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  1. 020 学位論文
  2. 物理科学研究科
  3. 10 核融合科学専攻

歳差ドリフトフィッシュボーン不安定性の非線形発展

https://ir.soken.ac.jp/records/514
https://ir.soken.ac.jp/records/514
e369a849-c9fd-4a47-ba8f-8a421b57a033
名前 / ファイル ライセンス アクション
甲840_要旨.pdf 要旨・審査要旨 (408.5 kB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2010-02-22
タイトル
タイトル 歳差ドリフトフィッシュボーン不安定性の非線形発展
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
資源タイプ thesis
著者名 塩崎, 優

× 塩崎, 優

塩崎, 優

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フリガナ シオザキ, ユタカ

× シオザキ, ユタカ

シオザキ, ユタカ

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著者 SHIOZAKI, Yutaka

× SHIOZAKI, Yutaka

en SHIOZAKI, Yutaka

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学位授与機関
学位授与機関名 総合研究大学院大学
学位名
学位名 博士(学術)
学位記番号
内容記述タイプ Other
内容記述 総研大甲第840号
研究科
値 物理科学研究科
専攻
値 10 核融合科学専攻
学位授与年月日
学位授与年月日 2005-03-24
学位授与年度
値 2004
要旨
内容記述タイプ Other
内容記述 フィッシュボーン不安定性は高エネルギー粒子によって駆動されるMHD不安定性である。トカマクプラズマにおけるフィッシュボーン不安定性の空間構造は、内部キンク不安定性と同様に安全係数qが1よりも小さいプラズマ中心に存在し、主なポロイダル/トロイダルモード数はm/n=1/1である。理論研究によって反磁性ドリフトフィッシュボーンと歳差ドリフトフィッシュボーンの2種類が存在することが知られている。前者においては不安定性の実周波数はバルクイオンの反磁性ドリフト周波数にほぼ等しく、後者においては高エネルギーイオンの歳差ドリフト周波数にほぼ等しい。後者の周波数はエネルギー原理において高エネルギーイオンによる不安定性の駆動がほぼ最大になる値である。周波数が高エネルギーイオンからの寄与によって決定されていることから、歳差ドリフトフィッシュボーンはその性質に高エネルギーイオンが本質的な役割を果たすモード、すなわち非摂動論的モードであると言える。<br /> フィッシュボーン不安定性の線形段階の性質については多くの理論的な研究がなされているが、非線形段階に関する理論・シミュレーション研究はほとんど行われていない。唯一の例外として反磁性ドリフトフィッシュボーンのシミュレーション研究があるが、その研究ではMHD非線形性と電気抵抗が考慮されておらず、非線形段階の研究としては不十分である。我々は高エネルギー粒子-MHD統合シミュレーションコードMEGAを用いて歳差ドリフトフィッシュボーン不安定性の非線形シミュレーションを実行し、その飽和過程の解明に成功した。<br /> 歳差ドリフトフィッシュボーン不安定性の研究に先立ち、TFTRトカマクにおいてアルファ粒子によって不安定化されたトロイダル・アルヴェン固有モード(TAE)に関するベンチマークテストを実行し、NOVA-Kコードによるモード構造、周波数及び成長率の解析結果と比較して良好な一致を確認した。<br /> 次に、フィッシュボーン不安定性が観測されたPDXトカマクと同様の条件を設定し、現れる不安定性の線形段階の性質を調べた。シミュレーションの初期条件として、捕捉粒子が主成分である高エネルギーイオン分布と矛盾のないMHD平衡を構築して用いている。この初期条件ではq=1磁気面がr/a=0.3に存在し、高エネルギーイオンが存在しない状態では内部キンク不安定性が発生する。このときの内部キンク不安定性の実周波数は0である。高エネルギーイオン圧力が異なる平衡を調べた結果、高エネルギーイオン圧力があるしきい値を超えると不安定性の実周波数が内部キンク不安定性の0付近から高エネルギーイオン歳差ドリフト周波数程度に遷移することを見いだした。高エネルギーイオンからMHD流体へのエネルギー変換を調べたところ、この不安定性が高エネルギーイオンによって駆動されていることが確認できた。これらの結果から、この不安定性は歳差ドリフトフィッシュボーンであると結論できる。<br /> 歳差ドリフトフィッシュボーンの非線形挙動を、5つの異なる初期条件についてシミュレーションを実行して調べた。歳差ドリフトフィッシュボーンの飽和過程は以下のようにまとめることができる。<br /> 1.線形成長段階においてはJoule加熱による単位時間あたりのエネルギー変換率が高エネルギーイオンからMHD流体へのエネルギー変換率と比例して増大する。線形成長段階において前者の値は後者よりも一桁ほど小さい。不安定性飽和時においては高エネルギーイオンからMHD流体へのエネルギー変換率がほぼ一定の値を取るのに対して、Joule加熱によるエネルギー変換率がそれと同レベルに達して不安定性が飽和する。<br /> 2.不安定性の成長とともに磁気再結合によって磁気島が形成される。さらに線形成長モードの磁場揺動に含まれるm/n=1/1,2/1成分及び非線形結合によって発生するm/n=3/2などの成分の重なりによって乱れた磁力線領域が発生する。<br /> 3.磁気島と乱れた磁力線領域における高エネルギーイオンの軌道は初期平衡配位における軌道とは大きく異なり、フィッシュボーン不安定性の駆動に寄与できなくなると考えられる。その結果、不安定性の駆動に寄与できる共鳴粒子数が減少し、高エネルギーイオン圧力勾配も同時に減少するため、高エネルギーイオンからMHD流体へのエネルギー変換率は増加せずほぼ一定レベルを保つものと考えることができる。<br /> 4.不安定性の飽和時において、高エネルギーイオンからMHD流体へのエネルギー変換は継続している。フィッシュボーン不安定性と同様に高エネルギー粒子によって駆動されるアルヴェン固有モードの場合は、高エネルギーイオンからMHD流体へのエネルギー変換が停止することによって不安定性が飽和する。これはアルヴェン固有モード自身によって共鳴粒子が捕捉(波動-粒子捕捉)されるからである。フィッシュボーン不安定性の飽和過程においては波動-粒子捕捉は重要ではないと結論できる。<br /> 5.径方向速度の飽和レベルと線形段階における複素周波数の絶対値から推定したプラズマ変位の飽和レベルはq=1磁気面半径と同程度である。これは磁力線ポアンカレプロットにおいてプラズマ中心の位置が大きく動いていることと矛盾しない。反磁性ドリフトフィッシュボーンに関する過去のシミュレーション研究においては、プラズマ変位の飽和レベルはq=1磁気面半径の10%にも満たない大きさであった。そのシミュレーション研究においてはMHD非線形性と電気抵抗が考慮されておらず、磁気再結合が発生しない制約があったことが我々の結果との違いをもたらしていると考えられる。フィッシュボーン不安定性の非線形発展においては、MHD非線形性と電気抵抗を考慮することが必要不可欠であり、磁気再結合が重要であると結論できる。<br /> 6.不安定性飽和時において周波数低下が起こる。高エネルギーイオンが小半径方向に輸送され、その分布が平坦化するとともに周波数が低下する。<br /> 7.初期条件は全てプラズマ中心におけるq値が1よりも小さい場合であり、調べられたフィッシュボーン不安定性は内部キンク不安定性と同様にプラズマ電流によっても駆動されている。プラズマ中心におけるq値を1に近づけると電流駆動型の性質は弱まり、磁場揺動の飽和レベルは小さくなるが、プラズマ変位の飽和レベルはこの場合もq=1磁気面半径と同程度である。<br />以上のように、歳差ドリフトフィッシュボーン不安定性の非線形シミュレーションに世界で初めて成功し、その飽和過程を解明した。本研究の結果は、歳差ドリフトフィッシュボーン不安定性の非線形段階における磁気再結合と乱れた磁力線領域の重要性を示している。今後のフィッシュボーン不安定性の非線形シミュレーションにおいては、本研究のような磁気再結合を取り扱うことが可能なモデルと手法が用いられねばならない。また、磁気再結合はイオンラーモア半径や電子慣性などのプラズマの微視的効果が重要な複雑な過程であるため、フィッシュボーン不安定性の完全な理解のためにはそのような効果を取り入れていくことも今後は必要であろう。
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値 有
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Ver.1 2023-06-20 16:12:51.127648
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