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東ネパールにおける羊飼いの生産活動と放牧地をめぐる社会関係
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
![]() |
Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 東ネパールにおける羊飼いの生産活動と放牧地をめぐる社会関係 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
渡辺, 和之
× 渡辺, 和之 |
|||||
フリガナ |
ワタナベ, カズユキ
× ワタナベ, カズユキ |
|||||
著者 |
WATANABE, Kazuyuki
× WATANABE, Kazuyuki |
|||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(文学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大乙第152号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 文化科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 02 比較文化学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2006-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2005 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 本論文の目的は、東ネパールの羊飼いを対象とし、その牧畜における生産活動と放牧地 をめぐる社会関係を人類学的に考察することである。特に市場経済や国家政策による影響 がある中で、彼らがいかに家畜を使用し、どのように対内的・対外的な社会関係を調整し て放牧するかを明らかにする。 第1章ではヒマラヤ地域の牧畜に関する先行研究を検討した。同地域における牧畜は産 地の高度差利用や共有地管理に関心がもたれてきた。しかし、そのほとんどは訳や交配牛 を対象としたもので、羊や山羊の牧畜は高地から低地まで及ぶににもかかわらず、その技 術や畜産物の生産活動はほとんど調査されてこなかった。また、インドのヒマラヤ地域で は市場経済の浸透や森林政策の、羊や山羊を放牧地に対する影響が研究されていたのに対 して、ネパールでは移動先でいかに放牧地を確保するのかという点について、ほとんど調 べられてこなかった。 調査は東ネパールのサガルマータ県において、1994年から1998年にかけて計4回行っ た。のベ2年半のネパール滞在のうち、13ケ月を牧畜の調査、8ケ月を村の調査にあてた。 第2章では、対象地域の地理的概況・羊飼いの母村・羊の移動形態について述べた。羊 飼いの母村であるルムジャタール村は標高1300mで、中間山地帯に位置する。この村の 羊飼いは、高山草地から低地まで移動する。その間の高度差は4000m以上で、片道200km 近くにも及ぶ。ただし、この村の羊飼いの場合には、他村と異なり冬に平原地帯近くまで 行かずに、村にとどまるものがいる。冬にある程度の低地にさえ下ればよいので、必ずし も長距離移動は必要不可欠ではない。 第3章では、家畜飼養の技術と畜産物の生産に至る過程を記述・分析した。羊飼いは名 称によって羊の個体識別をしており、朝夕の頭数確認に用いる。また、子羊に母羊の乳を すべて与えてしまうというのも特徴の一つで、乳を搾るのは仔がいなくなった雌からであ る。彼らは雌の仔羊は群れの再生産に使うが、雄の仔羊は離乳が可能担った段階で、冬の 放牧地の農民に売る。さらに、老齢や事故で「歩けない羊」も仲買人に肉として売る。ま た、雌の羊も取引されることがあるが、それは社会関係に左右されることがある。 第4章では、移動と放牧をめぐる羊飼いどうしの社会関係を、放牧キャンプの社会構成、 主人=牧夫関係、放牧テリトリーをめぐる社会関係から分析した。放牧キャンプの構成員 は特定の出身村・民族集団・カーストには限定されておらず、親族関係、姻族関係、友人 関係などによっている。また、家畜頭数が多い場合には羊100頭につき1名の牧夫を雇う ことがあり、そのときには主人と牧夫の関係が生じるが、それも流動的である。同様に、 放牧テリトリーをめぐる社会関係も流動的で、特定のテリトリーの利用権所有者が決まっ ている高山草地の夏の放牧地の場合でも、所有者の共同放牧者となれば権利を直接持って いなくても利用できる。 第5章では羊飼いが移動する先でいかに放牧地を確保するのか、移動する先の住民との 関係、国家との関係を述べた。夏の激牧地はシェルパの共有林であるため、羊飼いたちは シェルパに放牧料を支払い、家畜儀礼をシェルパと共同で行い、シェルパの畑に施肥する など、シェルパとの社会関係を維持しながら放牧地を利用する。冬の放牧地は国有林であ るため、行政村に放牧料を支払って利用する。羊飼いと放牧先の住民との関係は国の森林 政策の導入で変化しつつある。例えば、住民側が森林利用者組織(サムダイ)を結成して、 放牧地を細分化し、新たに放牧料を要求するようになっており、それに対して羊飼いたち も、放牧料を値切ったり、拒否したりなど新たな対応に追われるようになった。 第6章では市場経済の影響が著しい現在の彼らの村において、羊飼いたちにはどのよう な選択肢があるかを考察した。村の就職状況を検討した結果、多くの職業選択の幅が見ら れた。羊飼いも幼少の頃からずっと羊飼いであったわけではなく、グルァ兵や出稼ぎなど、 彼らの選択肢の幅も大きかった。また、出稼ぎに失敗した人でも、羊を飼うことで得た現 金で土地や家を買うことができた。つまり、動産としての羊を不動産に転換することで、 現代においても羊を飼うことには経済的な意味があるのである。 第7章では結論として、以下のようなことを述べた。すなわち、東ネパールの羊の牧畜 は畜産物を通じて市場経済に組み込まれているが、その取引は市場だけでなく、取引相手 に選択肢があり、社会関係も介在していること、放牧地の地用は排他的なものではなく、 テリトリーや共有林を持たなくても社会関係によっては放牧でき、国会政策の変化にも交 渉で対応していること、そして、市場経済や国家政策の影響を受けていても、彼らは周囲 の社会関係を利用して柔軟に牧畜を続けていることを指摘した。 |
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