WEKO3
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/\u003eタ排気による汚染防止の観点からヒドラジン(N\u003csmall\u003e2\u003c/small\u003eH\u003csmall\u003e4\u003c/small\u003e)とNTO(四酸化二窒素;N\u003csmall\u003e2\u003c/small\u003eO\u003csmall\u003e4\u003c/small\u003eの\u003cbr /\u003e炭素基を持たない燃料/酸化剤の組み合わせが求められるようになってきた. またヒドラ\u003cbr /\u003eジンの燃焼温度はMMHと比較して高いことからスラスタの高性能化が期待されている.\u003cbr /\u003e宇宙航空研究開発機構では, 小惑星のサンプルリターンをミッションとしたHAYABUSA\u003cbr /\u003e(2003年打ち上げ)に搭載するためのヒドラジン-NTOを推薬とした20N二液式スラス\u003cbr /\u003eタを開発した.しかしながら,この20Nスラスタの設計開発は実験による経験的手法に拠\u003cbr /\u003eっており, 時間・費用の面で高コストとなったという問題があった. またスラスタの性能\u003cbr /\u003eが, 流量や噴射位置・角度など, 噴射パラメータの変化に敏感で, 最適化するには至らな\u003cbr /\u003eかった. そこで, 今後のスラスタ設計開発のためにはスラスタ燃焼室内部での物理挙動を\u003cbr /\u003e詳細に把握することを目的に, 燃焼を含んだスラスタ内部での数値熱流体モデルの構築を\u003cbr /\u003e行った.\u003cbr /\u003e 20N二液式スラスタは, 高温の燃焼ガスから燃焼室を保護するため, フィルムクーリン\u003cbr /\u003eグ手法を用いて壁面を冷却している. よって, 数値モデルはフィルムクーリング燃料が壁\u003cbr /\u003eを冷やしつつ気化し, 燃焼ガスに徐々に取り込まれて燃焼していくような現象を再現でき\u003cbr /\u003eなくてはならない. そのためには, 広い酸化剤/燃料質量比(O/F)で有効で, 時間依存\u003cbr /\u003e性のある, 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ヒドラジン-四酸化二窒素の燃焼モデルとフィルムクーリング型二液式スラスタ数値モデルへの応用
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | ヒドラジン-四酸化二窒素の燃焼モデルとフィルムクーリング型二液式スラスタ数値モデルへの応用 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
大南, 香織
× 大南, 香織 |
|||||
フリガナ |
オオミナミ, カオリ
× オオミナミ, カオリ |
|||||
著者 |
OHMINAMI, Kaori
× OHMINAMI, Kaori |
|||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(工学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第1130号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 物理科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 11 宇宙科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2008-03-19 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2007 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 宇宙機の二液式推進系には自発着火性のある燃料が用いられ, 代表的には燃焼が安定で<br />着火性にも優れているMMH(モノメチルヒドラジン;CH<small>3</small>NHNH<small>2</small>)が多く用いられて<br />きた. しかし近年, 科学ミッションをもつ探査機が多くなり, ターゲット天体へのスラス<br />タ排気による汚染防止の観点からヒドラジン(N<small>2</small>H<small>4</small>)とNTO(四酸化二窒素;N<small>2</small>O<small>4</small>の<br />炭素基を持たない燃料/酸化剤の組み合わせが求められるようになってきた. またヒドラ<br />ジンの燃焼温度はMMHと比較して高いことからスラスタの高性能化が期待されている.<br />宇宙航空研究開発機構では, 小惑星のサンプルリターンをミッションとしたHAYABUSA<br />(2003年打ち上げ)に搭載するためのヒドラジン-NTOを推薬とした20N二液式スラス<br />タを開発した.