Item type |
学位論文 / Thesis or Dissertation(1) |
公開日 |
2010-02-22 |
タイトル |
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タイトル |
体積生成負水素イオン源におけるセシウム効果の研究 |
タイトル |
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タイトル |
Cesium catalysis effect of negative hydrogenion production in volume-produced negativehydrogen ion source |
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言語 |
en |
言語 |
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言語 |
jpn |
資源タイプ |
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資源タイプ識別子 |
http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec |
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資源タイプ |
thesis |
著者名 |
奥山, 利久
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フリガナ |
オクヤマ, トシヒサ
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著者 |
OKUYAMA, Toshihisa
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学位授与機関 |
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学位授与機関名 |
総合研究大学院大学 |
学位名 |
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学位名 |
博士(工学) |
学位記番号 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
総研大甲第4号 |
研究科 |
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値 |
数物科学研究科 |
専攻 |
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値 |
12 加速器科学専攻 |
学位授与年月日 |
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学位授与年月日 |
1992-03-16 |
学位授与年度 |
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値 |
1991 |
要旨 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
体積生成型の負水素イオン源に微量のセシウム蒸気を注入すると、ビーム強度<br />が著しく増加することがわかってきた。体積生成型の負水素イオン源では、プラ<br />ズマ中における励起水素分子と電子の解離性付着反応を利用して負水素イオンを<br />生成する。このため、現在加速器のイオン源として使用されている表面生成型の<br />負イオン源とは異なり、基本的にはセシウムの供給を必要とせず、加速器がセシ<br />ウムによって汚染されることがない。したがって、体積生成型の負水素イオン源<br />において微量のセシウムを注入するだけでビーム強度が増加することは、セシウ<br />ムによる汚染がほとんど無い状態で表面生成型のイオン源に匹敵する高強度の負<br />水素イオンビームが得られる可能性があり、加速器への応用を考えるに、極めて<br />注目すべき現象である。しかしながら、何故ビーム強度が増加するかは明らかに<br />されてはいない。したがって、その原因と基礎過程を明らかにすることは非常に<br />大切なことである。そこで、本研究では、次の2つの研究によって、セシウム注<br />入時にビーム強度の増加をもたらす負水素イオンの生成機構の解明を行った。<br />(1)体積生成型の負水素イオン源を利用して、セシウム効果に寄与している負<br /> 水素イオン生成過程を特定する研究<br />(2)セシウムを吸着させたモリブデン表面から離脱する熱運動速度の水素原子<br /> (H<sup>0</sup>) および低エネルギーの水素イオン(H<sup>+</sup>, H2<sup>+</sup>,H3<sup>+</sup>)による負<br /> 水素イオンの表面生成の研究<br /> 開発した体積生成型の負水素イオン源に、約20分間セシウム蒸気を注入した<br />結果、ビーム強度はセシウム注入前と比較して4倍以上増加した。そこで、(1)<br />の研究として、まずセシウム注入時のプラズマ電極の仕事関数の変化を測定し、<br />ビーム強度増加との相関関係を調べた。その結果、表面の仕事関数が低下すると<br />ビーム強度が増加することがわかった。つまり、イオン源の内面にセシウムが吸<br />着してこの表面の仕事関数が低下することによって、ビーム強度が増加している<br />ことがわかった。