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LEBTについて検討するとき、エミッタンス増大を抑制するという観点から、ビーム最大径を小さくすることが望ましく、このためLEBTはできるだけ小型であることが望まれる。近年、希土類金属永久磁石を用いた集束レンズが開発され、この集束レンズを用いることで、非常に小型のLEBTが構成できると考えた。またランニングコストをほとんど必要としないため、理想的なLEBTができると考えた。そこで、まず初めに、希土類金属永久磁石を集束レンズとして用いたLEBTについて検討を始めた。その結果、このLEBTでは、集束レンズの幾何収差が大きく、LEBTでのビームの質は良くないことが明らかとなった。このレンズの幾何収差を低減することを検討した結果、ソレノイドコイルを用いれば、幾何収差が低減される可能性が示された。そこで、次にソレノイドコイルを集束レンズとして利用したLEBTについて検討を加えた。ソレノイドコイルは従来から用いられている集束レンズであるが、LANLで開発されたLEBTでのエミッタンス増大に見られるように、注意深く設計されていない可能性があった。今回ソレノイドコイルを集束レンズに利用した2種類のLEBTBT-SM1とBT-SM2について検討を行い、ソレノイドコイルを用いたLEBTのパラメータについても検討を行った。ここで、BT-SM1は、常電動ソレノイドコイルで発生できる上限と考えられる磁場を発生し、最大ビーム径を最小にするように設計した。また、BT-LEBTはLANLでのエミッタンス増大の原因を検討するため、LANLで開発されたLEBTの機械的寸法とほぼ同じ寸法とした。また、一般に、ソレノイドコイルと比較して、四極磁石の方が幾何収差が小さいとされるため、比較のため3重四極磁石を集束レンズに用いたLEBT、BT-TQMについても検討した。\u003cbr /\u003e 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大強度H-RFQリニアック入射用低エネルギービーム輸送系の研究
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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||
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 大強度H-RFQリニアック入射用低エネルギービーム輸送系の研究 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
藤村, 哲
× 藤村, 哲 |
|||||
フリガナ |
フジムラ, サトシ
× フジムラ, サトシ |
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著者 |
FUJIMURA, Satoshi
× FUJIMURA, Satoshi |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(工学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第246号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 数物科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 12 加速器科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1997-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
1996 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 大型ハドロン計画(Japanese Hadron Project: JHP)に用いるような大強度高エネルギー陽子リニアックにおいては、高エネルギー部のビームの質が非常に重要なものとなる。この高エネルギー部のビームの質は、低エネルギー部のビームの質が大きく影響するため、低エネルギー部でのビームの質が重要となる。JHPでは、負水素イオン源から引き出した負水素イオンビームを加速する最初の線形加速器として、共振周波数432MHzのRFQ(Radio Frequency Quadrupole)リニアックが開発された。したがって、低エネルギー部でのビームの質が重要であるという意味から、負水素イオン源から引き出した負水素イオンビームをこのRFQリニアックへ入射する低エネルギービーム輸送系(Low Energy Beam Transport: LEBT)でのビームの質が重要であり、LEBTで質の良い負水素イオンビームをRFQリニアックに入射する必要がある。今回、LEBTのビームの質の指標として、実効的エミッタンスを定義した。この実効的エミッタンスの増大が少ないときLEBTでのビームの質が良いと言える。また、LEBTの設計を行うとき、この実効的エミッタンスの増大が最も小さくなるように設計する必要がある。<br /> 従来、共振周波数400MHz帯のRFQリニアックに負水素イオンビームを入射するためのLEBTとして、Superconducting Super Collider Laboratory(SSCL)で、静電場を利用した集束レンズを用いたLEBTの研究開発が行われてきた。一方、Los Alamos National Laboratory(LANL)では、静磁場を利用した集束レンズを用いたLEBTが開発されている。