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  1. 020 学位論文
  2. 高エネルギー加速器科学研究科
  3. 13 物質構造科学専攻

反強誘電性液晶局所層構造の動的電場応答 -時分割マイクロビームX線回折法による解析-

https://ir.soken.ac.jp/records/653
https://ir.soken.ac.jp/records/653
9054df11-83e9-42e0-80ce-6cf019cb393a
名前 / ファイル ライセンス アクション
甲506_要旨.pdf 要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (457.3 kB)
甲506_本文.pdf 本文 (4.6 MB)
Item type 学位論文 / Thesis or Dissertation(1)
公開日 2010-02-22
タイトル
タイトル 反強誘電性液晶局所層構造の動的電場応答 -時分割マイクロビームX線回折法による解析-
言語
言語 jpn
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec
資源タイプ thesis
著者名 高橋, 由美子

× 高橋, 由美子

高橋, 由美子

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フリガナ タカハシ, ユミコ

× タカハシ, ユミコ

タカハシ, ユミコ

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著者 TAKAHASHI, Yumiko

× TAKAHASHI, Yumiko

en TAKAHASHI, Yumiko

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学位授与機関
学位授与機関名 総合研究大学院大学
学位名
学位名 博士(理学)
学位記番号
内容記述タイプ Other
内容記述 総研大甲第506号
研究科
値 数物科学研究科
専攻
値 13 物質構造科学専攻
学位授与年月日
学位授与年月日 2001-03-23
学位授与年度
値 2000
要旨
内容記述タイプ Other
内容記述 液晶は液体の流動性と結晶の異方性を併せ持つ中間相としてその多様な状態や外場に対する反応・変化の大きさが多くの研究者を引きつけてきた。多様な液晶相の中でもある種のスメクティック液晶に見られる(反)強誘電性は基礎物性・応用開発の両面から近年多くの研究者の興味を引いている。応用面では、反強誘電性液晶の三安定スイッチングによる高速応答特性から次世代ディスプレイへの期待が高い。一方、基礎物性としては(反)強誘電性液晶における強誘電性・反強誘電性の発現原理に関係して、電場誘起相転移のメカニズム、多様な副次相の構造とその相転移機構、層構造と分子配向、電気光学応答などに興味が持たれ、広くはソフトマテリアル物性の立場から研究が進んでいる。<br /> (反)強誘電性液晶の外場に対する応答、特に興味深い電場応答に対する実験的アプローチとしては電気光学測定、偏光顕微鏡による組織観察等があるが、これらは液晶分子の応答を観察する方法であるため、スメクティック液品の特徴である層構造に関しては間接的な測定に留まり、電場に対する応答を直接理解することができない。特に反強誘電性液晶においては電場誘起相転移が層構造変化を伴う一次転移であることから層構造の重要性が認識されているが、変化過程の詳細は未知な部分が多い。<br /> 本研究においては反強誘電性液晶の電場下でのスイッチング過程における層構造変化を直接観察し、層構造と液晶分子の応答との関係から電場誘起相転移の実態を理解することを目的とした。<br /> 層構造を直接観察するにはX線回折法が最適であるが、液晶が一般に有する組織はμ mオーダーであるため層構造の詳細を検討するためには同程度の空間分解能が必要である。また電場応答を観察するためには数10 μsから数msの時間分解能を要する。このような条件を満たすために、放射光の高輝度特性を利用した時分割マイクロビームX線回折法を開発し、これによって局所層構造の動的観察を行った。実験は高エネルギー加速器研究機構・放射光研究施設のBL-4Aにおいて、Kirkpatric-Baez型集光光学系によるX線マイクロビームを用いて行なわれた。X線回折と同時に偏光顕微鏡による組織観察、透過光強度測定を行い、マクロ構造と液晶分子配向との対応を観察した。<br /> 試料には代表的な反強誘電性液晶TFMHPOBCを用いた。試料はITOを電極材として塗布したガラスセルに配向処理(片面ラビング)を施し封入したものを使用し、セル厚は4~5 μmとした。比較のために強誘電性液晶(TK-C101)も同様の形状で使用した。