次に、アルゴンプラズマによるスパッタリングによって、プラ<br />ズマ電極に吸着したセシウムのみを除去した時の負水素イオンビーム強度の変化<br />を調べることによって、どの表面に吸着したセシウムが寄与しているかを調べる<br />実験を行った。その結果、プラズマ電極のセシウムのみを除去するだけで、ビー<br />ム強度はセシウム吸着前の値である3mAに戻つた。これによって、プラズマ電<br />極における負水素イオンの表面生成過程がセシウム効果の主因であることがわか<br />った。この過程では、プラズマ中の水素原子や水素イオンが仕事関数の低下した<br />プラズマ電極にあたって散乱する際に、表面との相互作用によって出てくる金属<br />中の電子を捕獲して、負水素イオンになる。したがつて、この時の負水素イオン<br />の生成効率を把握できれば、セシウム注入時のイオン源中における負水素イオン<br />生成量を評価することができる。しかしながら、イオン源中の水素原子や水素イ<br />オンのエネルギーに対応する10eV以下の低いエネルギー領域での負水素イオ<br />ンの表面生成は、これまではほとんど研究されていない。<br /> そこで、次に(2)の研究によって、表面生成による負水素イオンの生成効率<br />を直接測定することにより、体積生成型の負水素イオン源のプラズマ電極表面に<br />おける負水素イオン生成量を評価した。また、理論式との比較も行った。<br /> まず、熱運動速度の水素原子からの表面生成による負水素イオン生成効率を求<br />める実験を行った。実験では、水素解離器で発生させた約1250Kの水素原子<br />を、セシウムを吸着させたターゲット表面に入射させた。そして、ターゲットに<br />入射している水素原子のフラックスとファラディカップで測定した負水素イオン<br />の生成量から、負水素イオン生成効率を求めた。測定の結果、負水素イオン生成<br />効率は、仕事関数φ=2.1eVの表面において2.5x10<sup>-4</sup>であった。この結<br />果は、Blandinらによって提案された負水素イオン生成効率式から得られる理論<br />値、1.1x10<sup>-4</sup>とオーダー的に一致する。<br /> さらに、負水素イオンの生成効率の表面の仕事関数に対する依存性と水素原子<br />の速度に対する依存性も測定した。その結果、仕事関数の変化に対する負水素イ<br />オンの生成効率の変化の実験値と理論計算値はよく一致した。また、水素原子の<br />速度の変化に対する負水素イオン生成効率の変化の実験値も、理論値と比較する<br />とその変化量は小さいものの、定性的な傾向は一致した。以上の結果、Blandin<br />らによって提案された負水素イオンの生成効率式は、低エネルギー領域でも有効<br />であることがわかった。<br /> 次に、低エネルギーの水素イオンからの表面生成による負水素イオンの生成効<br />率を求める実験を行った。この実験では、イオン源で発生させた水素イオンを、<br />表面に垂直な方向のエネルギーを約1eVにして、ターゲット表面に入射させた。<br />実験の結果、水素イオンからの負水素イオンの生成効率は、φ=2.1eVの表面<br />において、H<sup>+</sup>イオンでは1.4x10<sup>-2</sup>、H3<sup>+</sup>イオンでは2.9x10<sup>-2</sup>であっ<br />た。しかしながら、H2<sup>+</sup>イオンについては、ほとんど負水素イオンの生成が測定<br />されなかった。表面に入射するイオンのエネルギーが低いために、H2<sup>+</sup>イオンは<br />入射時にオージェ電子を捕獲すると安定な水素分子になるためと考えられる。<br /> (2)の実験の結果をもとに、セシウムが吸着したプラズマ電極表面で水素原<br />子と水素イオンから生成される負水素イオン量を算出し、ビーム強度増加への寄<br />与を評価した。体積生成型の負水素イオン源中の水素原子(T=O.5eV)は、<br />その存在量が1x10<sup>14</sup>atoms/cm<sup>3</sup>以上と多量である。このため、水素原子から<br />の負水素イオン生成効率は低いにもかかわらず、電流値に換算して200mA/cm<sup>2</sup><br />もの負水素イオンがプラズマ電極表面で生成されていると見積られる。この値は、<br />負水素イオンのプラズマ中での消滅等を考慮しても、ビーム強度の増加を十分説<br />明できる値である。一方、水素イオンからの負水素イオン生成量は、プラズマ中<br />の水素イオンの密度が水素原子よりも2桁以上低いため、プラズマポテンシャル<br />を1eVと仮定すると、数mA/cm<sup>2</sup>ぐらいの電流値にしかならない。この結果、セ<br />シウム注入時にビーム強度が増加する原因は、セシウムが吸着して仕事関数が低<br />下したプラズマ電極表面で、この表面にあたるプラズマ中の水素原子が表面生成<br />で負水素イオンになるためであると結論づけられる。 |
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内容記述タイプ |
Other |
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内容記述 |
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