。実際その分布を比較してみると、両分子ともHII領域の周りに非常にコンパクトに分布している。この分布の類似性はお互いに生成過程が関連していることを表している。\n 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大質量星形成領域でも進化の段階はざまざまであり、したがって化学組成も微妙に違ってくるはずである。そこで私は最後に大型有機分子をさまざまな星形成領域で探査し、その存在量がその領域のどんな物理量を反映しているのかを調べた。もともとはSgrB2分子雲で新しい星間分子エチレンオキサイド(cyclic-C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e4\u003c/SUB\u003eO)を発見したことから、この分子の構造異性体のホルムアルデヒド(CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCHO)とともにこれらの分子の生成過程を明らかにする為、2つの分子をさまざまな領域で探査した観測である。20あまりの分子雲で探査を行い、cyclic-C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e4\u003c/SUB\u003eO・CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCHOの他に大型有機分子7種類を検出した。その存在量は分子雲によってさまざまであったが、ほとんどの分子が分子雲そのものの温度に比例して存在量が増えることがわかった。一方ダストの温度と分子の存在量の関係を調べると、cyclic-C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e4\u003c/SUB\u003eO・CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCHOはダストの温度と存在量の間に相関が見られなかったが、それ以外の分子に関しては相関が見られた。これは、cyclic-C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e4\u003c/SUB\u003eO・CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCHO以外の分子に関しては、分子雲の進化とともにダストの温度が上昇し、従ってダスト上で作られたこれらの分子の蒸発してくる量が増加して存在量が増えていると考えることが出来る。一方cyclic-C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e4\u003c/SUB\u003eO・CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCHOはダスト上での反応より、むしろ気相中の反応が主に効いていると考えられる。大型有機分子と言えばダスト上の反応が重要だと考えられてきたが、今回の観測により大型有機分子の中でもダスト上の反応の重要性はさまざまであるということがわかってきた。また分子の存在量と同時に励起温度も求められるが、これももさまざまであり大きく3段階に分類出来ることがわかった。低温(10-40K)のcyclic-C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e4\u003c/SUB\u003eO,CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCHO,HCOOH、高温(70-250K)のCH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eOH,(CH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003e)\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eO,C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eCN,C\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e5\u003c/SUB\u003eCN、その中間のC\u003cSUB\u003e2\u003c/SUB\u003eH\u003cSUB\u003e5\u003c/SUB\u003eOH,HCOOCH\u003cSUB\u003e3\u003c/SUB\u003eである。これらの分子のA係数がそれほど違わないことから、それぞれの分子が物理条件の異なる場所から出てきている可能性がある。ただしこれを確かめる為には、さらにマッピング観測が不可欠である。", 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An Observational Study of the Chemical Composition inMassive Star-Forming Regions
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | An Observational Study of the Chemical Composition inMassive Star-Forming Regions | |||||
タイトル | ||||||
言語 | en | |||||
タイトル | An Observational Study of the Chemical Composition inMassive Star-Forming Regions | |||||
言語 | ||||||
言語 | eng | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
池田, 美穂
× 池田, 美穂 |
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フリガナ |
イケダ, ミホ
× イケダ, ミホ |
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著者 |
IKEDA, Miho
× IKEDA, Miho |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第386号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 数物科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 09 天文科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1999-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
