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第1章は緒論で、研究の背景ならびに目的について記述した。本研究では、高温超伝導体の低熱伝導性を利用した電流リード等への応用研究が、比較的進んでいるBPSCCO高温超伝導体に繊維を添加した試料を作製し、超伝導特性および機械的特性の測定により繊維添加の影響を評価した。更に繊維添加によるBPSCCOの機械的特性改質の可能性について考察した。\u003cbr /\u003e 第2章では、BPSCCOバルクの超伝導特性および機械的特性に及ぼす焼成温度の影響を検討した。BPSCCO仮焼粉を金型成形、冷間静水圧プレス(CIP)により成形後、電気炉で焼成し試料を作製した。焼成温度は1068~1118Kと変化させ、焼成時間は90ksで一定とした。焼成温度の異なる試料の液体窒素温度における臨界電流密度(Jc)を4端子法により測定した結果、焼成温度が1098K以上で超伝導を示し、焼成温度が高いぼどJは高くなった。これは、高焼成温度ではBi-2223相がよく成長するためであると考えられる。室温での3点曲げ試験により評価した強度は58~88MPa、剛性は26~36GPaであり、ともに焼成温度が1108K以下では焼成温度の上昇に伴い増加傾向を示すものの、1118Kでは低下した。焼成温度が高くなると焼結が進み、機械的特性を下げると思われる不純物相の量が少なくなるが、1118Kまで高くなると非等方的な形状のBi-2223結晶粒が大きくなり、結晶粒間の空隙が増え、強度、剛性ともに低下するものと考えられる。\u003cbr /\u003e 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BSCCO高温伝導体の超伝導特性および機械的特性に及ぼす繊細添加の影響に関する研究
https://ir.soken.ac.jp/records/481
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | BSCCO高温伝導体の超伝導特性および機械的特性に及ぼす繊細添加の影響に関する研究 | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
松永, 晃治
× 松永, 晃治 |
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フリガナ |
マツナガ, コウジ
× マツナガ, コウジ |
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著者 |
MATSUNAGA, Koji
× MATSUNAGA, Koji |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(工学) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大甲第429号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 数物科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 10 核融合科学専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 1999-09-30 | |||||
学位授与年度 | ||||||
1999 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 高温超伝導体は臨界温度が高く液体窒素温度で使用できるため、様々な分野で応用研究が進められている。しかしセラミックス特有の脆性により、機械的特性が劣るという欠点を持つ。従って、高温超伝導体を実用的な工業材料に発展させるためには、超伝導特性の向上を目指すだけでなく機械的特性の向上が必須課題となる。従来より構造材料用セラミックスでは、機械的特性改善の一方策として繊維強化の研究が行われている。そこで、高温超伝導体と繊維を複合、一体化することによる機械的特性の改質を試みた。<br /> 本論文は6章で構成され、それぞれの章においては以下のような内容を述べている。<br /> 第1章は緒論で、研究の背景ならびに目的について記述した。本研究では、高温超伝導体の低熱伝導性を利用した電流リード等への応用研究が、比較的進んでいるBPSCCO高温超伝導体に繊維を添加した試料を作製し、超伝導特性および機械的特性の測定により繊維添加の影響を評価した。更に繊維添加によるBPSCCOの機械的特性改質の可能性について考察した。<br /> 第2章では、BPSCCOバルクの超伝導特性および機械的特性に及ぼす焼成温度の影響を検討した。BPSCCO仮焼粉を金型成形、冷間静水圧プレス(CIP)により成形後、電気炉で焼成し試料を作製した。焼成温度は1068~1118Kと変化させ、焼成時間は90ksで一定とした。焼成温度の異なる試料の液体窒素温度における臨界電流密度(Jc)を4端子法により測定した結果、焼成温度が1098K以上で超伝導を示し、焼成温度が高いぼどJは高くなった。これは、高焼成温度ではBi-2223相がよく成長するためであると考えられる。室温での3点曲げ試験により評価した強度は58~88MPa、剛性は26~36GPaであり、ともに焼成温度が1108K以下では焼成温度の上昇に伴い増加傾向を示すものの、1118Kでは低下した。焼成温度が高くなると焼結が進み、機械的特性を下げると思われる不純物相の量が少なくなるが、1118Kまで高くなると非等方的な形状のBi-2223結晶粒が大きくなり、結晶粒間の空隙が増え、強度、剛性ともに低下するものと考えられる。<br /> 第3章では、BPSCCOの電流リードへの応用を想定し、等方かつ一様な機械的特性の改質を目標として、BPSCCOに比較的熱伝導率の低いセラミック短繊維(直径約3~10μm、長さく約500μm)を均一に添加した試料を作製して、超伝導特性と機械的特性を評価した。