WEKO3
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二次元X線検出器を用いたコンプトン散乱光子・反跳電子の同時計測法の開発と三次元電子運動量密度分布測定
https://ir.soken.ac.jp/records/667
https://ir.soken.ac.jp/records/667df5d3d11-c748-4c70-a25e-03ef05f86400
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
![]() |
Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 二次元X線検出器を用いたコンプトン散乱光子・反跳電子の同時計測法の開発と三次元電子運動量密度分布測定 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
内山, 英史
× 内山, 英史 |
|||||
フリガナ |
ウチヤマ, ヒデフミ
× ウチヤマ, ヒデフミ |
|||||
著者 |
UCHIYAMA, Hidefumi
× UCHIYAMA, Hidefumi |
|||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第846号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 高エネルギー加速器科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 13 物質構造科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2005-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2004 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 私の研究は、「二次元X線検出器を用いたコンプトン散乱光子・反跳電子の同時計測法の開発と三次元電子運動量密度分布測定」である。<br /> 物質の凝集・結合や電気的性質に関わる価電子の波動関数は実空間では広がって存在するが、それをフーリエ変換をして運動量空間に移すと局在している。したがって、運動量密度を直接測定することは価電子の電子状態の研究を行うのに極めて有効である。<br /> 一方、コンプトン散乱は電子とX線の衝突現象として記述することができ、衝突前後の運動量及びエネルギー保存則から、散乱前の電子の運動量の情報を得ることができる。特に、散乱X線の方向、反跳電子の方向、そして散乱X線もしくは反跳電子のエネルギーを各散乱課程ごとに分離して同時測定することができれば、電子の三次元電子運動量密度分布を直接測定することができる。この原理を利用すれば固体内電子の運動量密度分布を知ることができるということは古くから知られていたが、実際に有用なデータが得られるようになったのは高強度放射光光源が利用できるようになった近年である。<br /> 具体的には、以下のようにして実験装置の開発を行った。入射X線としては、反跳電子の試料内での多重散乱を軽減するために115keVのエネルギーを選択し、散乱X線は種々の散乱方向を同時に計測できるように二次元X線位置敏感型検出器によって検出する実験装置を開発した。一方、試料から飛び出してきた反跳電子はマイクロチャンネルプレートによつて検出すると同時に、そのエネルギーをPF-ARのシングルバンチ運転を用いてエネルギー窓を設定することのない、明るい飛行時間測定法によつて決定する。また、測定時のエネルギー分解能の向上をはかるために減速ポテンシャルシステムの導入を行っている。そしてコンプトン散乱光子と反跳電子を同時計測する回路系を設計及び構築を行うと同時に、そのデータ解析手法の確立を行い三次元電子運動量密度分布測定を可能にした。<br /> この装置を用いての実証実験をアルミニウム多結晶薄膜の試料について行った。アルミニウムの価電子は電子ガス近似がよく成り立つ電子系で、ある大きさの運動量(フェルミ運動量)以上の運動量を持たないことが知られている。アルミニウムは酸化しやすい物質であるので、その影響を減らすために測定チャンバー内に蒸着装置を設置して50nm厚の薄膜試料の作成を行つた。この試料の厚さは多重散乱の効果を軽減するのに必要な薄さである。三次元電子運動量密度分布の結果は中央部分でのフラットトップが確認でき、実験から求められたフェルミカットオフの位置は理論から得られるそれと一致した。そして、一度に連続的な三次元電子運動量密度分布測定が可能であることを示した。<br /> 次に、単結晶シリコン薄膜の三次元電子運動量密度分布測定を行つた。シリコン単結晶試料は、その三次元電子運動量密度分布測定のみならず、将来的に単結晶シリコン薄膜を基盤として種々の物質をその基板上で成長させたナノ構造を持つ物質の電子状態を研究するベースの試料としての役割も持っている。アルミニウムの場合と同様に多重散乱の影響を小さくするために100nmの厚さの試料を準備した。その試料はSOI(Silicon on Insulator)基盤より、試料部となる100nm厚の単結晶Si薄膜部分のみを残すという特殊な作成方法により作られた。得られたシリコン単結晶の三次元電子運動量密度分布の結果はFLAPW(Full-potential Linearized Augumented-Plane wave)バンド計算で得られたそれらと比較した。実験値と理論値とは良い一致を示し、異方性を確認することもできた。<br /> 以上の結果より、本研究において1)コンプトン散乱光子と反跳電子の同時計測装置に二次元X線検出器を導入することにより、連続的な三次元電子運動量密度分布を測定できるシステムの開発に世界で初めて成功した、2)アルミニウムの三次元電子運動量密度分布の測定に世界で初めて成功し、理論値と実験値でのフェルミカットオフの一致が確認できた、3)シリコンの三次元電子運動量密度分布の測定に世界で初めて成功し、異方性を確認することができた。<br /> 今後の展望として、本研究で開発した実験方法は先に述べたようにシリコン薄膜結晶上に成長させた種々のナノ構造、半導体、化合物、金属、合金材料等々の電子構造の研究に非常に有用であり、そこから得られる電子構造の知見は新材料設計・開発の基礎的なデータを得ることに寄与すると考えられる。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 |