WEKO3
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放射光X線マイクロビーム細胞照射装置を用いた低線量域における細胞の放射線応答の研究
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
---|---|---|
![]() |
Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 放射光X線マイクロビーム細胞照射装置を用いた低線量域における細胞の放射線応答の研究 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
前田, 宗利
× 前田, 宗利 |
|||||
フリガナ |
マエダ, ムネトシ
× マエダ, ムネトシ |
|||||
著者 |
MAEDA, Munetoshi
× MAEDA, Munetoshi |
|||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第987号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 高エネルギー加速器科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 13 物質構造科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2006-09-29 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2006 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 1.研究の背景<br /> 近年の研究から、低線量放射線に暴露された細胞において、照射された細胞の数世代後におこる遺伝的不安定性、照射された細胞の近傍に存在する照射されていない細胞において生物影響が生ずるバイスタンダー効果、事前の低線量照射により細胞に放射線耐性が誘導される適応応答などの新しい現象が発見された。これらの現象は、放射線被曝によって生ずるDNA損傷とその修復の結果として、放射線に曝露された細胞のみに放射線生物作用が生ずるという従来の考え方だけでは説明できず、そのメカニズムは十分に解明されていない。人間が社会生活を通じて年間に被曝する線量は、世界平均で2.8 mSvであり、これらの避けられない放射線被曝による人体の健康への影響を正しく理解するためには、低線量放射線に対する生物応答メカニズムを解明する必要がある。また、地球上には、環境からの放射線が常に存在するため,生物は、その誕生以来常に低線量放射線にさらされてきた。生物が、自己増殖を行うためには、遺伝情報が安定に保持されなければならない。有害なDNA損傷を修復する機構は、生物の進化のかなり早い段階で獲得され、保存、あるいは効率のよい修復機構へ進化してきたと考えられる。生物の基本構成単位である細胞の低線量放射線に対する応答メカニズムの解明は、 「生命」を理解し、その起源と進化を追究する上でも必要不可欠な情報であると考えられる。<br /><br />2.研究の目的<br /> 生物の放射線応答は、生体を構成する各成分の放射線応答が複合的に作用した結果である。放射線応答メカニズムを理解するためには、生物の基本構成単位である細胞の放射線応答メカニズムを解明する必要がある。放射線生物学では、従来、細胞集団に対する一様な放射線照射から得られた細胞集団の放射線応答を細胞の放射線応答として取り扱ってきた。低線量域では照射された細胞と照射されていない細胞が混在している。このため、低線量放射線による細胞の放射線応答メカニズムを解明するためには、細胞集団の放射線応答を被曝した細胞内のみで完結される反応ではなく、 "個々の照射された細胞の応答"と、 "照射された細胞から周辺の細胞に対する情報伝達の結果現れる応答(バイスタンダー効果) による複合的な作用と捉え、それぞれのメカニズムを明らかにする必要があると考えられる。本研究では、照射された細胞の生存率と周辺の未照射細胞の生存率、すなわち、バイスタンダー効果による細胞死を測定し、低線量域における細胞死のメカニズムを明らかとすることを目的とした。<br /><br />3.実験結果<br /> 細胞照射実験には、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 放射光科学研究施設の小林克己助教授らによって開発された、放射光X線マイクロビーム細胞照射装置を用いた。この装置では、 5ミクロン角以上の任意のビームサイズの5.35 keV単色X線マイクロビームを細胞あるいは細胞核の一部に照射し、それらを個別に追跡して照射効果を検出することができる。本研究では、 X線マイクロビームによって細胞核、あるいは細胞全体を照射し、照射された個々の細胞の生存率を測定し、 X線の照射を<br />受けた細胞の細胞死のメカニズムを検討した(Ⅱ章) 。また、 X線マイクロビームによって細胞核、あるいは細胞全体を照射した細胞からのバイスタンダーシグナルによる情報伝達について、同様に生存率を測定し、そのメカニズムの検討を行った(Ⅲ章) 。<br /><br /> 50ミクロン角のX線マイクロビームで細胞全体を照射した場合の生存率曲線は、 5.35keVのX線を用いて細胞集団を一様に照射した場合の生存率曲線とよく一致しており、生存率は線量の増加と共に単調に減少した。一方、 10ミクロン角のX線マイクロビームで細胞核のみを照射した場合、照射線量の増加に伴う単調な減少ではなく、低線量域で線量と共に最初は生存率が減少するが、その後若干回復した後、再度線量と共に減少する低線量高感受性を顕著に示した。また,細胞核のみを照射した場合、バイスタンダー効果による周辺の未照射細胞の致死は、線量の増加に伴い一過的に増大し、その後回復して安定した。一方、細胞全体を照射した場合には、単調に減少し、その後線量と無関係に安定した。<br /><br />4.まとめ<br /> 低線量高感受性は、細胞のDNA修復機構と密接に関係しており、細胞全体が照射された場合、細胞質へのエネルギー付与によって細胞の修復活性が誘導され、 DNA損傷の修復が促進されることによって低線量高感受性が抑制されると考えられる。また、バイスタンダーシグナルの生成には修復系が関与していることが知られている。照射された細胞における低線量高感受性と同様に、細胞質へのエネルギー付与がない場合に、低線量域でのバイスタンダー効果による致死の増大が起きることから、両者の誘導には同様のメカニズムが関与していると考えられる。<br />本研究から、細胞核のみを照射された細胞における低線量高感受性およびバイスタンダー効果の増大は、修復系の誘導がない場合に見られ、この修復系の制御には細胞質へのエネルギー付与が関与することが明らかとなった。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 |