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アイテム
C.elegans初期胚においてmRNAが生殖系列に局在する母性遺伝子pos-1の研究
https://ir.soken.ac.jp/records/915
https://ir.soken.ac.jp/records/915e87e42d7-912b-47c5-9c93-dd7271dcbada
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (280.0 kB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | C.elegans初期胚においてmRNAが生殖系列に局在する母性遺伝子pos-1の研究 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Studies of a maternal gene,<i>pod-1</i>of which mRNA is segregated to the germ-cell lineage in early embryos of <i>C.elegans</i> | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
田原, 浩昭
× 田原, 浩昭 |
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フリガナ |
タバラ, ヒロアキ
× タバラ, ヒロアキ |
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著者 |
TABARA, Hiroaki
× TABARA, Hiroaki |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第213号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 生命科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 18 遺伝学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1996-03-21 | |||||
学位授与年度 | ||||||
値 | 1995 | |||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | C. elegansの卵は受精後に不等分割を行ない、体細胞系創始細胞のAB割球、生殖系列のP1割球を生じる。P1割球はその後3回幹細胞様の分裂をおこない、EMS,C,Dの3種の体細胞系創始細胞と生殖系列の前駆細胞P4を生ずる。これら割球の運命決定は卵割に伴って局在化する母性因子(いわゆるデターミナント)と細胞間相互作用の両方によることが示唆されているが、そのデターミナントの実体は明かになっていない。そこで、デターミナントの候補として初期胚の卵割に伴って局在化する母性mRNAを探索してその解析を行なった。<br /> 卵割に伴って局在化する母性因子も含めて、C. elegansの胚発生における遺伝子発現パターンの効率的なスクリーニングを行なうために、cDNAプロジェクトの一部としてwhole mountでのin situハイブリダイゼーション法を用いて発現パターンを大量解析する方法を開発した。試行実験としてcDNAプロジェクトで集めたクローンから独立のクローンをランダムに約100種選び、対応するmRNAの分布を調べた。その結果おおよそ15クローンに1種の割合でステージ特異的又は細胞系譜特異的な発現パターンが得られた。<br /> そのスクリーニングによって、第1卵割に伴ってmRNAが生殖系列の後割球P1へ移動し、4細胞期以降は非対称な分解によってmRNAが生殖系列割球P2,P3,P4へと局在化する母性遺伝子を発見し、pos-1と命名し解析を行なった。中期や後期の胚ではmRNAの発現は確認されなかった。生殖巣においては、pos-1のmRNAは減数分裂に入る前のdistal領域では発現しておらず、減数分裂が始まる領域付近から発現が始まっていた。卵母細胞では一様に分布していることが確認された。ノーザン・ハイブリダイゼーションを行なった結果、転写産物の長さは約1.3kbであった。<br /> cDNAの全長塩基配列の決定を行なった結果、pos-1遺伝子は真核生物のTis11様のzinc finger構造をもっていることを明らかにした。Tis11(別名Nup475)は培養細胞においてFGFやTPAによって極めて初期に誘導される遺伝子であり、その蛋白は核に位置する。pos-1蛋白に対する抗体を作成して蛋白産物の分布を調べたところ、1細胞期では発現が確認されず、2細胞期以降でmRNAが存在する細胞と同じ生殖系列細胞において発現が見られた。しかし、予想に反して細胞質における蛋白の発現が確認された。<br /> pos-1の機能を調べるために対応する突然変異体を探すことにした。まずpos-1のマッピングを行ない、5番染色体のher-1の近くに位置することがわかった。そして、その近傍に位置する母性突然変異体で、まだ遺伝子のクローニングが成功していなかったskn-2に着目した。skn-2は生殖細胞が欠損する表現型を示す。そしてskn-2の3つの突然変異について塩基配列解析を行った結果、pos-1のN末端領域よりの最初のzinc finger領域に突然変異をそれぞれ見つけ、skn-2はpos-1の突然変異体であることを明らかにした。<br /> skn-2の表現型を確かめるために、生殖顆粒を認識するモノクローナル抗体を用いて抗体染色を行なった。その結果、skn-2の後期胚では染色が確認されなかった。それに対して、表面のキューティクルの蛍光染色を行なった結果、skn-2においても表皮は分化していることが示唆された。<br /> pos-1と類似したzinc finger構造を持っているpie-1も生殖細胞が欠損する表現型を示し、その蛋白は核に位置することが知られている。又、初期胚において接合体型の発現をする遺伝子で、すべての体細胞系列で発現するが生殖系列では発現しないものとしてpes-10や4-3などが知られている。pie-1の直接の機能として、これらの接合体型の遺伝子の転写を生殖系列の核内において抑制している可能性が示唆されている。skn-2とpie-1の間には、生殖細胞形成についての遺伝学的相互作用があることが報告されていることから、pos-1も接合体型の発現をする遺伝子の転写を生殖系列で抑制しているのかどうかをin situハイブリダイゼーションによって解析した。しかしながら、4-3のmRNAは、野生型の胚と同様にskn-2の胚においても生殖系列においての発現は確認されなかった。pos-1とpie-1の蛋白の細胞内分布も異なることから、pos-1はpie-1と異なった機能を持っていると考えられる。<br /> 以上の結果から、pos-1は生殖細胞の運命決定に関与する別の遺伝子の母性mRNAの安定性又は翻訳制御に携わっているという仮説を立てた。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 |