しかしながら,この20Nスラスタの設計開発は実験による経験的手法に拠<br />っており, 時間・費用の面で高コストとなったという問題があった. またスラスタの性能<br />が, 流量や噴射位置・角度など, 噴射パラメータの変化に敏感で, 最適化するには至らな<br />かった. そこで, 今後のスラスタ設計開発のためにはスラスタ燃焼室内部での物理挙動を<br />詳細に把握することを目的に, 燃焼を含んだスラスタ内部での数値熱流体モデルの構築を<br />行った.<br /> 20N二液式スラスタは, 高温の燃焼ガスから燃焼室を保護するため, フィルムクーリン<br />グ手法を用いて壁面を冷却している. よって, 数値モデルはフィルムクーリング燃料が壁<br />を冷やしつつ気化し, 燃焼ガスに徐々に取り込まれて燃焼していくような現象を再現でき<br />なくてはならない. そのためには, 広い酸化剤/燃料質量比(O/F)で有効で, 時間依存<br />性のある, 詳細な燃焼反応モデルが必要である.<br /> これまでスラスタの数値解析にはいくつかの例があるが, 1~4反応で代表した総括化<br />学反応を組み入れた解析例のみで, 詳細な反応モデルを組み込んだ解析例はない. ヒドラ<br />ジン-NTOの詳細反応モデルがなかったためである. 本論文においても20Nのスラスタ<br />の数値モデルにSawyerとGlassmanによる二段の総括反応を燃焼モデルとして取り入れ<br />解析を行った. しかし, O/Fが当量からはずれるに従い, 燃焼温度が断熱火炎温度からは<br />ずれてしまい, 燃焼室壁の温度予測や性能予測が実験とあわず, O/Fを考慮したような数<br />値解析には適当でないことが判明した. そこで本論文では, スラスタの数値解析に組み込<br />み可能で, 0/Fや流量をパラメータとした解析が可能な, ヒドラジンーNTOの燃焼モデ<br />ルを構築した.<br /> ヒドラジン-NTO反応の詳細な燃焼反応モデルはこれまで確立されていなかった. そ<br />こで, ヒドラジン-NTO燃焼反応の有限反応速度を直接調べるのではなく, N,H,0を含む<br />検証された素反応をできるだけ多く集めることにより詳細反応モデルの構築を行った. こ<br />の反応モデルは245反応式30化学種を含んでいる. 詳細反応モデルは, 1)燃焼ガス温度<br />が断熱火炎温度に一致すること, 2)着火おくれ時間が実験と合致すること, 3)十分時間が<br />経過した平衡とみなせる状態の化学組成が化学平衡計算によるものと合致すること の3<br />点を0/Fに対して確認することで妥当性を検証した.<br /> 次に, スラスタの数値解析に適用できるように詳細反応モデルの縮小化を行った. 縮小<br />化は主に感度解析を行い, 0/Fをパラメータとしたときに燃焼ガス温度,着火おくれ時間,<br />化学種組成について, 縮小モデルが詳細モデルでの解析値を再現できるように行った. そ<br />の結果, 61反応式23化学種からなる縮小化された詳細反応モデルを構築できた.<br /> また, 詳細・縮小反応モデルにおいて反応経路の解析を行うことで, ヒドラジン-NTO<br />が混合~着火~平衡状態に至るまでの間の火炎内部での反応の変化を明らかにすることが<br />できた. 特に,着火状態では,特定の反応経路によって着火を生じさせているのではなく,<br />10μsecの非常に短い期間に, 反応経路のネットワークを一気に拡大・多分岐させて行っ<br />ていることを示し, それを動的に変化させながら, 燃焼の平衡状態へ移行するといったメ<br />カニズムを明らかにした. 更に反応経路解析においても縮小反応モデルが詳細反応モデル<br />による結果を再現することを確認し, 反応経路の観点からも妥当な縮小化を行ったことを<br />示した.<br /> 応用として, フィルムクーリング型二液式スラスタ内部流れの数値シミュレーションに<br />縮小化した詳細反応モデルを適用した. 気相のみを取り扱ったスラスタの流れ解析では,<br />この縮小化した詳細反応モデルを取込むことで,0/Fをパラメータとした数値解析に適用<br />できることを示し, O/F=1.2近傍でスラスタ性能が最大となる実験結果を再現することが<br />できた. さらに液滴を考慮したスラスタ内部流れの数値解析に縮小化した詳細反応モデル<br />を取込んだ. 液滴を考慮した3次元のスラスタ解析に詳細反応モデルを取込んだことは初<br />めての試みであり, 燃焼室内部での液滴の蒸発・燃焼反応を考慮した火炎構造, 及び燃焼<br />のメカニズムを明らかにすることができた. フィルムクーリングの効果については, 燃焼<br />室壁近傍でヒドラジンが蒸発・徐々に燃焼ガスに取込まれるため, 境界層にヒドラジンガ<br />スを多く含み, 総括反応と比較してより壁面冷却効果が得られることを示した. また中心<br />軸付近の火炎構造については, ヒドラジン・NTO液滴からのガスの蒸発により中間生成<br />物の生成・混合効果が進み, 燃焼室内部の高温ガスを均一化しており, それが更にヒドラ<br />ジン・NTOの蒸発を促進させるといったメカニズムを明らかにした. また, 高温ガスが<br />均一化されるという結果から, 2次元解析の妥当性を示した.<br /> このようにスラスタの数値シミュレーションに適用することで, ヒドラジン-NTOの縮<br />小化した詳細反応モデルの有用性を示した.<br /> | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 |