<br /> 局所層構造の変化過程は初期状態から高電場印加状態に至る不可逆的過程と高電場中での可逆変化過程(スイッチング過程)に大別できる。前者では積算マイクロビームX線回折法とその空間分布測定により層構造モデルを検討した。後者については時分割マイクロビームX線回折法によって三角波電場下での準静的層構造変化と階段波電場下での過渡的応答を観察し、層構造と液晶分子の応答との関係を考察した。以下にその結果をまとめる。<br />(1)不可逆的層構造変化過程<br /> 電場印加前の反強誘電相(AF相)における試料の構造は基板垂直方向における層の折れ曲がり(v-chevron)と基板面内での層の折れ曲がり(h-chevron)が共存し、層の連続性を保つための幾何学的条件であるv-chevron角δ≒h-chevron角αを満足する(α≒17°)。印加電場を徐々に増加して行くと強誘電相(F相)の出現する閾値電圧(Vth)以上で層構造は大きく変化してv-chevron構造が消失する。そしてh-chevronが支配的な構造となるがαは著しく減少する(α≒4°~6°)。その後電場を切っても初期構造には戻らず、場所に依存してδ≒4°のv-chevron、基板垂直方向で層の湾曲したh-chevron等に緩和する。この結果から、高電場でF相の分子配列が出現するとき、界面近傍の分子も再配列し、新たな安定条件をもたらすと考えられる。<br /> 偏光顕微鏡観察ではラビング方向に平行なストライプ組織が観察される。h-chevronの周期性とストライプの幅がほぼ一致すること力)らストライプ組織はh-chevron構造とり頂く関連していることが分かった。<br />(2)準静的層構造変化<br /> 三角波電場下での時分割マイクロビームX線回折法により、高電場(F相)でのh-chevron構造と低電場<AF相)でのv-chevron+h-chevron構造間の可逆的変化を観察した。局所層構造変化は電場に追随している。この変化過程は光学応答に対応するヒステリシスを示すことが分かった。これらの結果から層構造の応答は以下のように説明できる。即ち、高電場ではPsと電場の強い相互作用によりF相のh-chevron構造が実現する。このときの構造は不可逆過程を経た結果得られた状態である。低電場では電場の減少とともに層構造は層の連続性を保つだめの幾何学的条件を保ちつつ緩和するが、AF転移によって分子の反り主誘電的結合状態による歪みの導入がバルクのh-chevron角を増加させる。FLCの準静的過程で観察される、高電圧でのh-chevron構造、低電圧でのbookshelf(または弱いv-chevron)構造がAFLCのF相における変化に対応することも上記の結果を裏付けるものである。<br />(3)過渡的応答<br /> 高電圧から0V、0Vから高電圧に変化する状態での層構造の応答を階段波電場下で観察した。前者がF→AF層相転移、後者がAF→F相転移に対応する。<br /> F→AF層過程は電場によって強制されたh-chevron構造の緩手口過程であり、F相での連続的な層構造変化と層転移による不連続な層構造変化の2段階からなる。F相での変化はh-chevron角αの減少を伴い、FLCでの緩和過程と同様な挙動を示す。AF相への転移はαが増加する時点であることは準静的過程における分子挙動と層構造の関係から理解できる。AF→F過程は電場による層変形過程であり、中間状態(一時的なαの減少)を伴わすF相のh-chevron構造へと直接転移する。<br /> 層構造変化は概ね光学応答に対応する。しかし応答速度は必ずしも一致せず、マクロな領域を測定する光学応答と局所領域における層構造変化の差が一因であると考えられる。測定結果の中には20~40 μsの応答を示すものもあり、局所層構造の電場応答が分子の応答速度に近いものであることを示唆する。<br /><br /> 分子の挙動と層構造の関係は、自発分極と電場の相互作用による層変形等、一部は静的な層構造観察から予測されていたが、局所層変形の実時間観察によりその動的挙動が初めて明らかにされた。特に不可逆過程における界面分子の層構造に対する影響、基板面内での層構造の空間的挙動(h-chevron)、電場誘起相転移に伴う動的層構造変化は本研究により得られた知見であり、液晶の物性を層構造の立場から理解するだめの基礎的な情報が得られたと考えられる。<br /> 時分割マイクロビームX線回折法は局所構造の応答・変化過程を直接観察する方法として優れていることが明らかになった。今後物質科学における動的現象を、本手法を用いて研究することにより、新たな分野の基礎物理とその応用に貢献できると考えられる。
所蔵
値 有
フォーマット
内容記述タイプ Other
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Ver.1 2023-06-20 14:51:22.787836
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