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アイテム
絹糸腺発生過程におけるBm trachealessおよび POU-M1/SGF-3の解析
https://ir.soken.ac.jp/records/1324
https://ir.soken.ac.jp/records/132481041817-3b56-4014-86fd-c98a22329635
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result (282.6 kB)
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本文 (5.1 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 絹糸腺発生過程におけるBm trachealessおよび POU-M1/SGF-3の解析 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
松浪, 勝義
× 松浪, 勝義 |
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フリガナ |
マツナミ, カツヨシ
× マツナミ, カツヨシ |
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著者 |
MATSUNAMI, Katsuyoshi
× MATSUNAMI, Katsuyoshi |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(理学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第279号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 生命科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | X2 分子生物機構論専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1997-03-24 | |||||
学位授与年度 | ||||||
値 | 1996 | |||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 相互に連関して複雑なネットワークを構築し、時間的・空間的に重なり合いながら発現する発生制御遺伝子の働きは、器官の発生や細胞の表現型を決定する。これら制御遺伝子に由来する因子の多くは、配列特異的DNA結合蛋白であり、器官の特定の細胞の表現型を定義するための遺伝子プログラムを活性化し、最終的に組織特異的な終末遺伝子の発現を引き起こすことが示されてきている。器官の発生過程を理解するには、その器官に特徴的な上位の発生制御因子から、分化した組織を特徴づける組織特異的終末遺伝子の発現に至るまでのカスケードの全貌を明らかにすることが重要だと考えられる。<br /> これまでに、中部絹糸腺特異的なsericin-1遺伝子の発現を制御する上流シス配列が解析され、転写活性化に重要なSCサイト結合因子としてPOU-M1/SGF-3が同定されてきた。しかし、実際に、絹糸腺内で、POU-M1/SGF-3とsericin-1遺伝子の発現との間にin vivoでどのような相関が見られるのか、明らかでなかった。そこで、本研究では、sericin-1mRNAに対するin situハイブリダイゼーションと、POU-M1/SGF-3に対するimmunohistochemistryを行い、発現パターンの解析を行うことにした。まず、POU-M1/SGF-3については、モノクローナル抗体の調製を行った。ウェスタンプロット解析により特異性を確認したのち、immunohistochemistryにより絹糸腺での発現を解析した。その結果、中部絹糸腺内で、POU-M1/SGF-3因子が前部区画から後部区画にかけて漸次的に発現レベルの低下していく様子が観察された。また、sericin-1遺伝子については、まず、転写が胚発生期のどの時期から始まるのかをノーザンプロット解析で確認した。その知見をもとに胚発生期の絹糸腺での発現を、ホールマウントin situハイブリダイゼーションで解析した結果、前部区画から後部区画にかけて漸次的に発現レベルが高まる様子が観察された。POU-M1/SGF-3の発現に対してsericin-1遺伝子の発現が相補的であったことがら、前部区画から中部区画にかけてPOU-M1/SGF-3が転写を負に制御している可能性を示唆する結果を得た。この結果から、sericin-1の転写活性化には閾値が存在し、POU-M1/SGF-3が濃度勾配を形成することで、転写領域を中部区画から、後部区画へと限定するように働いている可能性が考えられる。また、幼虫期の発現パターンについても解析を行い、sericin-1遺伝子が、令・眠期に応じて転写をON/OFFするのにも関わらず、POU-M1/SGF-3の発現パターンは終始変わらないことが明らかになり、POU-M1/SGF-3が、幼若ホルモン、脱皮ホルモンによるホルモン制御経路とは、独立した経路でsericin-1転写を制御していることを示唆する結果を得た。<br /> Bombyx絹糸腺とDrosophila唾腺は、相同器官であると考えられているが発生過程には明らかな差が見られる。1つは、Drosophilaの唾腺がダクト組織と分泌組織の2種の組織からなるのに対して、絹糸腺は、前・中・後部絹糸腺の3つの組織から成り立っていること、もう1つは、唾腺原基細胞は陥入開始後は分裂せず唾腺形成に必要な細胞群がそろった状態で一度に陥入形成がおこるのに対し、絹糸腺は陥入後、細胞分裂を続けながら伸長形成する点で異なっている。POU-M1/SGF-3が、中部絹糸腺に多量に発現しているのに対して、そのDrosophilaホモログであるCflaは、Drosophila唾腺には発現の報告がないことがら、両者の器官の間で大きな差となっており、発生過程の相違を引き起こす要因の1つではないかと考えられた。そこで、Hoechst染色により伸長過程を観察し、それに基づいてPOU-M1/SGF-3に対するモノクローナル抗体を用いたimmunohistochemistryを行い、絹糸腺初期発生過程を解析した。その結果、POU-M1/SGF-3が、まさに陥入が始まろうとする時期から陥入部に発現し始めることが明らかになり、絹糸腺の発生過程に重要な機能をもつことが、示唆された。また、最近、Drosophilaの気管系や、唾腺の形態形成にtrachealess(trh)が重要であることが報告され、絹糸腺でも重要な役割を゛果たすと推察され、Drosophila唾腺との発生の違いに関与している可能性から、trachealessのBombyxホモログ(Bm trh)cDNAのクローニングを行い、発現を解析することにした。まず、trhと同じファミリーに属する遺伝子との間で良く保存された領域をプライマーとして増幅し、得られた断片の塩基配列を確認したところ、Bm trhの一部と見られる配列が確認できた。次にこのPCR断片をプローブに用いて、cDNAライブラリーをスクリーニングし、塩基配列を決定した。Bm trhは、bHLHやPASドメインといった機能ドメインに高いホモロジーが見られた。さらに、in situハイブ刃ダイゼーションによりBm trh転写物の発現パターンを解析したところ、気管系、絹糸腺、posterior spiraclesと相同の部位に発現が見られ、発現パターンも類似していたことから、Drosophilaのホモログ遺伝子であると判断した。さらに、詳細に絹糸腺の発生過程での発現を解析すると、Bm trhは、絹糸腺の陥入期に下唇節の基部で発現を開始し、伸長が進むにつれて先端部分での発現が消失し、やがて、前部絹糸腺に限局する様子が観察された。Bm Fkhが中・後部絹糸腺では一様に発現することが知られており、中部と後部絹糸腺との間で発現に差が見られるPOU-M1/SGF-3が、中部と後部絹糸腺との間に差違を生み出している要因となっている可能性が考えられる。<br /> これらの結果は、Bm trhの発現している前部絹糸腺が、ダクトとしてのidentityを確立し、ダクト特異的な遺伝子発現を引き起こし、また、中・後部絹糸腺は、Bm Fkhにより分泌組織としてのidentityを獲得し、さらにPOU-M1/SGF-3が前・中部絹糸腺に発現することによって、中部と後部絹糸腺の区分が明確となり、後部絹糸腺ではfibroinが、また、中部絹糸腺ではsericin-1が終末遺伝子として特異的に発現するようになる、というような絹糸腺形成から終末遺伝子の転写に至る制御力スケードが存在する可能性を示唆するものである。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |