WEKO3
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/\u003e体の直線偏向を測定すると、その天体から地球までの間にある星間物質中の「天球上に射影\u003cbr /\u003eした磁場の方向」を求めることができる。HIガス雲、分子雲、分子雲コアなどの磁場構造が\u003cbr /\u003eこの星間偏光の手法で求められている。\u003cbr /\u003e 天体の周りに分布したダスト散乱によっても大きな偏光が生じる。この性質を利用して\u003cbr /\u003e星周物質の直線偏光を測定すると、その物質を照らす光源の位置や星周物質の幾何学を決定することができる。双極分子流、エンベロープ、原始惑星系円盤、残骸円盤などの幾何学構造\u003cbr /\u003eが散乱偏光の手法で求められている。\u003cbr /\u003e 理論的研究からも、星形成において磁場は重要な役割を果たしていると考えられ、現在も\u003cbr /\u003e精力的な研究が進められている。しかしながら、星形成領域はダストによる吸収が大きく、\u003cbr /\u003e領域内部の磁場構造を可視光の星間偏光で調べることは難しい。より波長の長い近赤外線に\u003cbr /\u003eおける偏光観測は1980年代から行われている。しかし、2次元赤外検出器が主になった昨\u003cbr /\u003e今でも、赤外偏光観測の視野は狭く、限られた領域もしくは空間解像度の悪い磁場構造の研\u003cbr /\u003e究、あるいは、個々の天体の散乱偏光を見ることしかできずにいた。近赤外線の星間偏光を\u003cbr /\u003eとらえることは、星が生まれている場所の磁場構造を解明する上で極めて重要なテーマであ\u003cbr /\u003eる。さらに、天体の周囲の磁場構造と星周構造との関係を観測的に明らかにすることは、星\u003cbr /\u003e形成を理解するうえで極めて重要である。\u003cbr /\u003e 我々は、南アフリカにある名古屋大学1.4m望遠鏡IRSFと近赤外三色同時撮像装置\u003cbr /\u003eSIRIUSを活用し、近赤外偏光観測において初めて、約8′×8′という広視野でJ(1.2μ\u003cbr /\u003em), H(1.6μm), 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Near-Infrared Imaging Polarimetry of the Orion-Monoceros Star Forming Regions
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Near-Infrared Imaging Polarimetry of the Orion-Monoceros Star Forming Regions | |||||
タイトル | ||||||
言語 | en | |||||
タイトル | Near-Infrared Imaging Polarimetry of the Orion-Monoceros Star Forming Regions | |||||
言語 | ||||||
言語 | eng | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
日下部, 展彦
× 日下部, 展彦 |
|||||
フリガナ |
クサカベ, ノブヒコ
× クサカベ, ノブヒコ |
|||||
著者 |
KUSAKABE, Nobuhiko
× KUSAKABE, Nobuhiko |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第1123号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 物理科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 09 天文科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2008-03-19 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2007 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 天体からの光は、程度の差こそあれ、全て偏光していると言って過言ではない。偏光の原<br />因は多様であるが、星間物質中や分子雲中のダストによる減光(吸収と散乱)や、天体の周り<br />に分布しているダストによる散乱などがある。<br /> ダストの吸収による偏光が「星間偏光」であり、磁場に整列された非球状のダストに偏光<br />していない光が入射すると、ダストの長軸方向の電場ベクトルは吸収されやすいため、通り<br />抜けてきた光はダストの短軸方向に直線偏光する。この性質を利用することにより、ある天<br />体の直線偏向を測定すると、その天体から地球までの間にある星間物質中の「天球上に射影<br />した磁場の方向」を求めることができる。HIガス雲、分子雲、分子雲コアなどの磁場構造が<br />この星間偏光の手法で求められている。<br /> 天体の周りに分布したダスト散乱によっても大きな偏光が生じる。この性質を利用して<br />星周物質の直線偏光を測定すると、その物質を照らす光源の位置や星周物質の幾何学を決定することができる。双極分子流、エンベロープ、原始惑星系円盤、残骸円盤などの幾何学構造<br />が散乱偏光の手法で求められている。<br /> 理論的研究からも、星形成において磁場は重要な役割を果たしていると考えられ、現在も<br />精力的な研究が進められている。しかしながら、星形成領域はダストによる吸収が大きく、<br />領域内部の磁場構造を可視光の星間偏光で調べることは難しい。より波長の長い近赤外線に<br />おける偏光観測は1980年代から行われている。しかし、2次元赤外検出器が主になった昨<br />今でも、赤外偏光観測の視野は狭く、限られた領域もしくは空間解像度の悪い磁場構造の研<br />究、あるいは、個々の天体の散乱偏光を見ることしかできずにいた。近赤外線の星間偏光を<br />とらえることは、星が生まれている場所の磁場構造を解明する上で極めて重要なテーマであ<br />る。さらに、天体の周囲の磁場構造と星周構造との関係を観測的に明らかにすることは、星<br />形成を理解するうえで極めて重要である。<br /> 我々は、南アフリカにある名古屋大学1.4m望遠鏡IRSFと近赤外三色同時撮像装置<br />SIRIUSを活用し、近赤外偏光観測において初めて、約8′×8′という広視野でJ(1.2μ<br />m), H(1.6μm), Ks(2.1μm)での三色同時偏光撮像装置SIRPOLを開発した(2005年12月<br />にファーストライト)。この装置により、これまでの近赤外線観測において約20倍もの視野<br />を一度に観測することが可能になった。<br /><br /> 主な星形成領域を一視野でカバーすることができるこの装置を用い、数多くの領域を観<br />測することにより、様々な星形成領域の磁場構造や星周構造を統計的に研究することが可能<br />となった。本研究では、代表的な星形成領域であるM42, NGC2264, Mon R2の3つの領域<br />における偏光観測の結果を示す。<br /> 代表的なオリオン星形成領域M42においては、これまでの視野では確認できなかった、<br />大質量(約25太陽質量)の若い星IRc<small>2</small>に付随する大規模な双極赤外反射星雲とBN天体(約<br />7太陽質量以上)に付随する単極赤外反射星雲の散乱偏光のパターンを発見した。これは、<br />大質量星の成因に直結するディスク・アウトフロー構造に対して、重要な情報となる。さら<br />に、視野中の313個もの点状天体のアパーチャー偏光の測定を行い、IRc2 の周囲、約0.5pc<br />のスケールにおける砂時計状の磁場構造を検出することができた。得られた磁場構造は、過<br />去のミリ波・サブミリ波のダスト熱放射による偏光から得られる磁場構造とよく一致する。<br />また、同領域におけるいくつかの天体については、散乱偏光のパターンから長波長でしか見<br />えていない天体の散乱偏光を捉え、照射源を特定することに成功した。また、これまで知ら<br />れていない中質量星のディスク・アウトフロー構造を少なくとも13天体検出することがで<br />きた。<br /> 大質量星形成領域であり、強力なアウトフローを伴うMon R2星形成領域の分子雲コアに<br />おける観測では、数パーセクスケールの大局的磁場と中心付近をつなぐ複雑な磁場構造を<br />321天体のアパーチャー偏光から検出した。この中心部の磁場構造は、大質量星形成に伴い<br />磁場がねじれた可能性を示唆した。これはM42における砂時計構造とは異なる。また、全体<br />的にはIRS 2による散乱偏光が支配的であるが、IRS 1,3,6に付随する散乱偏光も検出した。<br /> 中心部に若い低質量のクラスターが存在する、いっかくじゅう座のNGC2264 IRS<small>1</small>領域<br />においては、256天体のアパーチャー偏光から、約1.8 pcのスケールの磁場構造を決定し、<br />可視光から知られていた数pcスケールの大局的磁場構造とは異なる星間偏光を検出した。こ<br />の領域では、ローカルな磁場が入り組んだ構造を持っていることを初めて示唆した。さらに、<br />これまでよりはるかに広い視野で赤外線散乱偏光を調べたことにより、IRS<small>1</small>付近において近<br />赤外線で新たに星周構造を持つと考えられる赤外反射星雲を3つも見出し、IRS 1に付随す<br />る円盤構造を近赤外で初検出した。また、ミリ波でしか見えていないMMS3に対応するディ<br />スク・アウトフロー構造を初めて検出することができた。<br /><br /> 若い星に対するアパーチャー偏光は、磁場ではなく、その星に付随する分解できない小さ<br />な星周構造の情報を含んでいる。若い星に付随する赤外反射星雲は、アウトフローによって<br />生じるcavity(空洞)に光が通りやすくなり、cavityとエンベロープとの壁において、星か<br />らの光が散乱したときに生じると考えられる。その結果、星間偏光より大きな偏光度が検出<br />される。観測的に予想された星間偏光の上限値以上のポイントソースを、上記の3領域で多<br />数検出した。その中には若い褐色矮星が含まれるが、とくに、M42の領域内に存在する若<br />い褐色矮星のうち、10天体について偏光を検出し、褐色矮星のディスク・アウトフロー構造<br />に対する幾何学的構造を初めて示唆することができた。その小さな重力エネルギーにより星<br />周円盤がフレア状に広がり、そのため、大きな散乱偏光を持ちやすくなると示唆されている。<br />今回の観測における偏光度の比較から、その予想と矛盾しない結論が得られた。<br /> また、これら3領域において、H-Ks vs. 偏光度の傾きが、吸収の深い領域で飽和する傾向<br />は見られなかった。このことから、深く埋もれた星形成領域内部ではダストはあまり整列さ<br />れないという過去の指摘を覆すことができた。<br /> | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 |