1998 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 現在星間空間には100種以上もの分子種が発見されているが、分子雲中の化学組成は領域によって大きく異なっている。極低温の暗黒星雲では地球上では存在しない炭素鎖分子が多く存在し、これらの分子は気相中のイオン・分子反応で生成されていると考えられている、実際にこれらの反応のモデル計算が行われており、観測量から得られた存在量をほぼ説明できることがわかってきた。一方大質量星形成領域では地球上でも見られる大型の有機分子が多数検出されている。しかしこれらの分子の存在量を同様にイオン・分子反応のモデル計算で説明しようとすると、それらの計算では説明できない観測結果が次々と得られてきた。観測から得られる存在量が計算による予測より数桁高いのである。そこで星間ダストを触媒とする固体上の反応が考えられるようになってきた。2つの粒子が結合するときに発生する余計なエネルギーをこのダストが吸収してくれる為、非常に効率よく反応が進むのである。しかしこの反応で生成された分子はダスト上に凍り付いている為、電波領域で観測されるためには気相中に蒸発してこなくてはならない。大質量星形成領域では、HII領域に埋もれた若いO、B型星からの輻射でダストが暖められ、そこから分子が蒸発してきていると考えられている。だとすると若い星の周りにこれらの分子が分布し、お互いに生成に関連ある分子同士であれば分布も類似したものになることが予想される。今までの観測は分子雲の中心1点のみというものがほとんどであったため、大型有機分子の分布はほとんど知られていない。そこで大型有機分子の生成過程を分布からも明らかにする為、もっとも多くの分子が検出されており、我々の銀河中心方向に存在するSgrB2分子雲においてさまざまな大型有機分子のマッピング観測を行った。 まず酸素を含む分子(CH<SUB>3</SUB>OH,C<SUB>2</SUB>H<SUB>5</SUB>OH,HCOOCH<SUB>3</SUB>,(CH<SUB>3</SUB>)<SUB>2</SUB>O)について分布を調べた。その結果これらの分子は若い星が埋もれているHII領域の周りに集中しており、観測から求められた存在量はイオン・分子反応とダスト上での反応とを組み合わせた反応でほぼ説明できることがわかった。つまり星形成領域では酸素を含む大型有機分子は、暗黒星雲で進んでいるようなイオン・分子反応に加えてダストという固体上での反応が重要な役割を果たしているわけである。またこれらの分子の中で(CH<SUB>3</SUB>)<SUB>2</SUB>Oは直接ダスト上で生成されるのではなく、ダスト上で生成されたCH<SUB>3</SUB>OHから気相中で生成されると考えられている。実際その分布を比較してみると、両分子ともHII領域の周りに非常にコンパクトに分布している。この分布の類似性はお互いに生成過程が関連していることを表している。 次に窒素を含む分子(CH<SUB>3</SUB>NH<SUB>2</SUB>,CH<SUB>2</SUB>NH,NH<SUB>2</SUB>CHO,NH<SUB>2</SUB>CN)についても同様なマッピング観測を行ったところ、酸素を含む分子より広がって存在する、つまり若い星から離れたところにも存在することがわかった。もし窒素を含む分子もダスト上で生成されているとしたら、若い星以外にダストを暖める熱源が必要になってくるが、今のところそういったものは検出されていない。しかもモデル計算との比較を行うと、観測から得られる存在量がイオン・分子反応のみのモデル計算の予想値と近いことがわかった。さらにこれらの分子の広がった構造は、HC<SUB>3</SUB>Nのような高密度をトレースする分子の分布とよく似ていることもわかった。つまり窒素を含む分子はHII領域に付随した分布というよりもむしろ、高密度なガス全体に分布しているといえるだろう。酸素を含む分子と窒素を含む分子の分布の違いは、大型有機分子でもそれを構成している元素によって主な生成メカニズムが違うということを示している。 大質量星形成領域でも進化の段階はざまざまであり、したがって化学組成も微妙に違ってくるはずである。そこで私は最後に大型有機分子をさまざまな星形成領域で探査し、その存在量がその領域のどんな物理量を反映しているのかを調べた。もともとはSgrB2分子雲で新しい星間分子エチレンオキサイド(cyclic-C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>O)を発見したことから、この分子の構造異性体のホルムアルデヒド(CH<SUB>3</SUB>CHO)とともにこれらの分子の生成過程を明らかにする為、2つの分子をさまざまな領域で探査した観測である。20あまりの分子雲で探査を行い、cyclic-C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>O・CH<SUB>3</SUB>CHOの他に大型有機分子7種類を検出した。その存在量は分子雲によってさまざまであったが、ほとんどの分子が分子雲そのものの温度に比例して存在量が増えることがわかった。一方ダストの温度と分子の存在量の関係を調べると、cyclic-C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>O・CH<SUB>3</SUB>CHOはダストの温度と存在量の間に相関が見られなかったが、それ以外の分子に関しては相関が見られた。これは、cyclic-C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>O・CH<SUB>3</SUB>CHO以外の分子に関しては、分子雲の進化とともにダストの温度が上昇し、従ってダスト上で作られたこれらの分子の蒸発してくる量が増加して存在量が増えていると考えることが出来る。一方cyclic-C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>O・CH<SUB>3</SUB>CHOはダスト上での反応より、むしろ気相中の反応が主に効いていると考えられる。大型有機分子と言えばダスト上の反応が重要だと考えられてきたが、今回の観測により大型有機分子の中でもダスト上の反応の重要性はさまざまであるということがわかってきた。また分子の存在量と同時に励起温度も求められるが、これももさまざまであり大きく3段階に分類出来ることがわかった。低温(10-40K)のcyclic-C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>O,CH<SUB>3</SUB>CHO,HCOOH、高温(70-250K)のCH<SUB>3</SUB>OH,(CH<SUB>3</SUB>)<SUB>2</SUB>O,C<SUB>2</SUB>H<SUB>3</SUB>CN,C<SUB>2</SUB>H<SUB>5</SUB>CN、その中間のC<SUB>2</SUB>H<SUB>5</SUB>OH,HCOOCH<SUB>3</SUB>である。これらの分子のA係数がそれほど違わないことから、それぞれの分子が物理条件の異なる場所から出てきている可能性がある。ただしこれを確かめる為には、さらにマッピング観測が不可欠である。 |
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所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | AM | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_ab4af688f83e57aa |