添加する繊維として、焼成温度付近では通常全く劣化しないAl2O3、ZrO2・Y2O3、ZrO2、SiC、Si-Ti-C-O、ZnO、K2O・6TiO2を用いた。これらの短繊維を各々個別に体積比が5%となる様BPSCCO仮焼粉に添加し、その混合粉を金型成形、CIPで成形後電気炉で焼成し試料を作製した。焼成条件はBPSCCO試料と同様である。焼成温度1113K、焼成時間90ksで作製した試料のSEM観察を行った結果、Al2O3繊維を添加した試料(Al2O3/BPSCCO)およびZrO2・Y2O3繊維を添加した試料(ZrO2・Y2O3/BPSCCO)のみ繊維の残留が確認された。これら以外の試料では、焼成過程で繊維とBPSCCOマトリックス(以下、マトリックス)が反応し、繊維が消失したものと考えられる。X線回折によれば、全ての試料でBPSCCO試料では見られないピークが確認され、繊維とマトリックスの反応による化合物の生成が明らかとなった。同じ試料の磁化特性を測定した結果、試料温度108K付近以下で何れの試料も反磁性を示したが、BPSCCO試料よりも特性は低下していた。液体窒素温度での4端子法によるJc測定では、Al2O3/BPSCCO.ZrO2・Y2O3/BPSCCOのみ超伝導特性を示しており、Jcは焼成温度の上昇に伴い増大し、ある焼成温度で最大となりそれ以上の温度では減少した。Jcの増大はマトリックスのJcの増加に起因するものであり、ある焼成温度以上でのJcの減少は繊維とマトリックスの反応で生成した化合物による影響であると考えられる。反磁性を示すにもかかわらず、4端子法で超伝導を示さない試料では、焼成過程でBPSCCO結晶粒を取り囲むように化合物が生成し、電流通路が遮断されたものと推察される。.Al2O3/BPSCCOの室温での3点曲げ強度および剛性は各々38~53MPa、23~31GPa、またZrO2・Y2O3/BPSCCOの3点曲げ強度および剛性は各々38~74MPa、23~32GPaであり、何れもBPSCCO試料よりも低くなった。破断面のSEM観察から、繊維とマトリックスの界面の密着性が良くないものと思われ、このことから添加した短繊維がポイド状の欠陥として働き強度ならびに剛性が低下したものと考えられる。従って、マトリックスとの密着性の良くないセラミック短繊維を添加した場合、等方かつ一様な機械的特性の向上はかなり困難であることが明らかになった。<br /> 添加するセラミック繊維を長尺化することにより、繊維とマトリックスの密着性は変わらないものの、両者の接触面積を増大させることができる。第4章では、この接触面積の機械的特性に及ぼす影響を調べるため、BPSCCOにAl2O3長繊維を添加した試料を作製し、超伝導特性および機械的特性を評価した。BPSCCO仮焼粉にAl2O3長繊維を一方向にそろえて添加し、金型成形、CIPの後電気炉で焼成し試料を作製した。液体窒素温度でのJcは、短繊維を添加した場合と同様に、BPSCCO試料よりも低下した。焼成温度1078K、焼成時間90ksで作製した試料の3点曲げ試験を室温で行った結果、繊維の体積比を増やすと強度は低下し剛性は上昇することが明らかになった。このことから、繊維とマトリックスの接触面積の増大が、剛性の上昇に寄与したことがわかる。しかし、繊維とマトリックスの密着性は何ら改善されていないため、密着不十分の箇所に応力集中が発生し強度が低下したものと思われる。これらのことから、BPSCCOの繊維強化を実現するためには、繊維の長尺化だはでなく、マトリックスと強化繊維との界面の密着性を改善することが必要であることがわかる。<br /> 第5章では、長繊維とマトリックスの密着性改善の効果を検討するため、BPSCCOに長尺Ag線を添加した試料を作製し、機械的特性および超伝導特性を評価した。BPSCCO仮焼粉に直径が0.2mmの厘線を一方向にそろえて添加し、金型成形、CIPの後、電気炉により1118Kの温度で180ks焼成し試料を作製した。厘線の添加率は、重量比で15%とした。Ag線添加BPSCCO試料(Ag/BPSCCO)ならびにAl2O3/BPSCCOの切断面のSEM観察により、厘線とマトリックスの界面の密着性が、Al2O3繊維とマトリックスの界面に比べかなり良好であることが明らかとなった。室温における3点曲げ試験の結果、同条件で作製したBPSCCO試料の曲げ強度が63MPaであるのに対し、Ag/BPSCCOは72MPaを示しており、繊維とマトリックスの密着性改善による3点曲げ強度の上昇が確認された。また、BPSCCO試料が3点曲げ試験により完全に分離破断するのに対し、Ag/BPSCCOは3点曲げ試験後も試料は完全に分離せず、き裂が入った状態においてさえ液体窒素温度において超伝導特性が維持されることが確認された。これらのことから、長繊維とマトリックスの界面密着性の改善により、強度の上昇が可能であることが明らかとなった。<br /> 最後に第6章で、本研究で得られた結果についてまとめた。セラミック繊維をBPSCCOに添加した場合、繊維とマトリックスの反応により生成した化合物が超伝導特性を低下させ、また繊維とマトリックスの界面の密着性が良くないことが曲げ強度の低下を引き起こした。セラミック繊維を長くし、マトリックスとの接触面積を増加させることにより、剛性は上昇したが、超伝導特性および強度については短繊維添加の場合と同様に低下した。蛇線をBPSCCOに添加した場合、AgとBPSCCOは反応しないため超伝導特性は低下しない。また、Ag線とマトリックスの界面密着性が良好であるため、Ag線の添加により曲げ強度が向上し、更にその上、3点曲げ試験後も試料が分離破断せず超伝導特性が維持されることが明らかとなった。 | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
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