しかし、このSSCLやLANLで研究開発されたLEBTではビームの質が悪く、JHPでの要求を満たしていない。さらに、エミッタンス増大について、十分な検討がされておらず、エミッタンス増大の原因が明らかにされていない。このため、JHPの初段の線形加速器として開発された共振周波数432MHzのRFQリニアックヘ負水素イオンビームを入射するLEBTの開発が必要となった。<br /> 本研究の目的は、JHPで用いるLEBTの開発を行うとともに、大強度高エネルギー陽子リニアックに用いる共振周波数400MHz帯のRFQリニアックにビームを入射するためのLEBTの設計に対して、今後の指針となりうる設計法を示すことである。<br /> LEBTについて検討するとき、エミッタンス増大を抑制するという観点から、ビーム最大径を小さくすることが望ましく、このためLEBTはできるだけ小型であることが望まれる。近年、希土類金属永久磁石を用いた集束レンズが開発され、この集束レンズを用いることで、非常に小型のLEBTが構成できると考えた。またランニングコストをほとんど必要としないため、理想的なLEBTができると考えた。そこで、まず初めに、希土類金属永久磁石を集束レンズとして用いたLEBTについて検討を始めた。その結果、このLEBTでは、集束レンズの幾何収差が大きく、LEBTでのビームの質は良くないことが明らかとなった。このレンズの幾何収差を低減することを検討した結果、ソレノイドコイルを用いれば、幾何収差が低減される可能性が示された。そこで、次にソレノイドコイルを集束レンズとして利用したLEBTについて検討を加えた。ソレノイドコイルは従来から用いられている集束レンズであるが、LANLで開発されたLEBTでのエミッタンス増大に見られるように、注意深く設計されていない可能性があった。今回ソレノイドコイルを集束レンズに利用した2種類のLEBTBT-SM1とBT-SM2について検討を行い、ソレノイドコイルを用いたLEBTのパラメータについても検討を行った。ここで、BT-SM1は、常電動ソレノイドコイルで発生できる上限と考えられる磁場を発生し、最大ビーム径を最小にするように設計した。また、BT-LEBTはLANLでのエミッタンス増大の原因を検討するため、LANLで開発されたLEBTの機械的寸法とほぼ同じ寸法とした。また、一般に、ソレノイドコイルと比較して、四極磁石の方が幾何収差が小さいとされるため、比較のため3重四極磁石を集束レンズに用いたLEBT、BT-TQMについても検討した。<br /> まず、近軸近似での粒子の運動と現実の粒子の運動について比較検討した。近軸近似では、磁場分布は1次の磁場分布であり、またビーム軸方向速度は全ての粒子で等しく、時間に依存しない一定値である。このとき、集束レンズは幾何収差のないレンズとなる。しかし、イオン源から引き出された粒子のエネルギーは、全ての粒子で等しいエネルギーであると考えられ、粒子の発散角αに依存して軸方向速度が異なる。このため、1次の磁場分布であっても、この粒子の発散角αの差に依存した幾何収差が生じる。3重四極磁石を集束レンズに用いたとき、発散レンズにより発散角が増大し、粒子間の発散角の差が拡大するので、大きな幾何収差が生じると考えられる。ビーム軌道を計算した結果、3重四極磁石を用いたとき、発散角の最大値は258mradと大きく、大きな幾何収差が生じた。実際の四極レンズを用いた場合、磁場分布に含まれる高次の成分により幾何収差はさらに増大すると考えられる。すなわち、四極磁石は共振周波数400MHz帯のRFQリニアックにビームを入射するためのLEBTの集束レンズとして不適であるといえる。一方、ソレノイドコイルは集束レンズとしてのみ作用するため、粒子の発散角は三重四極磁石程には大きくならず、このため、この粒子の発散角の差に依存した収差は小さいと考えられる。ソレノイドコイルを用いたとき、発散角の最大値はBT-SM1、BT-SM1で3重四極磁石を用いたときの約半分の大きさであり、幾何収差はほとんど見られなかった。四極磁石は共振周波数400MHz帯のRFQリニアックにビームを入射するためのLEBTの集束レンズとして不適であることが示されたので、次に磁場計算プログラムで計算した現実の磁場分布を用いて、BT-SM1、BT-SM2のビームシミュレーションを行った。その結果、BT-SM1でのビームの質が最も良いことが明らかとなった。この小型で強い磁場を発生するソレノイドコイルを集束レンズに用いたBT-SM1では、レンズの幾何収差の影響がほとんど見られず、JHPで開発されたRFQリニアックに負水素イオンビームを入射するLEBTとして、最も適していると考えられる。そこで、このBT-SM1を実際に開発し、横力向エミッタンスの詳細な測定を行った結果、レンズの幾何収差の影響が極めて小さいことが示された。<br /> 以上まとめると、<br /> ・共振周波数400MHz帯のRFQリニアックへのビーム入射用LEBTの集束レンズとして3重四極磁石を用いた場合、発散レンズにより発散角の差が拡大し、大きな幾何収差が生じることを示した。<br /> ・ソレノイドコイルを集束レンズに用いたLEBTを注意深く設計した時、幾何収差は十分小さく、共振周波数400MHz帯のRFQリニアックへのビーム入射用LEBTの集束レンズとして、ソレノイドコイルが最も適していることを初めて示した。<br /> ・共振周波数432MHzのRFQリニアックへのビーム入射用LEBTとして、小型で強い磁場を発生するソレノイドコイルを集束レンズに用いて、レンズの幾何収差による実効的エミッタンス増大のほとんど見られないLEBTを開発することができた。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |